HPが発売した15型の2in1はあのCPUを搭載しているのが魅力なのである
Spectre 15 x360 試用レポート = Radeon入ってるインテルGプロセッサーで3Dも暴速だっ!!
2018年08月21日 13時00分更新
インテルは今年1月のCESで開発名「KabyLake-G」こと「8th Gen Intel Core with Radeon RX Vega M Graphics」を発表した.いわばインテルの「コアi」とAMDの「Radeon」を組み合わせた大型チップである.
このCPUを搭載したノートPCとしてCESで公開されたのがHPの「Spectre 15 X360」だ.日本でも出荷が始まり、製品版が到着したので試用してみよう.
HPのプレミアムシリーズの最上位モデル
15型の2in1は豪華なのである
HPは6月22日に、プレミアムノートPCのENVYを刷新した.「ENVY13」はUプロセッサーに狭額縁13インチのクラムシェル型、「ENVY13 x360」はその名のとおり液晶が360度回転するタイプだが、CPUはAMD Ryzenを採用し、グラフィックスもVegaとなる.
「ENVY15 x360」はその15インチ版だが、CPUはインテルのUプロセッサーでGPUは内蔵グラフィックスである.いちばん小さいモデルとして12.3インチ液晶に4G-LTE通信モジュールを内蔵した「ENVY12 x2」というタブレットもある.
Spectre(007映画ではスペクターだがHPではスペクトルと読む)はENVY(こちらはエンビー)の上位シリーズで、モバイルではENVYと同様に3モデルが揃っている.「Spectre13」は薄型軽量のクラムシェルで、「Spectre x360」は8GのUプロセッサーに13.3インチの4K液晶も選択できる、液晶回転モデル.x2は12.3インチのスタンド内蔵のタブレットで、液晶は3000×2000ドットでMSのSurfaceに似ている.
そんなSpectreシリーズの長男として登場したのが「Spectre15 x360」で、CPUは注目のGプロセッサー、液晶は360度回転の4Kで、タッチはもちろん専用ペンも利用できる.
ボディは「アッシュブラック」という色で、真っ黒ではなく少しグレー味が入っている.天板のロゴはHPのプレミアムシリーズ用の「川(と勝手に呼んでいる)」マークだ.
このエンブレムはもちろん、エッジや液晶のヒンジ部分もゴールドでカッコいい.液晶は15.6インチの4K液晶で、画面全体をガラスで覆ったデザインで、表面はもちろん光沢だ.「Windowsマシンにタッチはいらない派」のオレとしては、ノンタッチで無反射のおちついた画面も選択できるとありがたいのである.
CPUはコアi7-8705GでグラフィックスはRadeon RX Vega M GL、メインメモリは16GB、ストレージは512GBまたは1TBだ.
キーボードは見た通りテンキーつきである.メインキー部分は横幅約27センチで、テンキーがあるぶん、タッチパッドはやや左よりなっている.
パッドは横幅12センチ×奥行き6センチとやや横長で、手前のクリックはしっかりしているぶんやや音が大きい.「15インチのプレミアムノートにはテンキーはいらない派」のオレとしては、すっきりとテンキーなしモデルも準備していただきたいところである.
左側面は奥から電源入力とタイプA端子、電源ボタン、排気口があって、ヘッドセット、SDカードスロットが並ぶ.右側はHDMI端子、タイプC×2、排気口があって、指紋センサーにボリュームボタンと、タブレット時にも便利なレイアウトになっている.
Radeon GHはGTX1050Tiクラスだが
今回のGLはどうなのでしょうか!?
Gプロセッサーで使われているRadeonにはGHとGLと2ランクあり、GHのほうは24ユニット搭載で動作周波数は1063MHz、演算能力は3.7TFLOPSである.下位のGLは20ユニットで931MHzで2.6TFLOPSと、数字上は約3割ダウンの性能である.
GHを内蔵するのがi7-8809G/8709Gの上位2つで、GLはi7-8706G/8705Gとi5-8305Gで合計5モデルある.
すでに当サイトでもレビューされているインテルのNUC「NUC8i7HNK」は、最上位の8809Gを搭載していたが、今回のSpectrte15は8705Gを搭載しており、GPUはGLのほうになる.
この2つのCPUはともに4コア/8スレッドで動作周波数は3.1GHZと同じだが、パッケージのTDPは8809Gが100Wなのに対して8705Gは65Wとここでも3割低い.CPUとGPUがそれぞれどれくらいのTDPなのかは公開されていない.
ジサトラでおなじみKYU+北村によるNUCのベンチマークテストによると、i7-8809GのCinebenchのCPU値は857だった.今回のSpectre15では811と6%下回ったが、最新8GのTDP15W=Uプロセッサー4コアでは600~700なので、それらよりは15%ほど速いことになる.7Gの4コア=Hプロセッサー(TDP45W)とほぼ同じ値で、想像よりも速かった.
Radeonの速度は3DMarkで比較してみよう.NUCに搭載している8809GではFireStrikeが8380で、8705Gでは6109と約25%ほど下回った.
GeForceではどのあたりになるのかというと、他社モデルの「i7-7700HQ + GTX1050」搭載PCでは5501、「i7-8750H + GTX1050Ti (MAX-Q)」では6692なので、その間ということになる.FF14やモンハンなどのゲーム系ベンチマークテストでは、ほぼGTX1050と同じ値だった.
先のNUCのベンチマーク記事では、GHはGTX1050Ti相当と結論しているが、GLのほうは1050相当のようである.
SSDは512GBの東芝「KXG50ZNV」を搭載していた.PCIe3.0x4の接続でCrystalDiakMarkのマルチシーケンシャルではリード3102、ライト529と標準的な速度だった.
バッテリーは約83Whを搭載しており、おなじみのBBenchで計測したところ、「最も高いパフォーマンス」に「バックライト100%」で約3時間50分動作した.15インチの同等容量のバッテリー搭載ノートとしては平均的な持続時間で、4K液晶としては長持ちである.
ACアダプターは、19.5V7.7A=150W出力で、消費と同じ条件で動作させながらで50%までが34分、70%が58分、90%が85分で、これは高速充電といっていい優秀な結果である.
ちなみに3D系のベンチマークテストを繰り返し実行したところ、ファンが全開となった.底面から吸気してキーボードの左右側面から排気するカタチだ.液晶側から排気するマシンが多い中、おそらくタブレットとしての利用を考えての排気方向と思われる.キーボード面では液晶の手前の部分がかなり熱くなったが、キーボードそのものはアッタカイレベルで操作に支障はなかった.
プレミアムノートの威力
ゲームもお絵描きも写真・動画編集もOK
Spectreには「アクティブペン2」が付属する.1024段階の筆圧検知と傾き検知機能も持ち、紙とペンの感覚で使うことができる.長さは約15センチ、重量は14.5グラムと軽く、なんとタイプC端子(メス)を内蔵していて、そこにケーブルを挿して充電する.とても使い勝手のいいデザインなのである.
15インチの2in1型はめずらしい.通常の状態で使うなら、クラムシェルと同じだが、360度回転させてタブレットのように使うときには15インチの画面の大きさが効く.縦横比は違うが、あの大きいiPadPro12.9はその名のとおり約13インチであるからして、15インチのペンコンピューターというのはなかなか迫力である.
ただ、片手で保持して片手でペン入力するにはマシン重量2.13キロはキツい.机上に設置してペンで文字入力というのもなにだが、絵を描くならいいだろう.
Gプロセッサーは4コア+GTX1050を超える能力があることがわかった.Spectre15はゲームにもCGにも写真や動画の編集にも安心して使うことができる「プレミアム」なノートPCなのであ~る.