●リムーバブルメディアの活用
中小企業では、USBフラッシュメモリーにマイナンバーなどの機密情報をバックアップして耐火金庫へ保管していることもあり、これも簡易的ながら火災対策として有用と言えます。この方法の場合、大規模火災発生時には耐火金庫の耐熱時間(1〜2時間)を超過してしまうのと、耐火金庫の特性上、内部に放出された湿気によってメディアが劣化や変質を起こす場合があるので注意が必要です。
しかし、水没したMOディスクを洗ったら機能が復旧したという報告や、火災発生時に経理データベースのバックアップディスクをとっさにポケットへ入れて逃げて助かったという事例もあるので、小規模のバックアップ用途としてリムーバブルメディアを採用する価値はありそうです。
●クラウドストレージの活用
被災時に事務所機能が停止したり、データを格納したストレージデバイスを失うリスクがあるなら、いっそ社外でストレージサーバをレンタルすればいいじゃないか! 事務所が被災してもネット環境さえあれば臨時で業務を再開できるだろう!
──というわけで、災害対策の大本命であるクラウドストレージを採用する事業所は増えつつありますが、もちろんクラウドサービスにも弱点はあります。
運営会社のセキュリティ不備によるハッキング被害を始め、低料金と引き替えに運営会社が保存ファイルをデータ解析や研究目的に二次利用する場合がある(機密データの保存に使えない)、システム障害や作業ミスによってデータを消失しても完全回復する保証がないなど、サービスごとに仕様が異なることを正しく理解した上での利用が必要不可欠です。
しかし、数百GB程度の容量なら、会社全体の経費からすればごくわずかな投資で、ハードウェアの維持やシステム管理の手間をかけず、重要なデータを安全に保管できる手段となります。今後は災害対策を行う上で必要不可欠な存在になってゆくでしょう。
●クラウドサービス例
AOSBOX Cool
法人利用は別プランの契約が必要ですが、個人利用であればPC1台につき月額500円で容量無制限でクラウドバックアップサービスを利用できるコストパフォーマンスの高さが魅力です。
DropBox
個人利用であれば容量2GBの無料プランあり。月額2,000円&容量3TBのDropBox Bussiness Advancedなら、チーム間のファイル共有や権限設定、2段階認証などによるセキュリティ強化も可能です。
OneDrive
既にOffice365ユーザであれば、容量1TBのクラウドストレージを無料利用可能。Windows+Officeの組み合わせでビジネス用途で用いるのであれば、コストパフォーマンスにとても優れています。
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