経済活動も促すパナソニック
パナソニックは無電化ソリューションプロジェクトにおいて、単に機器を寄贈するだけでなく、村に対して自律して運営、維持できる体制を構築することを求めている。
というのもパワーサプライステーションの場合、使用している蓄電池が5年で寿命を迎え交換しなくてはならないが、日本円で約100万円もの交換費用が必要になる。これは寄贈された村が負担することになるからだ。
つまり、村には5年ごとの蓄電池交換を維持するための仕組みづくりが必要になる。
そこで、ベービンセンナ村ではパナソニックやNPC法人の提案を受けながら、いくつかの仕組みを用意した。
ベービンセンナ村ではエネループソーラーストレージを使用している各家庭から、1日100チャット(約8円)の電気料金を徴収。また、ベービンセンナ ブランチ高校で使用していたディーゼル発電のための月100米ドル(約1万1000円)の軽油代を毎月積み立てること、乾季にはアイスキャンディーを作り、1本50チャット(約4円)で販売して収益を得るという3つの方法によって、5年後の蓄電池の交換費用を捻出することになる。
アイスキャンディーを販売するというのは新たな経済活動の開始ともいえ、電気を活用した新ビジネスの提案が、今後の経済活動の広がりにもつながることを期待しているという。
この地域の原住民族のトップであるミャンマー イワラジ管区カレン民族のガッシモミャンミャトゥ民族大臣は「パナソニックが無電化ソリューションを寄贈してくれたことで、無電化の村に電気が提供されるようになった。パナソニックにはとても感謝している」と発言。「電気がないことは子供の教育の遅れにもつながる。教育レベルをあげなくては国全体が進歩しない。そのためには電気が必要である。私たちは子供たちのためにも、パワーサプライステーションを大切に使い、長く維持をする責任がある。一致団結して取り組んでいきたい」と語る。
今回の無電ソリューションのベービンセンナ村への寄贈では、子供たちの教育環境を向上させたり、生活の質を高めたりすることが重要な狙いだが、それによって、子供たちが成長し、村を発展させたり、電気を使って新たなビジネスを創出したりといったことも期待できる。
パナソニックは、事業を通じて社会の発展に貢献することを経営理念にしているが、同時に企業市民活動を通じて社会課題の解決を目指することも重要な柱に据えている。
「無電化の地域にクリーンエネルギーをもたらし、よりよい生活、よりよい世界の実現を支援したい。子供たちには電気がある生活のなかでもっと勉強をしてもらい、ミャンマーや世界を背負っていく人になることを期待している」とパナソニックの福田部長は語る。
電気によって、ミャンマーの無電化村がどう発展していくのかが楽しみだ。
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