KDDIと米サンフランシスコに拠点を持つODG(Osterhout Design Group)は、xR技術を活用したスマートグラスの企画・開発を推進すべく、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。KDDIは国内での利用や同社のパートナー企業との実証実験などの面で、実用化に向けてサポートする。
今回の実証実験で用いられる、ODGが開発した「R-9」は、約181gという軽量な本体に、Snapdragon 835を搭載。単体で位置トラッキングに対応した各種AR/VRアプリを動作させられる。また、50度の広い視野角に加えて、22:9のワイド表示に対応。「THXディスプレイ規格」の認証を取得するなど、高画質なビデオの再生も可能としている。現在は無線LANでの通信機能しか持たないが、今後はモバイル通信への対応も検討するという。
質疑応答でも、マイクロソフトの「HoloLens」との違いについてたずねられたが、微妙に方向性が違うのではないと回答。小型軽量が利点で、このサイズで得られる体験価値では非常に優れているのではないかとした。また、Androidベースなので、既存のアプリとの親和性が高く、Androidアプリを開発しているラインがそのまま利用できて非常に効率的だとも説明された。
なお、ODGはもともとは政府向けに暗視スコープを開発していた企業。スマートグラスへの取り組みを開始して以降は、すでに軍事、ヘルスケア、救急、ロジスティック、建設、エネルギーなどの分野で実績がある。また最近発表されたFedExとの取り組みでは、パイロットの緊急時用酸素マスクにODGの技術を組み込むことで、ハンズフリーでモニター表示を可能にするとのこと。
一方のKDDI側のメッセージは「“ワクワク”を提案する」というもの。生活や社会にワクワクを提案するとともに、今回は「バーチャルキャラクター」とのコラボによるビジネス開発についても発表された。具体的には、初音ミクで知られるクリプトン・フューチャー・メディアとの間で開発した、ARアプリ「ミク☆さんぽ」を活用したARビジネスなどがある。
販売時期や価格などはまだ具体的には考えておらず、本格的な普及は5Gも含めて環境が整備される2020年頃と考えているとのこと。他のスマートグラスと同じく、企業ユースが先行されそうだ。