「raytrektab DG-D08IWP Siro」(以下DG-D08IWP)は、サードウェーブが販売するお絵かきタブレットだ。8型で、OSはWindows 10 Home(64bit)を採用している。
CPUにAtom x5-Z8350(1.44GHz)を採用し、メモリー容量は4GB、ストレージ容量は64GB。重さは約400gと、500mlのペットボトル1本にも満たない軽さを実現したモデルだ。
実はこのモデル、以前には微妙なデザイン&カラー違いで販売されていた。前モデルではブラックを基調として、Windowsタブレット特有のWindowsボタンをベゼルに配置したデザインだった。
新モデルのDG-D08IWPはホワイトとシルバーを基調とした、Windowsボタンのないデザインを採用。これにより、つるっとした外観で、高い没入感を実現すると共に、Windowsボタンの誤タッチも防いでいる。
筆圧感知は驚愕の4096段階
DG-D08IWPの最大の特徴は、4096段階の筆圧感知を実現したディスプレーと、付属のバッテリーを搭載しないデジタイザーだ。多くのデジタイザーは充電が必要となるが、DG-D08IWPでは、鉛筆やボールペンで紙に文字を書くように、バッテリー管理に気を取られずにペンが使用できる。
4万9800円というリーズナブルな価格も魅力の1つ。では使用感はどうか、本稿では1日使ってみた使用感をレポートする。
ペンの使いやすさは抜群!
付属のデジタイザーはおよそ5gという軽さ。市販の鉛筆は4~6gほどのものが多いため、重さも鉛筆に近いといえる。形状も六角柱で、一般的な鉛筆に近い握り心地を実現している。身近な筆記具に近づけたため、「デジタイザーに慣れる」労力を必要としないのは大きな魅力だ。
実際、ペイントソフトを使って文字を書いてみると、鉛筆やボールペンとそっくりの、見慣れた自分の筆跡がディスプレー上に現れた。
なおこのデジタイザーは、ペイントソフトのみでしか使えないということはなく、メニューの選択やタップにも使える。Windows標準のペイントソフト「ペイント3D」など、細かなオブジェクトを操作するようなソフトにも利用できる。
筆圧感知を活かして、細かく書き込むようなイラストにも対応できるだろう。あいにく、そのようなイラストを制作する技術がないので、イラスト制作の現場でどれくらい使えるのか、詳細に述べることはできないが、自分が使っていて感じたのは、とにかくアナログのペン、紙の組み合わせに近い使用感を実現しているという点だ。
力を込めればインクが強く出るし、なぞるように書き込むと、細い線が現れる。このバランスに、デジタル製品特有の「なんとなく思い通りに行かない」感じがなく、アナログの延長線上にある感覚で操れる。
デジタルでのコンテンツ制作に慣れている人なら、思い通りに操れる使い勝手のよさがある。もちろん、慣れていない人も、入門機としては十分すぎるほどの使用感を得られるだろう。
それにしても、バッテリーレスかつ、これほど軽いデジタイザーで、この使用感が出せてしまうとは驚き。デジタイザー技術にはワコムの「feel」テクノロジーを採用しているそうだが、ペンタブレットの分野で圧倒的なシェアを誇るワコムの技術が存分に活かされているといえそうだ。
Windowsの使用感は課題
一方で、Windowsの使用感には多少のストレスもある。Atom x5-Z8350はWindows 10を操るには、多少力量不足になるシーンがある。例えば、画像をJPGにレンダリングして書き出す場合や、その処理をしつつ保存先を選択するような場合だ。
長く待たなければいけないわけではないが、Core i5やCore i7モデルに慣れていると、瞬時に終わるはずの処理がワンテンポ遅れる感じは否めない。しかし、この仕様のおかげで、5万円を切るリーズナブルさを実現しているともいえ、割り切って使えば次第に慣れる範囲だろう。
raytrektab DG-D08IWP Siroは、とにかく安価で、とくにデジタイザーの使用感が抜群にいい。自宅でも、外出先でも気軽にイラストが制作できるWindowsタブレットとしては、現状これほど有力な選択肢はないだろう。