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業界人の《ことば》から 第327回

深澤直人が冷蔵庫を家具としてデザインした理由

2019年02月05日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII

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生活スタイルに適した薄さ

 もちろん、機能にも妥協はない。

 TZシリーズは、500リットルクラスでは最薄となる635mmでありながら、180リットルの大容量冷凍室を採用。ファン遮蔽装置を搭載したアクア独自の「旬鮮フリーザー」により霜つきなどを防ぎ、食材の鮮度を保つほか、HCS-Vフィルターにより余分な湿気を放出し、結露を抑制する「旬鮮野菜ルーム」、半密閉構造で食品の乾燥を抑える「フレッシュストッカー」を搭載。

 冷蔵室には、7つのロングLED庫内灯を設置し、食品を探しやすいようにしているのにくわえて、冷凍室にもLED照明を採用。冷凍室に照明を用意しているのはアクアだけだという。

 そして、最薄となる奥行きの実現は、いまの生活スタイルにも適したものになるという。

 「家事をシェアする家庭が増加するのに従い、2人以上でキッチンに立つことが増えたという家庭は57.4%に達している。共働きだけでなく、子供と一緒に料理を作るなど、コミュニケーションの場として、キッチンを活用することが増えており、冷蔵庫を薄くすることで、キッチンのスペースを広くできることには、大きなメリットがある」と、アクアジャパン マーケティング本部冷蔵庫企画グループ・山本陽護ディレクターは語る。

 深澤氏は「この冷蔵庫だけを見ていると、普通の冷蔵庫とどこが違うのかと思う人もいるはずだ。インテリアになじんだものであることを自然に受け入れてしまうからだ。

 しかし、いま、家電量販店で販売している冷蔵庫を横に置くと、それらの冷蔵庫には、とても違和感があると感じるだろう。よく考えたら、これまでに、こんな冷蔵庫はなかったということを感じてもらえたらうれしい。これは、静かな一歩だが、強烈なジャンプともいえるできごとである」と表現する。

 アクアのTZシリーズは、冷蔵庫の新時代をリードできるのか。深澤氏とともに挑む、アクアの挑戦ともいえる。

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