クルマとスマホを繋ぐアイデア公開
カーナビを買ったおかげで「夫婦ゲンカがなくなった」と仕事場のAくんは言った。目的地までのルートで意見が分かれてさんざんやりあったあげく目的地まで沈黙がクルマの中を支配するなんてことがなくなった。これは昔話だが、道具が世界を変えてしまうというお話。
いまや日常的に手放せなくなったスマートフォンをクルマの中で安全に使うために考えられた国際規格がSDL(スマートデバイスリンク)。クルマやバイクとスマートフォンを連携させるオープンソースの標準規格で、国内10社やフォードなど世界の自動車メーカーも採用している。
このSDLの対応アプリを募集している「SDLアプリコンテスト」の〆切が1月30日と迫っている。また、最終審査会・表彰式が3月8日(木)に開催されることに決まった。当日は、予備審査を通過した10作品を応募者自身がプレゼンテーションして、グランプリ(賞金50万円+副賞ヤマハの電動スクーターE-Vino)ほか各賞(二輪や業務用など)を決定する。賞金総額は100万円となっている。
「クルマとスマホが繋がってどんなことができるんですか?」という意見もあるかもしれない。たしかに、いままでのカーナビにも通信機能が入っていたり、さまざまな情報やエンタメ素材を生かしていろいろな試みがなされてきた。
2019年からカーナビなどの車載機に「SDL対応」をうたう製品が順次登場してくる(正確には2018年12月にトヨタのディーラーオプションにあるが)。SDLというのはある日から突然世界が変わるのではない。クルマを買い替えたりカーナビを取り付けたときに「SDL対応なんだ!」と気づいて、自分が使っているスマホとつないでみようというようなものになりそうだ。
スマホアプリの世界がクルマのダッシュボードに広がることで得られるものは大きい。運転中にスマホを操作するのは大変にキケンだが、カーナビ画面にタッチする形なら比較的安全だからだ。たとえば、出かける前にスマホで地図アプリでブックマークしておく(グーグルマップのマイプレイスに相当)。それをカーナビ画面で次々タッチして見れたら便利である。
ただの音楽プレイヤーもカーナビでは基本的にメーカー提供のものしかなく、スマホ世代が使うには体感的でないという意見もありそうだ。SDLで音楽アプリがいくつもでてきたり、カスタマイズ可能になったらそれだけで気持ちよいだろう。
音楽といえば個別アプリでの話だが、海外でUberを使っていると、客が乗車したとたんにSpotifyのIDが切り替わって自分の音楽再生が可能になる。スマホとモビリティの関係というのは、たとえばこうあるべきなのだ。
クルマの中の体験というのは、コンピューターの前に座っているときよりも、日常空間に近いから緊張を強いるようなアプリではなくリラックスして使えるものがよい。その意味では、ふだん使っているスマホアプリがカーナビ画面ならではのシンプルな画面と絞られた機能になるというのでもよい。個人的には、ひたすら「青空文庫」を読み上げるようなアプリがほしい。クルマなので現在位置に関係する小説と言いたいところだが、それはあってもなくてもよい。
ところで、SDLは、カーナビなどの車載機を通じてクルマの中をちょっと便利にするというイージだが、その延長には未来のクルマ体験自体が待っているともいえる。今回のコンテストで、どんなSDLアプリが飛び出してそんな時代を感じさせてくれるかが楽しみだ。
SDLアプリの作り方だが、iPhoneやAndroidのアプリを作ったことのある人ならけしてハードルは高くない。〆切は近いがいまからでも十分に間に合うものも作れそうだ。クルマの役割をするクラウド上のシュミレーターがあり「クルマがしゃべる未来って? ロボホンとクルマをつないでみた」で紹介しているような手順でできる(車速やサイドブレーキの状態など車情報も利用)。ほか、「車とスマホがつながるSDLの世界」の記事を参考にしてほしい。
クルマとスマホがつながる SDL(スマートデバイスリンク)アプリコンテスト
■最終審査会・発表会:2019 年 3 月 8 日(金)
■会場:株式会社ナビタイムジャパン1階(東京都港区南青山 3-8-38 南青山東急ビル)
■審査員:暦本純一(審査委員長、東京大学情報学環教授)
大日方邦子(日本パラリンピアンズ協会副会長)、川田十夢(AR 三兄弟長男)ほか
(敬称略)
■当日スケジュール:
13:30~16:30 プレゼンテーション/審査
16:30~17:30 結果発表・講評
17:30~ 交流会
■グランプリ:賞金 50 万円+副賞(ヤマハ発動機電動スクーター「E-Vino」)
特別賞(5 作品):賞金各 10 万円
■主催:SDL アプリコンテスト実行委員会(事務局:角川アスキー総合研究所)
■協力:SDL コンソーシアム・日本分科会、株式会社ナビタイムジャパン
■公式サイト:http://sdl-contest.com/
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