米政府によるファーウェイ叩きが続いている。国内でのファーウェイ製通信機器の締め出しに加えて、欧州、そして日本に対してもファーウェイのネガキャンを展開しているという報道が出ている。米国に続いてオーストラリアもファーウェイ製機器を禁止する方向に動いており、英政府も警告を出している。今回の争点はドイツだ。
欧州とは蜜月状態が続いていたファーウェイ
米中貿易戦争とも言われるトランプ政権の中国敵視、重要なフォーカスとなっているのが通信分野だ。ここではすでにZTEが一時は破産寸前にまで追い込まれるなど、大きな影響が及んでいる。
さて、“西側”諸国の中でも、欧州はファーウェイを受け入れてきたと言える。スマホもそうだし、基地局に代表される通信機器もだ。実際にファーウェイは数々の欧州向けイベントを各地で展開している。中国、アフリカ、ロシアなどの新興国から浸透していった同社の通信ネットワーク事業にとって、欧州は重要な市場。先進国であるため、最新事例を作ることができる。
それに何と言っても欧州は、EricssonとNokiaという古参ベンダーのお膝元であり、そうした場所で顧客の信頼を勝ち取ったというのはファーウェイの自信にもつながってきたはずだ。
ファーウェイは顧客の獲得とともに、多数の幹部も欧州で雇い入れている。もともと顧客だったというケースもあれば、競合に勤めていたというケースもある。また各地でラボの開設などの投資もしており、失業率対策に悩む欧州各国にとってはありがたい存在となっている。
そんな背景もあってか、2015年にミュンヘン、2016年にパリで開催されたイベント「Huawei European Innovation Day」では、ともに政府関係者も出席していた。ミュンヘンのときに話をしたオランダの記者は、「この規模で新規雇用してくれる企業は、欧州にはもうないよ」とボヤいていた。
ミュンヘンのイベントでは、地元のDeutsche Telekom(ドイツテレコム)がファーウェイの技術を採用してパブリッククラウドを構築することが発表された。T-Mobileともさまざまな協業関係にあり(5Gの大型契約はNokiaに持っていかれたが)、Mobile World Congressのファーウェイブースでは、主要な欧州の通信事業者との取り組みを大きくアピールしている。
その欧州にも、米政府の影響が及びつつあるようだ。大きく報じられているのはドイツ。政治家と通信企業のトップに働きかけた結果、ファーウェイとZTEの通信機器を閉め出す法案を検討中とReutersなどが報じている(https://www.reuters.com/article/us-germany-china-5g-exclusive/german-officials-sound-china-alarm-as-5g-auctions-loom-idUSKCN1NI1WC)。
Reutersは「深刻な懸念がある。自分ならオーストラリアと同じ決断をする」という幹部の声、「ある1つの国のベンダーを全面的に阻害するのは、間違ったアプローチだ」という議員の声と両方の意見を紹介している。ドイツは2019年前半に5G向け周波数の入札が始まる予定だが、法案はこの入札にも影響を与えかねない。
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