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「社会課題を解決する新規ビジネスの創出」目指し、先端テクノロジーの集積拠点を構築

三菱地所とSAP、大手町にオープンイノベーション拠点「Inspired.Lab」

2019年02月04日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 三菱地所とSAPジャパンは2019年2月1日、オープンイノベーションのための協業スペース「Inspired.Lab(インスパイアード ラボ)」を、東京都千代田区の「大手町ビルヂング」内にオープンした。「社会課題を解決する新規ビジネスの創出」を目的として、先端テクノロジーの集積と、大手企業/スタートアップ/アカデミア/投資家/メンターの集うエコシステム構築を図る。

 さらにイノベーションの実証実験の場として、このInspired.Labだけでなく将来的には「大手町ビル全体」「丸の内エリア全体」のオフィス等を利用していくことも想定している。今回はその第一弾として、WHILL(ウィル)と三菱電機による「パーソナルモビリティ自動運転システム」、パナソニックとLiquidによる「無人販売ショーケース」の実証実験もスタートさせている。

三菱地所とSAPによるオープンイノベーション施設「Inspired.Lab(インスパイアード ラボ)」
WHILLと三菱電機による「パーソナルモビリティ自動運転システム」、パナソニックとLiquidによる「無人販売ショーケース」の実証実験もスタートした

 Inspired.Labでは、三菱地所とSAPジャパンが協業してファシリティ運営およびプログラムの提供にあたる。同日の記者発表会には両社の代表が出席し、社会的なインパクトを与える技術イノベーションの集積地を目指すというInspired.Labの目標、期待などを語った。

三菱地所 執行役常務の湯浅哲生氏SAPジャパン 代表取締役会長の内田士郎氏

 三菱地所の湯浅氏は、大手町ビルでは昨年から先端技術拠点を目指したリノベーションを進めていることを紹介した。すでにFinTech拠点である「FINOLAB」や「KPMGイグニション東京」、トヨタ自動車のAI部門、AIスタートアップであるPreferred Networksなどが所在しており、「新旧を問わず、社会課題可決を目指す志の高い企業が集結している」(湯浅氏)。“ディープテックの集積拠点”であるInspired.Labも、新たにそこに加わるものと位置づけた。

 Inspired.Labは大手町ビルの6階にスペースを構え、その面積はおよそ3040㎡(約920坪)となっている。オープンなエントランスやカフェ、ラウンジからオフィスエリア、ホットデスクエリア、バイオフィリアエリアを備えるほか、デザインシンキング実践のためのスペース、プロトタイプ作成でアイディアをすぐにかたちにできる工房スペースも用意している。

オフィススペースとホットデスク
植物を配置したバイオフィリアスペース
デザインシンキングスペース、プロトタイプ作成の工房も

 こうした施設を活用し、デザインシンキングを核としたSAPのイノベーションフレームワークを活用しながら実証実験を重ね、新たなテクノロジー/アイディアに基づくイノベーションの早期実現を図っていく。ここでは三菱地所が東京大学と展開するスタートアップ支援プログラム「FoundX」、SAPが新たに日本での提供を開始した支援プログラム「SAP.iO Foundry Tokyo」とも連携していく。

SAPのデザインシンキングフレームワークを軸に、プロトタイプ/実証実験を繰り返してイノベーションを早期に実現していく機能を提供する

 ビジネスエコシステムの構築もInspired.Labの目的だ。SAPジャパンの内田氏は、同社が2018年3月に発足した「Business Innovators Network」には、変革を志向する大手企業、アカデミア(大学/研究機関)、ベンチャーキャピタル/アクセラレーターが現在156社参加しており、この組織を中心として新しいテクノロジーを持つスタートアップとのマッチングを図り、イノベーションを促していくと説明した。

 なおSAP.iO Foundry Tokyoは、SAPが世界で展開するスタートアップ支援プログラムの7都市目となるもの。B2Bソフトウェアに適用できるテクノロジースタートアップを対象としており、4月1日まで参加スタートアップの募集を行う。内田氏によると、6~10社の参加を予定しており、およそ3カ月間、SAPやメンターからの技術支援や事業戦略構築支援などが受けられる。将来的には、SAP顧客への共同アプローチ機会なども用意されるという。

SAP「Business Innovators Network」の役割「SAP.io Foundry Tokyo」のプログラム概要

 そのほか発表会では、上述のSAP.io Foundry Tokyoでメンターを務めるTomyK Ltd.代表の鎌田富久氏をモデレーターとして、Inspired.Labのスタートアップ会員であるWHILLとエルピクセル(LPixel)、イノベーションパートナーであるアドライトの各代表が出席し、大手企業とスタートアップがうまく連携しイノベーションを起こしていくためのポイントや、Inspired.Labに対する期待などを語った。

 「ネットベンチャーの時代はネットの中だけで世界が完結しており、スタートアップだけでも成長できた。しかしリアルワールド、リアル産業でイノベーションを起こそうと思うと、色々な実証実験や認証取得なども必要であり、時間も(複数社間の)コラボレーションも必要になる。単にアイディアが集まるだけでなく、実証実験が行えて商用化にもつなげられる場がほしかった。今回のInspired.Labを通じてそれが実現することを期待している」(TomyK 鎌田氏)

(左から)TomyK Ltd.代表の鎌田富久氏、WHILL取締役の福岡宗明氏、エルピクセル代表取締役の島原佑基氏、アドライト代表取締役の木村忠昭が登壇し、パネルディスカッションを行った

 なおInspired.Labによる実証実験の第一弾では、パーソナルモビリティのWHILLと三菱電機のビルIoT(エレベーター)システムを接続し、無人のWHILLでも目的階まで自動走行で移動できるようにする実験、生体認証セキュリティシステムのLiquidとWHILLとの連携による建物セキュリティエリア内の通行実験、パナソニックの冷蔵ショーケースとLiquidの生体認証による“手ぶら決済”実験が行われる。WHILLについては、将来的には公道での自動走行も見据えて実験を拡大していくとしている。

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