「LIFEBOOK WU2/B3」は超軽量設計ながら、スタンダードなノートパソコンとしての使い勝手を追求したモデルだ。
基本的には、以前紹介した「LIFEBOOK WU2/B1」をブラッシュアップしたモデルで、基本構成はのプロセッサーはCore i3-7130Uだが、Core i5-8250Uに加え第8世代のCore i7-8550Uもカスタマイズできるようになった。
軽くてもすごく丈夫、マグネシウムリチウム
LIFEBOOK WU2/B3の大きな特徴は、最小構成時で787gという軽量設計だったが、LIFEBOOK WU2/B3でも最小構成時で790g、最大でも935gという軽さを実現。その軽さは健在だ。13.3型という大きすぎず小さすぎないサイズ感で、この携帯性の高さは、モバイルノートにおいては圧倒的なメリットである。
重量だけでなく、A4版の長辺297mmよりわずかに大きいおよそ309mmという幅は、ビジネスの現場では重宝する。書類と重ねて持ち歩いたり、ちょっとした移動の際に、ディスプレーとキーボードのあいだに書類を挟んでおける(推奨されていることではないが……)。
ディスプレーのよさも健在で、標準でフルHD(1920×1080ドット)仕様。ppi換算では166であり、ドットの粗が目立ちにくく、かつアイコンサイズなども小さくなりすぎないため、視認性もよい。
15.5mmという薄さながら、触った印象はとても剛性感が高い。前モデルに引き続きの仕様となるが、マグネシウムとリチウムを組み合わせた「マグネシウムリチウム合金」を採用しているためだ。
金属であるものの弾性が強く、質感は塗装してあると樹脂に近い。この金属の特徴として、歪ませたり、圧をかけるような押し方、つまりじっくりと荷重するような力に対しては、力強い粘りで反発するが、「コン」「ゴン」とぶつけたときのような、瞬間的で一点に衝撃が集中するような力に対しては、凹みが生じにくいという点が挙げられる。強度と軽さを両立するために選択したのだろう、硬度が高く、かつ粘りもあるという、ノートにとっては理想的な素材だ。
この筐体が壊れるとしたら、「強い金属が捻じ切れる」ような力がかかったときなどだが、日常生活ではあまり思い浮かばない。運悪く道路に落とし、最悪の角度で落ちたり車に轢かれたりしたときくらいだろうか。
前モデルの課題だった「打鍵感」の向上
キーボードの打鍵感について、前モデルでは「薄さと引き換えにストロークを多少犠牲にした」と評価した。具体的には、タッチがかなり軽く、ストロークするというよりは、「薄いスイッチを押す」といった印象の手触りだったからだ。
それがLIFEBOOK WU2/B3では、前モデルのキーストロークの公称値1.2mmを0.3mm上回る、1.5mmというキーストロークを実現している。0.3mmは極めて小さな数値に思えるが、キーボードとなると違いは大きい。作業中にずっと触れている部分の可動域の話になると、触ってはっきり違いを感じるレベルだ。
キーボードの改善点はストロークのみではない。キートップ形状を、従来のフラットなものから、表面がわずかにくぼんだ形状に変更している、この仕様はデスクトップ用のキーボードから薄型のノートまでさまざまなキーボードでみられるが、薄型の本機にとっては非常に大きなメリットだろう。
というのも、わずかにくぼみがあるだけで、タイピング時にキーの中央に指がくる確率が向上し、結果的にタイプミスも削減できる(キー配置に慣れると、無意識にキーの中央に指を運ぶようになるが)。
とても完成度の高いモデルながら、キーボードだけは改善の余地があった。今回、そこがブラッシュアップされたことで、また一歩モバイルノートの完成形に近づいたと評価できるだろう。
あえて不満をあげるなら?
余談だが、取材先でオフィスに社員を常駐させず、リモートで作業をさせていたり、オフィスのフリーアドレスを推奨している職場をみかける機会がたびたびあった。ASCII編集部もフリーアドレスの流れがあり、基本的にはデスクトップパソコンは廃止して、ノートでの作業が推奨されるようになってきた。
BYOD(Bring Your Own Device)も含め、場所や時間、機材など、おそらくビジネスの現場で最重要だった要素を、効率を優先して動かせるような風潮が生まれてきた中、こうした完成度の高いモバイルノートは、強い味方になってくれるだろう。高品質で高剛性、使い勝手もいいLIFEBOOK WU2/B3は、ノートを持ち運ぶ機会の多いビジネスパーソンにオススメしたいモデルだ。また同社では本機を「大学生向け」というカテゴリーでも販売しているため、学生の携帯用のノートとしても最適だろう。
基本的に試用しても不満は見えず、万人にお勧めできるモデルと感じたが、あえて弱点をあげるとすればどこになるだろう? 考えてみたが、これ以上を目指すとなると、「物としての魅力」など、数値に現れない要素になるのではないだろうか。
LIFEBOOK WU2/B3はどことなく、「誠実」や「堅実」といったワードが連想されるモデルだ。さまざまシーンで活用するであろう本機にとって、ここは明確なメリットである。高級感や質感のよさといった、いわば「華」のような言葉で連想される要素は薄いが、そういった要素は、ときに「華美」ととらえられる危険もあり、この誠実な造りや外観も、むしろこのモデルにとってはプラスになっているのではないか。
LIFEBOOK WU2/B3の主なスペック | ||
---|---|---|
標準構成 | 試用機 | |
CPU | Core i3-7130U(2.70GHz) | Core i7-8550U(1.80GHz) |
グラフィックス | インテル HD グラフィックス 620 | インテル UHD グラフィックス 620 |
メモリー | 4GB | 20GB |
ストレージ | 128GB SSD | 512GB SSD |
ディスプレー | 13.3型(1920×1080ドット)、ノングレア | |
内蔵ドライブ | ー | |
通信規格 | 有線LAN(1000BASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.1 | |
インターフェース | USB 3.1(Type-C)端子、USB 3.0端子×2、HDMI出力端子、マイク・ラインイン・ヘッドフォン・ラインアウト・ヘッドセット兼用端子、有線LAN端子、SDカードスロット | |
サイズ | およそ幅309×奥行212.5×高さ15.5mm | |
重量 | 約790g | 約916g |
OS | Widnows 10 Home(64bit) | |
価格(4月27日現在) | 11万6717円 | 19万9952円 |