わざわざ古い昔のレンズを使って写真を撮って何が楽しいのか……なぜなんだか知らないけど、わざわざ古いレンズを使って写真を撮る人たちがいるのである。
前回、ロモグラフィーが現代のカメラ用に復刻した「Petzval」レンズを使って猫を撮った話を書いたけど、あれは、昔の設計音レンズを現代に蘇らせたもの。
一般にいう「オールドレンズ」趣味は、昔作られて中古市場に出回ってたりじっちゃんが昔使ってたりなぜだか家に転がってたりする古いレンズを今のデジタル一眼に装着して撮影するのが好き、ってのを指す。
なぜそんな趣味が今脚光を浴びてるかというと、いや浴びてるってほどではないけど、確実に今のカメラに古いレンズをわざわざ付けて撮影してる人たちが結構いるからで、なぜそんな趣味が成り立つのかというと、実は「ミラーレス一眼」って古い大昔のレンズを装着して撮影するのにものすごく都合がいいのだ(その理由を詳しく解説すると長くなるので割愛するけど、まあ、構造上都合がいいのである)。
中央が前回使った「Petzval」。向かって左がCarl Zeiss Jenaの「Biotar 58mm」、右がペンタックス(当時はアサヒペンタック)の「SMCタクマー 200mm F4」。さらにここに写ってないけど、ニコンの「Ai Nikkor 24mm F2.8」もある
で、せっかくなのでそれらで撮った猫写真である。
手持ちのレンズで一番古いのが、Carl Zeiss Jenaの「Biotar 58mm F2.0」。かのライカと並ぶレンズブランドのカールツアイスであるが、何しろ1950年代の代物。60年以上前に作られたレンズだ。
単純に見た目がカッコいいので買ってしまったのである。状態はあまり良くないんだが、この1950年代に作られたレンズを、マウントアダプターを介して最新のデジタルカメラに装着すれば冒頭写真のようにちゃんと撮れちゃうってのがまた面白い。
このレンズ、絞り開放で撮ると前景背景がすごくいい感じにボケてくれるのであるが、ディテールの解像感が落ちる。F4くらいまで絞るとシャキッとして写りは格段によくなる。
冒頭のラブリーな猫写真はちょっと絞ってキリッとさせたもの。
絞り開放に近くなると全体に描写が柔らかくなり、背景のボケに特徴が出てくる。
お次は近所のおうちのガレージの奥にちょこんと座ってた猫。ちょっと絞って撮影。
58mmのレンズを富士フイルムのXシリーズにつけると、87mm相当になり、いい感じの中望遠レンズとして使えるのだ。
なんかいい感じではないか。もうひとつ、近所の路上にちょこんとすわってたチャトラも。1950年代に作られたレンズをチルト式モニターを使って猫アングルで撮るってのもなかなかである。
モノクロで撮るとまた味わい深い。
マニュアルフォーカスなのでピント合わせに手間はかかるけど、その分合わせたいとこにぴしっと合わせられるし、イマドキのミラーレス一眼は「部分的に拡大してピントを合わせる」とか「ピーキング」とかでマニュアルフォーカスをアシストする機能を持ってるので、結構何とかなるのである。
自分でピントを合わせるって意外に楽しい。

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