1980年代は、IBMがいろいろと変化をし始めた時代である。1960年~1970年代は、いわばメインフレーム一本槍だったのが、1980年代には新たな敵が出現するとともに、それにあわせて新しいビジネスが急速に立ち上がり始めた。まずは経営から説明していきたい。
売上が激増しバラ色の時代を送った
1980年代前半
連載481回の冒頭で触れたが、Watson親子の引退にともない、まずはT. Vincent Learson氏、次いでFrank T. Cary氏がCEOを務めたが、そのCary氏の後任としてJohn Roberts Opel氏が1981年にCEOに就く。

Opel氏は1959年にWatson Jr.氏の上級アシスタントを務め、その後急速に出世していく
画像の出典は、IBM
Opel氏は1974年から1981年までは社長を、そして1981年から1983年まではCEO兼社長となり、1984年から1985年まではCEO職に専念した。そのOpel氏の時代であるが、1984年まではいろいろあったものの、バラ色の時代であった。
どの程度バラ色だったか? ということで、表に1980年から2003年までの売上と純利益をまとめてみた。少なくとも毎年売上が10%以上(1982年は18.6%)も売上が伸びており、しかも毎年12~13%もの利益率を保っていたわけで、実に健全で、我が世の春だったわけだ。
IBM 1980~2003年度の売上と純利益 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 総売上 | 純利益 | 総売上伸び率 | 利益率 | ||
1980年度 | 262.0億ドル | 34.0億ドル | 15.0% | 13.0% | ||
1981年度 | 290.0億ドル | 36.0億ドル | 10.7% | 12.4% | ||
1982年度 | 344.0億ドル | 44.0億ドル | 18.6% | 12.8% | ||
1983年度 | 402.0億ドル | 55.0億ドル | 16.9% | 13.7% | ||
1984年度 | 459.0億ドル | 55.0億ドル | 14.2% | 12.0% | ||
1985年度 | 500.0億ドル | 66.0億ドル | 8.9% | 13.2% | ||
1986年度 | 513.0億ドル | 47.0億ドル | 2.6% | 9.2% | ||
1987年度 | 542.0億ドル | 52.0億ドル | 5.7% | 9.6% | ||
1988年度 | 586.0億ドル | 58.0億ドル | 8.1% | 9.9% | ||
1989年度 | 627.0億ドル | 37.0億ドル | 7.0% | 5.9% | ||
1990年度 | 670.0億ドル | 62.0億ドル | 6.9% | 9.3% | ||
1991年度 | 650.0億ドル | -28.0億ドル | -3.0% | -4.3% | ||
1992年度 | 645.0億ドル | -49.6億ドル | -0.8% | -7.7% | ||
1993年度 | 627.0億ドル | -81.0億ドル | -2.8% | -12.9% | ||
1994年度 | 640.0億ドル | 32.0億ドル | 2.1% | 5.0% | ||
1995年度 | 760.0億ドル | 54.0億ドル | 18.8% | 7.1% | ||
1996年度 | 759.0億ドル | 54.0億ドル | -0.1% | 7.1% | ||
1997年度 | 785.0億ドル | 60.9億ドル | 3.4% | 7.8% | ||
1998年度 | 817.0億ドル | 63.0億ドル | 4.1% | 7.7% | ||
1999年度 | 875.0億ドル | 77.0億ドル | 7.1% | 8.8% | ||
2000年度 | 884.0億ドル | 81.0億ドル | 1.0% | 9.2% | ||
2001年度 | 859.0億ドル | 77.0億ドル | -2.8% | 9.0% | ||
2002年度 | 859.0億ドル | 77.0億ドル | 0.0% | 9.0% | ||
2003年度 | 891.0億ドル | 76.0億ドル | 3.7% | 8.5% |

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