コンテンツの使い回しを圧倒的に効率化できる「コンテンツタイプ」を新機能として掲げたCMSプラットフォームの最新版「Movable Type 7(以下、MT7)」がいよいよ正式にリリースされた。これまでの進化や新機能の概要についてシックス・アパートCTOの平田大治氏に聞いた。
企業サイトのニーズを汲んできたMovable Type
ブログサイトを効率的に運営できるCMSは、この10年で一気に企業に浸透した。現時点でもWordPressのシェアは高いが、セキュリティや運用の課題で異なる選択肢を求めるユーザーも多い。そんな企業向けCMSの有力な選択肢の1つとして挙げられるのが、日本国内でもシックス・アパートの「Movable Type」になる。
ブログツールとして登場したMovable Typeだが、カスタムフィールドの追加機能、複数ユーザーでの管理、データ取得APIの整備など企業サイトのニーズにあわせ機能を強化してきた。この結果、現在も商用パッケージ型CMSとしては高いシェアを誇っており、国内でも5万以上のサイトで利用されている。「初期バージョンからセキュリティ面がたたき上げられており、現場メンバーで運用しても情シスに迷惑をかけないCMS」と平田氏はアピールする。
Movable Typeは提供形態がバリエーション豊かなのも1つの特徴だ。買い切り型のソフトウェア版やクラウド版のほか、AWSのマシンイメージ版、ユーザー登録すれば利用できるサービス型の「MovableType.net」も用意されている。また、レンタルサーバーのビルトインCMSとして利用できるサービスもあり、運用の手間や柔軟性によってさまざまな選択肢の中から選べる。
サイト運用を圧倒的に楽にするコンテンツタイプ
企業Webサイトの構築は手組みからCMSへ移行してきたが、サイトが当初の情報設計の通りに行かない現状がある。そのため、同じ情報をなんども入力する必要があったり、カスタムフィールドを多用しているサイトが多々見られるという。「サイト立ち上げ時はとにかくアウトプットが重要だが、軌道に乗ってきたら、信頼できるサイトのアップデートや運用が重要になる。でも、多くの企業サイトはすでにカオス。まさにCMSの出番だと思う」と平田氏は語る。
また、この10年でWebサイトを利用するデバイスもPCからスマホにシフトしつつある。個々のデバイスに最適な見た目を提供するためのコンテンツとデザインの分離は以前から大きな課題だったが、今後ますます重要になっていくはずだ。
こうした中、最新のMovable Type 7で搭載された「コンテンツタイプ」の機能を使うことで、さまざまなコンテンツを自由にデザインして管理することができる。今までの「記事+カスタムフィールド」で本文に無理やり要素を突っ込んだり、タイトルを付与したり、アドインでカスタムフィールドを追加する必要もなくなる。
「今まではカスタムフィールドをとにかく多用していましたけど、コンテンツタイプの登場でコンテンツの使い回しがやりやすくなる。1箇所を変えれば反映されるので、サイトの更新も容易」と平田氏はアピールする。また、ブロックエディタの導入でデザインとコンテンツを分離することで、コンテンツの可搬性を高めることが可能になるという。
Movable Type 7正式版のダウンロードはすでに開始されている。「Jungfrau」のようにコンテンツタイプをビルトインされたテーマも用意されるので、まずは使って理解するのがよいだろう。「CMSをもっとカジュアルに使ってもらいたい。これから作るWebサイトには、ぜひコンテンツタイプで作ってほしい」と平田氏はアピールする。ソフトウェア版のライセンスは9万円(1サーバー・無制限ユーザー・1年間のメンテナンス付属)、クラウド版が月額5000円となっている(ともに税抜)。