IFA 2018レポート 第16回
薄型軽量モバイルノートPCや2in1 PCのスタンダードが変わる
Intel、第8世代Coreに新Uシリーズ(Whiskey Lake)とYシリーズ(Amber Lake)を追加
2018年08月29日 05時00分更新
IntelがIFA 2018(8月31日~9月5日、ドイツ・ベルリン)に先駆けて、第8世代Coreプロセッサーの新しいUシリーズ(開発コードネーム:Whiskey Lake)とYシリーズ(開発コードネーム:Amber Lake)を発表した。COMPUTEX TAIPEI 2018で同社が予告しており、同イベントで紹介したような薄型軽量モバイルノートPCや2in1 PCに採用される見込みだ。
大きな話題として、Uシリーズの統合PCHに「Gigabit WiFi」(=ギガビット級のWiFi)、つまりIEEE802.11ac無線LAN/Bluetooth 5.0のMACを内蔵している点だ。これにより、5年前のPCと比べて通信スピードが大幅に向上するという。まずはラインアップをご紹介しよう。
Uシリーズは刷新、Yシリーズは第7世代から大幅クロックアップ
TDP15WのUシリーズはCore i7-8565U(4コア/8スレッド)、Core i5-8265U(4コア/8スレッド)、Core i3-8145U(2コア/4スレッド)の3モデル。TDP5WのYシリーズもCore i7-8500Y(2コア/4スレッド)、Core i5-8200Y(2コア/4スレッド)、Core m3-8100Y(2コア/4スレッド)の3モデルとなる。いずれもハイパースレッディングとターボブースト(以下、TB)に対応している。
これまで同社は第8世代Coreプロセッサー・ファミリーをセグメント別に発表してきたが、今回リリースしたUシリーズは2017年8月にお披露目された旧Uシリーズ(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh)の刷新と見るべきだろう。
旧Uシリーズとの大きな違いは統合PCHだ。Whiskey Lake-UのPCHは14nm製造(従来は22nm)で、新たにUSB 3.1 Gen2コントローラーとIEEE802.11ac無線LAN(160MHz、最大1733Mbps)/Bluetooth 5.0のMACなどを内蔵する。内蔵GPUはIntel UHD Graphics 620が引き続き採用されているので、ゲーミング性能や動画エンコード/デコード支援など内蔵GPUに関わる機能は大きく変わっていない。4Kストリーミングサービスのサポートも同様だ。
一方で、YシリーズはTDPが5Wと第7世代Coreから0.5Wほど上昇している点に注目。そのせいか、TB時の最大クロックが飛躍的に上がっている。Uシリーズの0.4~0.5GHzほどの上昇に対し、Yシリーズは0.6~0.8GHzまで伸びている。統合PCHは不明だが、Uシリーズでは「Gigabit WiFi」とうたっているところを、Yシリーズでは「Fast WiFi」という表現に留まっている。
また、Yシリーズは厚さ7mm未満、重量1ポンド(=約454g)未満の超薄型2in1/タブレットPCへの採用が想定されており、シームレスに通信できるよう「モダンスタンバイ」やeSIMをサポートしている。
5年前のPCと比べると大幅に性能向上
では、性能についてはどうか。Intelいわく5年前のノートPCと比べて、WEBブラウジング性能で最大1.8倍、無線LAN性能で最大12倍、総合性能で最大2倍、動画エンコード性能では最大10.5倍、バッテリー駆動時間においては最大で16時間以上もつようになったとのこと。
5年前のノートPCとなると、第4世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Haswell)を搭載したモデルとなる。各テストで比較PCのスペックが異なるので細かく見ていこう。
WEBブラウジング性能は「WebXPRT 3」を利用。第8世代Core搭載PCはCore i5-8265U、メモリー8GB×2、NVMe SSD「Intel 760p」、Windows 10 Pro(RS4)を搭載するリファレンスモデルとなる。比較対象はCore i5-4200U、メモリー4GB、SATA SSD「Intel 545s」、Windows 10 Proを採用する5年前のPCを想定した構成だ。1.8倍の性能差は主にCPU性能の向上が要因だろう。
無線LAN性能はアクセスポイントから3メートル離れた場所から計測したテスト。第8世代Core搭載PCのCPUはCore i7-8565Uで、無線LANは11ac(2×2、160MHz、最大1733Mbps)で計測している。比較対象はCore i5-4200U搭載PCで無線LANは11n(1×1、40MHz、最大150Mbps)なので、12倍という大きな性能差もうなづける。ここはターゲットにした5年前のPCの通信性能が貧弱すぎるきらいがある。5年前でも11nで2×2&40MHz(最大300Mbps)のモデルは多数あったような気がする。
総合性能は「SYSmark 2014 SE」、動画エンコード性能は「Handbrake」で比較。いずれも比較PCは「WebXPRT 3」と同じ環境のようだ。Handbrakeで10.5倍もの差がついているが、これは4K動画をフルHD HEVCにエンコードした際の結果だ。つまり、Intel UHD Graphics 620の動画エンコード支援が効いているため、第8世代Coreが超高速というわけである。ちなみに、バッテリー駆動時間はCore i7-8565U搭載PCでフルHDの動画の連続再生で計測しているとのこと。
まとめると、Intelの今回の狙いは2in1 PCを含むモバイルノートPCにおけるスタンダードの底上げであることがわかる。特に5年前のPCからの買い替えを主眼に置き、総合性能の向上はもちろん、HEVCエンコードや4Kストリーミングサービスへの対応など、いまどきの使い勝手で困らないスペックであることを強くアピールしている。IFA 2018では各PCメーカーから採用モデルが続々と出てくるはず。モバイルノートPCの買い替えを考えていたユーザーは要注目だ。
■関連サイト
Intel
Whiskey Lake&Amber Lakeの製品紹介ページ
<2018年8月29日17時更新>
IntelがWhiskey Lake&Amber Lakeの製品紹介ページを公開したので、一部情報を更新しました。
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