まとめ:将来性の高いHMB、NVMe SSDでもDRAMレスが増える!?
これらの結果からもわかるように、現状のHMBはリードに関しての効果は非常に大きいものの、ライトに関しての恩恵はほとんどない。加えて、確保されるメモリーの容量も少ないため、リードに関する有効エリアにも限りがある。
とはいえ、SSDの容量全域をカバーできるだけのメモリーを確保でき、メーカーの工夫によってDRAMと同等に近い使い方ができるようになれば、HMB対応SSDでもDRAM搭載SSDと遜色ない性能を実現できるだけのポテンシャルはある。
ちなみに、HMBはNVMe SSDだけではなく、PCI Expressをインターフェースに採用したSDカードのSD Expressでも採用されている。DRAMレスのNVMe SSDやSDカードの性能を手軽に向上できるHMBの将来性は高く、今後大きく普及してくだけの素性の良さを備えていると言えるだろう。
また、現在のBG4の最大有効キャッシュエリアは48GBだが、果たしてこの有効エリアは少ないのだろうか。もちろん、より広範囲なエリアをカバーできることがSSDとしては理想だ。しかしながら、実際のユーザーの使い方では利用するアプリがほぼ決まっており、広範囲にわたるアクセスが頻繁に発生するとも思えない。
そう考えると、このぐらいのエリアがあれば十分ではないかとも思える。いずれにしても、パソコンに搭載されているメインメモリーの容量が今よりも増えれば、HMBで確保できるメモリーの容量を増やすことも可能になる。多くの容量が確保できるようになればなるだけ、ユーザーメリットが大きくなることは間違いない。
そして、BG4の性能は現在のNVMe SSDのなかではかなり控え目。これは、BG4という製品がほどほどの性能を低価格で実現することをターゲットとしているからだ。NVMe SSDは性能を上げるとそれだけ消費電力も増え、発熱も増える。発熱と性能はトレードオフの関係にあり、BG4の速度は最高性能を狙うのではなく、実用的な性能を低価格で実現することを狙った結果だ。
現在のSATA SSDでもそうだが、「激安SSD」などと言われるいわゆる安価なSSDは、ほぼすべてがDRAMレスとなっている。このことからも推測できるように、NVMe SSDにおいても同じような経緯をたどる可能性が高いだろう。その場合、ある程度の性能を維持したまま、低価格化を実現できるHMBという機能は切り札となるはずだ。HMB対応SSDの将来的な進化に注目していきたい。
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