三井不動産は5月15日、東京ミッドタウン日比谷6階に、ビジネス創造拠点「BASE Q」のサービスを開始した。また同社は6月18日から、電通、EY Japanと連携し、日本の大手企業向けにオープンイノベーションを支援する「イノベーション・ビルディングプログラムを開始する。
大手企業対象のオープンイノベーション支援「BASE Q」と
ベンチャー支援事業「31VENTURES」の両輪でエコシステムをつくる
5月15日に開催された記者発表会では、代表取締役 副社長執行役員 北原義一氏とベンチャー共創事業部の光村圭一郎氏が登壇し、BASE Qのビジョンと「BASE Q イノベーションプログラム」の概要を説明した。
BASE Qとクルマの両輪の役割を果たすのが、総額300億円の新たなベンチャー育成投資事業だ。三井不動産のCVCファンド「31VENTURES Global Innovation Fund 1号」のパートナーでもある、グローバル・ブレイン株式会社とのジョイントベンチャーとして立ち上げ、資金面の循環システムを確立させる。BASE Qを拠点とした大手企業のオープンイノベーション支援と、この31VENTURESのベンチャー共創事業の両輪によって、ベンチャー育成のプラットフォーム、エコシステムの構築を目指すという。
ビジネス創出拠点としてのBASE Q
BASE Qは、ベンチャー企業やNPO、大手企業の新規事業担当者、クリエーターなど、新たな価値の創出と社会問題の解決を目指す人々が集う、ビジネス創造拠点としてのサービスを提供する施設だ。6月18日より始動するオープンイノベーション支援プログラムの運営拠点となる「Q LOUNGE」、最大450人収容可能な約500平米のイベントスペース「Q HALL」、「Q KITCHEN」、「Q STUDIO」などの設備を備える。
優れたイントレプレナーを輩出する「イノベーション・ビルディングプログラム」
6月18日からは、日本の大手企業を対象としたオープンイノベーション支援「イノベーション・ビルディングプログラム」を開始する。
三井不動産 ベンチャー共創事業部 光村圭一郎氏は、「オープンイノベーションの成功のカギとなるのが、優れたイントレプレナーの育成だ。イノベーション・ビルディングプログラムでは、イントレプレナーにとって重要な3つの要素である「Vision」「Diversity」「Commitment」の提供を目指す」と説明。そのために用意されたのが、1.伴走コンサルタント、2.Q School、3.Qラウンジ/コミュニティ、4.イベント――の4つのコンテンツだ。
●伴走コンサルタント
専属のコンサルタントとして、三井不動産の光村圭一郎氏、電通の片山智弘氏、EYACC 長嶋由晃氏ほか6名をアサイン。BASE Qに常駐し、イノベーション創出に必要な「戦略整理」、「探索・マッチング」、「協業・共創」の3つのフェーズを最大1年にわたりサポートする。
●Q スクール
大手企業の社員に欠けているイノベーションの知見や最新情報を体系的・網羅的に提供する。「ビジネス基礎知識」「社内制度・仕組み」「ベンチャー理解」「プロジェクト推進」の4つの領域について、約20の講座を開設。
●Qラウンジによるコミュニティーの形成
会員専用のラウンジスペース「Q LOUNGE」で、志を同じくする異業種・異能の方との出会いを提供。連携するベンチャー企業とのミーティングにも利用できる。
●イベント
「Q HALL」を活用し、イントレプレナーの刺激になるイベントを開催。「朝日新聞ダイアログAI FORUM 2018」、eiicon主催の「JAPAN OPEN INNOVATION FES」などが予定されている。
光村氏によると「ラウンジでの活動やホールのイベントによって、BASE Qを100のバックグラウンドをもつ人々が集まる場所へ育てていきたい」とのこと。
本プログラムは、大手企業を対象に1年単位の法人契約で提供する。料金は非公開だが、数千万円になるだろう、とのこと。初年度は約10社の大手企業の参加を想定しているそうだ。