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最大15TB/時の高速なリストア性能、旧来のHDD+テープからの進化を訴える「ObjectEngine」

ピュア・ストレージ「バックアップもフラッシュへ」の新製品

2019年03月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ピュア・ストレージ・ジャパンは2019年3月14日、データセンターのオールフラッシュストレージ環境を前提とした新しいデータ保護プラットフォーム「ObjectEngine」を発表した。記者発表会では、高度な重複排除技術とオールフラッシュアレイ、クラウドストレージの組み合わせによって、事業継続の観点から求められる高いサービスレベルを実現する「高速なリストア」と「コスト効率」を両立できると、その特徴をアピールした。

 さらに今回は、ストレージOS「Purity」の最新版において、サーバーとのNVMe over Fabric(NVMe-oF)接続をサポートする新機能「DirectFlashファブリック」も発表されている。共有フラッシュストレージにおいて、サーバー内蔵ドライブ(DAS:Direct Attached Storage)に匹敵する低レイテンシを実現する。

今回発表された“フラッシュ+クラウド”バックアップ環境「ObjectEngine」と、NVMe-oFのサーバー接続機能「DirectFlashファブリック」
米ピュア・ストレージ 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー(Matt Kixmoeller)氏

「高速なリストアやデータ活用ができなければ、バックアップの意味がない」

 ObjectEngineは、これまで一般的だったディスク(HDD)ベースのバックアップアプライアンスやテープアーカイブを置き換えるプラットフォームとして、ピュア・ストレージが新たに提案するものだ。

 具体的には、昨年8月に買収を発表したストアリデュース(StorReduce)社の重複排除技術をコントローラーに組み込み、フラッシュベースのファイル/オブジェクトストレージアプライアンス「FlashBlade」やクラウドストレージ(Amazon S3)と組み合わせて構成したバックアップストレージ環境となる。

ObjectEngineの概要。バックアップストレージへのフラッシュ適用による「高速なリストア」が大きな特徴

 ObjectEngineを開発した理由について、キックスモーラー氏は「リストア処理のスピード向上のために、FlashBladeを(バックアップアプライアンスとして)導入する顧客が多くいることに気付いた」からだと説明した。

 従来エンタープライズで一般的だったバックアップ方式は、プライマリストレージからディスクベースのバックアップアプライアンスにバックアップをし、そのバックアップアプライアンスが別サイトにデータをコピーした後に、長期保存(アーカイブ)が必要なデータはテープ記録するという“Disk to Disk to Tape(D2D2T)”方式だった。だが、保護対象のデータ容量が大規模化する中で、“D2D2T”の仕組みでは業務継続性を確保できるスピードでリストアできないケースが増えてきたと、キックスモーラー氏は指摘する。

 「これまでのバックアップアプライアンス製品は『バックアップ時のスピード』に特化して開発されており、リストアのスピードは重視されてこなかった。しかしビジネス環境において、現実的な時間内にデータをリストアできなければ意味がない。また、テープに保存されたバックアップデータはほぼ活用されておらず、これも意味がないと言える」(キックスモーラー氏)

大規模なリストアが必要になった場合、従来のディスクベースアプライアンスでは“数日”単位で時間がかかり、業務への影響が甚大だとキックスモーラー氏は指摘する

 こうした課題を解消するために、ピュア・ストレージではストアリデュースを買収し、D2D2Tに代わる次世代の“F2F2C(Flash to Flash to Cloud)”ソリューションとしてObjectEngineを開発した。これまでのバックアップアプライアンスをそのまま置き換えられるよう設計されており、VeritasやVeeam、Commvaultなどのデータ保護管理ソフトウェア上で、保存先ストレージとしてObjectEngineを指定するだけでよいという。

ObjectEngineは、従来の“D2D2T”バックアップをフラッシュ+クラウドベースの“F2F2C”に置き換える
物理アプライアンスの「ObjectEngine//A」とクラウド(AWS)ソフトウェアの「ObjectEngine//Cloud」をラインアップしている

 フラッシュベースのバックアップアプライアンスに置き換えることで、最大15TB/時の高速なリストア処理が可能になる。バックアップデータはDR対策/長期保存用にクラウドストレージへとコピーできるが、重複排除済みデータを使うことで転送/保存容量を抑え、クラウドコストを最適化する。さらに、データ分析や機械学習などの用途でクラウド上のバックアップデータを再利用することも可能にする。「クラウドを複数サイトの統合リポジトリとして使うこともできる」(キックスモーラー氏)。

 発表会ではバックアップ市場の競合製品としてDell EMCの「Data Domain DD9800」を取り上げ、Data Domainのリストア処理が“数日”かかるところをObjectEngineでは“数時間”に短縮できること、ラックスペースも大幅に削減できることをアピールした。なおバックアップデータがAWS上にある場合でも、1TB/時のスピードでリストア処理ができるとしている。

競合製品として「Data Domain DD9800」を取り上げ、ObjectEngineのリストアスピードやラックスペース効率の高さをアピールした(Data Domainの性能評価値はDenny Cherry & Associates Consultingによるもの)

 なお提供開始時期については、ObjectEngine//Aが3月から、ObjectEngine//Cloudが今年下半期を予定している。また具体的な価格については公表されていないが、バックアップ対象容量に応じた従量課金制となる。キックスモーラー氏は「(実効容量ベースでは)競合するディスクベースアプライアンスと同等のコストで構築できると考えている」と述べた。

NVMe-oF RoCEでサーバーと接続、共有フラッシュストレージでDASの課題を解消

 発表会ではもう1つ、共有ストレージ「FlashArray//X」のOS最新版である「Purity 5.2」において、エンドトゥエンドのNVMe-oFをサポートする「DirectFlashファブリック」昨日が追加されたことも明らかにされた。

OS最新版で追加された「DirectFlashファブリック」機能により、サーバーとのNVMe-oF RDMA接続が可能になった

 キックスモーラー氏は、FlashArray//Xにおける段階的なNVMe-oF対応について説明した。これまではFlashArray//X筐体(シェルフ)内のNVMe/NVMe-oF接続を実現する「DirectFlashモジュール」「DirectFlashソフトウェア」を提供してきたが、今回のOSバージョンアップにより、この高速プロトコルを使ってEthernet経由で外部ホスト接続を可能にするNVMe-oF RoCE(RDMA over Converged Ethernet)に対応した。これにより、Ethernetスイッチを介して接続したサーバーから超低レイテンシでのデータアクセスが可能になる。

 キックスモーラー氏によると、すでに現在出荷する製品のおよそ8割がDirectFlashモジュール搭載の(=NVMe対応の)モデルであり、OSバージョンアップとNVMe-oF対応ネットワークカード(NIC)やスイッチの交換だけで、NVMe-oF環境へとアップグレードできると説明した。FlashArray//Xで構成した共有ストレージプールから各サーバーに割り当てられるため、特に大規模な環境において、サーバー導入時のDASサイジングという面倒な作業もなくせるという。

 なお、シスコとの協業で展開しているコンバージドインフラ製品「FlashStack」においても、新たに「Cisco UCS」サーバーとFlashArray//XストレージのNVMe-oF接続構成モデルが提供される。

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