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「知らないことが問題」と専門家:

不妊治療 会社に迷惑か

2019年01月18日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●問題は「知らないこと」

 一方、不妊治療支援制度を設けたり、従業員の不妊治療に理解を示す企業がないわけではありません。たとえば前田建設は10年前から助成金制度を設けています。富士ゼロックスでは男性従業員も助成の対象にしています。

 大企業だけでなく、中小企業が不妊治療関連制度を設けやすくなるような動きも増えています。東京都で昨年始まった「チャイルドプランサポート事業」は、都の研修を受け、不妊治療支援制度を設けた企業に奨励金を出す制度です。

 「すばらしいのは公募案件であること。東京都で働く女性の、こういう制度を作ってくださいという声が採用されたそうなんです」(松本理事長)

 制度が整うことはもちろん重要ですが「いちばんの問題は『知らないこと』です」と松本理事長は言います。社員が会社に治療のことを言えず退職した場合、会社は退職理由がわからないことので「サプライズ退職」と呼ぶそうです。会社に悪意がなくても、治療を言い出しづらい環境が悲劇につながっています。

 前述の町山さんは、「2週間2時間ずつ抜けてたとしても、トータルで2日程度の休みです。わずか2日の休みが取れないために、仕事をやめなければならない女性が大勢いるのは悲しいなと思います」と話していました。

 自分自身が男性として育休をとったときも、当初は男性も育休がとれることを知りませんでした。知った後も、前例がないので言い出しづらい、部署に迷惑がかかりそうだ、という理由でためらいがありました。しかしエイヤで休みをとれたのはとても良かったと感じています。社内外の男性から「わたしも育休をとることにしました」と声をかけられることも増えました。中には忙しい営業さんもいて、知ること、伝えることの強さをあらためて感じさせられました。

 不妊についても、もっと知ること、伝えることが広がってほしいと感じました。知らなかった自分自身、他人事ではないと強く感じさせられた出来事です。



書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味。赤ちゃんの父をやっています。育児コラム「男子育休に入る」連載。Facebookでおたより募集中

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