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エストニアのスタートアップ支援制度に注目:

驚き! ネットがあれば数分で海外に会社作れる

2019年03月01日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●日本も見習うところがある

 e-Residencyにスタートアップビザ。起業支援制度を使ってエストニアに会社を作る最大のメリットは、経営上のやりとりがほとんどデータで完結することだ。

 「法的効力をもつ文書に署名しなければいけないとき。日本で書類に署名したときには、署名した書類をスキャンしてデータにして送る必要がありますよね。それが1回のデジタル署名だけですむんです」(アーノルド・カステニヤ氏)

 エストニアは約20年前から法的手続きの電子化を国策として進めてきた。国民は確定申告や選挙投票がネットでできるほか、電子カルテなどの取り組みも進んでいる。情報は一元管理されていて、様々なやりとりがスムーズだ。国のポータルサイト「eesti.ee」にログインすれば、誰がいつどこから情報にアクセスしたかの履歴もすべて透明に見えるようになっている。個人や企業だけでなく政府がアクセスした履歴も残るため、政府による情報の濫用はほぼ不可能な仕組み。このインフラを世界にオープンにしたのがe-Residency制度というわけだ。

 エストニアの人口は約132万人(2018年1月時点)。日本でいえば青森県の人口などと同等だ。エストニアは1991年に旧ソ連からの独立後、小さな国だからこそ国境を超えた活動をしなければならないという課題感のもと、国をあげてITなどイノベーション産業の誘致・育成を積極的に進めてきた。起業支援制度を使って人的交流が進むことについては、企業が多角化し、税収が増えるなどのメリットがあるからと、国民は総じてポジティブにとらえているという。外国人労働者の登用が大きな課題となっている日本も見習うところがありそうだ。

 「エストニアでは『オンラインでやってはいけないことは、結婚と、離婚と、不動産の売買だけだ』と言います。技術的にできないわけではなく、重要なことだから直接会ってやりとりをするべきだと。それ以外のことならエストニア市民はeビジネスの恩恵にあずかっているんです」(アーノルド・カステニヤ氏)

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