スマートスピーカーなども追い風となり、昨年ごろから、日本でもストリーミングオーディオ(定額制音楽配信サービス)が一気に注目を浴びるようになった。「Apple Music」や「Spotify」などに加え、ロスレス配信の「Deezer HiFi」、そしてつい先日スタートしたばかりの「YouTube Music Premium」など、まさに百花繚乱の状態だ。
一方でダウンロード型のサービス、特にハイレゾ配信も市民権を得ている。いわば「手軽さ」と「こだわりの高音質」という市場の二極化が進んでいるわけだが、ストリーミングやYouTubeで探して(聴いて、観て)、気に行ったらハイレゾ版を買うという文化が定着していると言ってもいいと思う。
さらに2018年はMQAやハイレゾCDに代表される新しいフォーマットも徐々に浸透している。YouTubeも動画を観るだけでなく、ミュージックビデオを探して音楽に出会うという側面がある。音楽コンテンツの多様化が進んだ1年だったと言えそうだ。
進化が速い「音楽配信」に対応するには、パソコンが心強い
今後もさまざまな「音楽配信サービス」「高音質フォーマット」が登場すると思われるが、新しいサービス、新しいフォーマットを楽しむなら、やはりパソコンを核とした「デスクトップオーディオ」が最適だろう。機器を買い替えることなく、ソフトウェアの追加のみで新しいサービスに対応できるのは「パソコンならでは」だし、ゲームや仕事、ネットショッピング、ウェブブラウズなども、良い音楽を良い音質で聴きながら操作すれば、作業がはかどるってものだ。
ただ、パソコン内蔵のサウンド機能では、CD並みの量子化ビット数/サンプリングレートにしか対応していない場合も多く、仮に再生はできても、高音質なハイレゾ音源の真価を発揮することはできない。そこで必要になってくるのがUSB DACだ。スピーカーにせよヘッドホンにせよ、パソコンでハイレゾ音源を楽しむためにはUSB DACは必須なのだ。
このUSB DACとハイレゾ対応のスピーカーが一体化し、デスクトップオーディオに最適なデジギアとして注目されているのが、VECLOSのデジタルオーディオシステム「SSB-380S」だ。
VECLOSからは、ハイレゾ対応のヘッドホンもリリースされており、SSB-380Sのヘッドホン端子に接続すれば、深夜などあまり大きな音が出せない状況でも高音質に音楽を楽しめる。
真空断熱技術の応用が「いい音」につながる
VECLOSとは、あまり聞きなれないブランドと思う人もいるかもしれないが、開発したメーカーのTHERMOS(サーモス)の名前を聞けば、イメージがわく人もいるだろう。そう、真空断熱構造のステンレスボトルで世界的に有名な、あのサーモスから生まれたブランドなのだ。
筆者は日ごろ、生活家電を中心に取材活動をしており、サーモスは慣れ親しんだメーカーだ。日頃の取材でサーモス製品の高い性能、品質の良さは理解しているが、これがオーディオの高音質化にも貢献するというのは興味深い。そんなサーモスが長年培った真空断熱技術のノウハウで開発した高級オーディオとはどんなものか。以前から興味を持っていた。試聴する機会を得たので、レビューしてみる。