「中国にデータ送信」というと米中の貿易戦争を連想してしまうが、今回はファーウェイの話ではない。Nokiaブランドのスマートフォンを開発・製造するHMD Globalの「Nokia 7 Plus」が、中国のサーバーにデータを送っていたことが明らかになった。HMD Globalもこれを認めている。“誤って”中国向けのソフトウェアが入った端末を提供してしまったという説明だ。
端末を起動すると中国のサーバーにデータが送られる……
「Nokia 7 Plus」を起動すると、情報が中国にあるサーバーに送られているようだ――そのことに気づいたノルウェー在住のHenrik Austad氏は少なくとも今年1月から、Twitterでこの事象を伝え、Nokia/HMD Globalにリーチしようとしていた。だが返事がなかったことから、地元のニュースサイトであるNRKbeta(https://nrkbeta.no/)にその情報を伝えた。
NRKbetaは3月21日に、Austad氏の情報に基づく記事を掲載した(https://nrkbeta.no/2019/03/21/norske-telefoner-sendte-personopplysninger-til-kina/)。それによると、Nokia 7 Plusを起動するたびに、スマートフォンが中国のサーバーと交信し、情報を送信しているのだという。送られる情報としては、端末のシリアル番号、SIM番号、電話が接続している基地局IDなど。暗号化はされていなかったとする。
NRKbetaがさらに調べたところ、送り先は「http://zzhc.vnet.cn/」。CNNIC(China Internet Network Information Center)によると、このドメインはChina Telecomのものだという。
NRKbetaはGoogle検索などにより、Nokia 7 Plusが使っているものと類似しているクアルコムのコードを発見、これを使うことで端末のデータを収集して、同じサーバーに送ることができるとのことだ。このようなことから、NRKbetaは「中国市場向けのNokia 7 Plusが偶然中国外に流通したのではないか」と予想した。
このコード自体はGitHubでホスティングされており、NRKbetaから情報を得て分析したTelecoms.comは、HMD GlobalかそのODMが、China Telecomのネットワークを利用する場合にデータを転送するコードをある開発者からソーシングし、ノルウェー向けのNokia 7 Plusにも搭載してしまったのだろうと予想している(http://telecoms.com/496471/nokia-branded-phones-sent-personal-data-from-norway-to-china/)。
Nokia 7 Plusは昨年のMWCで発表されたAndroid One端末で、400ドル以下という価格帯と大型ディスプレー(6型)、デュアルカメラ(16MP+12MP)などのバランスの良さもあり、中国では発売から5分で25万台が売れたと言われている。
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