本作のプロデューサーであるロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラさんにインタビュー
『バンブルビー』は奥深くエモーショナル、シリーズとは一味違う映画に
2019年03月20日 17時00分更新
奥深いエモーショナルなストーリーを採用した新たなトランスフォーマー作品
――『バンブルビー』を試写会で拝見させていただきましたが、本作は青春ドラマとアクションのバランスが非常に良く、楽しく鑑賞できました。今回はシリーズ初となるバンブルビーを主人公とした作品ですが、本作を製作しようと思った理由をお聞かせいただけますか?
ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラさん(以下、ロレンツォ):トランスフォーマーシリーズは全部で5作品製作されましたが、6作目以降からは新たな体験をお届けしたいと思い、一度方向転換をすることにしました。新作を製作するにあたって、どうやったら新鮮味を与えられるのかを考えた結果、今までのシリーズにはあまりなかった奥深いエモーショナルなストーリーにして、時代設定も一新することにしました。
また、本作の舞台が80年代ということで、スピルバーグ作品へのオマージュを取り入れたと同時に、懐かしい青春映画のような側面もある新作を製作しようと考えました。こうして、『バンブルビー』というプロジェクトが始動しました。
――『バンブルビー』はマイケル・ベイ監督ではなく、トラヴィス・ナイト監督が手がけました。アニメーション映画を多く製作してきた監督を起用した理由はなんでしょうか?
ロレンツォ:トラヴィス・ナイト監督が手がけた『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』が好きで、エモーショナルな部分をぐっと掘り下げて描くのが上手いと感じました。
また、彼はクリエイターだけでなく、企業経営者(※アニメ製作スタジオ『ライカ』とスポーツブランド『ナイキ』の取締役でもある)としても多大な実績を残しています。『バンブルビー』のような映画を製作するのはある意味企業の経営と似ているため、トラヴィス・ナイト監督を起用するに至りました。
ヘイリー・スタインフェルドさんは自然の輝きを持った女優
――時代は違えど、ヘイリー・スタインフェルドさんが扮するチャーリー・ワトソンの苦悩や葛藤に共感することができました。『スウィート 17 モンスター』でも演じていた「トラウマを抱えた孤独なティーンエイジャー」を彷彿とさせるものがあります。今回、ヘイリー・スタインフェルドさんをキャスティングした決め手とはなんでしょうか?
ロレンツォ:ヘイリー・スタインフェルドは、彼女と同じ年頃の女優にはない演技力と成熟さ、そして自然の輝きも兼ね備えているので、誰もが彼女に共感を覚えるのではないかと思いました。
実をいうと、当初ヘイリーは「チャーリー・ワトソンは『スウィート 17 モンスター』の設定に似通っている」という理由で一度オファーを断っていたのです。ですが、私は「『バンブルビー』ではトランスフォーマーの戦いだけでなく、チャーリー・ワトソンが誰でも共感できるヒーローになる過程も描いているんだ」とヘイリーに説明したところ、本作への出演オファーを承諾してくれました。
――本作のバンブルビーは、過去作とくらべて感情表現が豊かになったように感じました。バンブルビーを創造するうえで最も意識した点やこだわりはなんでしょうか?
ロレンツォ:これに関してはトラヴィス・ナイト監督の功績が大きかったといえます。本作は親密でエモーショナルなストーリーだったので、トラヴィス・ナイト監督はストーリーのコンセプトに合うよう、バンブルビーのデザインを一新しました。
目を大きくしたり、瞬きのアクションを強調したりするなど目を通した感情表現のほか、より人間らしい様相にするために頭に耳を搭載させました。さらに、トランスフォームする車を丸みを帯びたビートルにするなど、バンブルビーに親しみがわくよう工夫を施したのです。