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ナベコのチェーン居酒屋巡り「ナベログ」 第3回

ナベコイチオシメニューは「たこぶつワサビ(自家製)」

居酒屋チェーンでおいしい料理を食べるなら「庄や」に限る 感想は「普通にうまい」の連発

2018年04月20日 17時00分更新

文● ナベコ

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 アスキーのグルメ担当ナベコです。この連載では、全国各地にチェーン展開している居酒屋を取材し、おすすめメニューなどを紹介します。通常のグルメレポートと異なるのは、料理やお酒などドリンクメニューの紹介以外にも、どういったお店なのか店内状況に至るまで、実際に利用する人目線でお届けします!
※あくまでもナベコが取材した店舗を基に記事を作っています。同じチェーン店でも店舗ごとによって環境が異なる場合もございます。予めご了承くださいませ。

 チェーン店はメニューが豊富だったり、値段も比較的安価だったりと利用する機会が多いですよね? ただ、意外と困るのが「公式サイトなどではわからないこと」もあるという点。たとえば、お箸が割り箸なのか、おしぼりはタオルなのか、などなど。飲み会などのシーズンでは、幹事を務める人が出席する人の要望にできる限り応えるという使命が(たぶん)ありますよね。そういうときに役立つような情報も本連載で紹介します。

 今回取材に行ったのは「くつろぎの里 庄や」。庄やというと、海鮮を売りにした「日本海 庄や」もありますが、「くつろぎの里」のほうは大衆割烹とうたっています。

 庄やというと長年あるので、私は「サラリーマンの居酒屋」というイメージがありました。実際はどうなのでしょう?

店舗情報
「くつろぎの里 庄や」
公式サイト:http://www.daisyo.co.jp/brand/syoya/index.html
料理ジャンル:お刺身、焼鳥など
看板メニュー:大漁盛り (12種盛り)など(1人前 1080円)

お通しのクオリティーがものすごく高い これは食べてほしい

 取材したのは、東京・千代田区にある「くつろぎの里 庄や」。水曜日の21時近くに行ったところ、お客さんは客席に対して3分の1ほど。待たずに席にとおしてもらえました。

 店員さんが元気よく「お仕事おつかれさまです!」とねぎらいの言葉をかけてくれたのがうれしかったです。

 まずはビール! 「アサヒスーパードライ(中ジョッキ)」(500円)を頼んだらすぐに出してくれました。「一呼吸するうちだ……」と思わず言ってしまいそうなほど。ビールも見た目からしておいしそう!

「アサヒスーパードライ(中ジョッキ)」価格は500円。めっちゃキレイじゃないですか?

 この連載では、ビールと泡が理想の比率に近いかナベコ独自に採寸しています。採寸したところ、ビール約13cmに対して、泡が約5cm。一説に理想の泡の比率が「ビール7:泡3」ときくので、そこそこ近め。見た目のキレイさも相まって◎です。

ジョッキの底の部分を省いて比率を見ています

 居酒屋の中にはビールの泡が少なめという店舗もありましたが、庄やではしっかり泡も「ふわっ」としていました。もちろん、ジョッキはキンキンに冷えていておいしい! 黄金の液体最高!

かんぱ~い

 「お通し」(350円)はだいこん、にんじん、こんにゃく、がんもどきを煮た、おでんふうの五目煮。山椒の葉が添えられているのが、お通しといっても気を配っていて好印象です。

 いずれも、おつゆのだしの味が染み染みでした。そぼくだけど、口が喜ぶ、家庭的な味。小料理屋でさっと出してくれる手作りの煮物という雰囲気でした。スタートにはぴったりです。

「お通し」価格は350円。このクオリティーは侮れません

適度な距離感と細かい数々の気配りが「庄や」にはある

 一旦ここでこの連載おなじみの「おしぼり」「お箸」などをチェックします。

 おしぼりは布製タオルで温かいものを出してくれました。しかも、店員さんが「レディーファーストで」と女性から手渡してくれたのも、優しさを感じました。チェーンの居酒屋で布のおしぼりをだしてくれるところって、この連載では初めてです!

本連載で初となる布製タオルおしぼり!

 お箸は使い捨ての割り箸でした。木の箸がいいと言う人もいる一方、衛生面を気にする人だと使い捨てがいいという声もありますよね。

ハイ!よろこんで

 オーダーするときは、注文用のタブレットではなくボタンを押して店員さんを呼ぶ形式。店員さんが直接注文を聞きに来てくれます。

ボタンを押してもいいですし、店内を巡回している店員さん声をかけても大丈夫

 印象としては「とにかく店員さんの接客がいい」。

 ビールを出してくれたあとに、こちらが食事を注文したほうがいいものとメニューを見ていたら「まずはどうぞ乾杯を」と気の利いた声がけをしてくれました。また、女性には食事汚れを避ける紙ナプキンを出してくれて、男性には「紙ナプキンがいらないなら、肩もみでも」とねぎらってくれました(笑)。

細かいところにも気を配ってくれるうれしいサービス

 店員さんの性格もあると思いますが、チェーン店でここまで親しげな接客をしてもらえたのは驚きでしたし、うれしかったです。しかも、押し付けがましい接客ではなく、「適度な距離」を置いてくれるのもよかったポイント。接客をウリにするチェーンはいくつかありますが、過度な接客だとかえってツライんですよね……。しかし、庄やは「空気を読んでくれた」のでもてなされている感じを一層受けました。

 さて。いざ注文しようとメニューをふとみると、グランドメニューのほかに手書きをプリントした日替わりメニューもありました。チェーン店ですが、個人経営の割烹に雰囲気が近いのかも、という印象です。

画像だと見づらいかもですが、料理の一覧だけでなく「今朝は雨が降っておりましたが、皆様無事出勤できましたでしょうか?」などと、その日あった出来ごとに関連した内容の一言が添えられています

手作り感が伝わってきて、どの料理も「普通においしい」

 庄やの看板メニューはお刺身。たしかにメニューのお刺身や牡蠣などはおいしそうなのですが……。今回は「サーモン西京焼き」(650円)が目に入ってしまいました。これは一度でも目に入ると注文せざるを得ない魔性の料理。

 そもそも、居酒屋でサーモン西京焼きってちょっと珍しくないですか? 実はサーモンでも「ほっけ焼き」(780円)と少し迷いましたが、結局最初に目に入ったサーモン西京焼きを注文。出てきたサーモンには大根おろしが添えられていました。

「サーモン西京焼き」価格は650円。これ、メニューで見たら食べたくなっちゃうんですよ……。ずるい

 箸を入れた瞬間から良い予感がしました。これは絶対においしいやつ。

 食べてみると、鮭の濃厚なうまみが口に広がります。西京味噌の豊かな風味が鮭を引き立てるったら。味噌を炙った香りも香ばしくて食欲をそそります。

 身は弾力があって、しっとりと柔らかいのがうれしい。自宅で調理したときのことを思い出すと、西京焼きって焦げやすいので注意が必要ですが、庄やの西京焼きは表面は焦げ目がついていますが、水分が抜けることなくジューシー。お店ならではのクオリティーなのでしょうね。期待を裏切らない、というか安心できる、というか普通においしいんです。

 サーモンと一緒に頼んだのは「元祖あさりバター」(580円)。あさりといえば春の旬のひとつですよね。

「元祖あさりバター」価格は580円。注文しただけで今回の取材が「あたり」だったと確定しました

 あさりの酒蒸しにバターを載せたあさりバターは、居酒屋メニューとして珍しくないですが「庄やが生んだ傑作」とメニューに書いています。

 大粒のあさりがごろごろ。染みるようなあさりのおいしさに、バターのマイルドさが追いかけてきます。

 へえ、と思ったのは、あさりバターというと塩分濃い目でしょっぱいものが多いですが、庄やのあさりバターは、塩気もバターの風味も適度も。あさりそのものの滋味深さもしっかりと味わうことができます。

味ヨシ、香りヨシ。お酒がすすむ一品です。おすすめ!

 喉が渇くくらいのしょっぱいあさりバターはビールが進みますが、こういう上品なあさりバターは日本酒にも合うだろうな。

定番揚げ物メニューも「普通においしい」連発でハズレなし

 お酒を追加するよりも、今回は料理の注文が多め。だって料理がおいしかったんで……。

 魚介を食べた後は、居酒屋では定番の揚げ物メニューに挑戦。まずは「とり唐揚げ」(550円)を頼みました! 「マヨ、おろしポン酢をサービスできます」と書かれていたので、注文時におろしポン酢をお願いしました。てっきりおろしポン酢だけが来るのかと思ったら、マヨも添えてくれました。さすが、わかってます。唐揚げにはマヨもおろしポン酢も好相性。鶏のから揚げ欲張りセット。

「とり唐揚げ」価格は550円。ひと目見たらわかる「確実においしい」という揚げっぷり。約束されたおいしさ

 揚げたてアツアツ。唐揚げはこうでなきゃ。レモンをしぼっていただきました。

 わー、ジューシー。

 衣は、ほんのり味がついていて香ばしいです。身はしっとり柔らかいのが特徴です。パサパサだったりしません。

 皮がクランキーにカリカリなわけではなく、家でつくった素朴な唐揚げ、という感じでした。慣れ親しんだ味というか……絶妙なんです揚げ方が。本当においしい唐揚げというのはこういうものなのだと思います。食べても食べても、飽きがきません。

 しかも、おろしポン酢を使うとさっぱりしてさらにパクパク食べられちゃいます。これはいけない。庄やはいけないメニューを出している。

 「唐揚げおろしポン酢は、ご飯にのせてもおいしいだろうなあ」と妄想しながら食べ続けました。自制という防波堤が崩れたら大変なことになっていたかもしれません。

別皿でもらえるおろしポン酢。唐揚げとの組み合わせは言うまでもなく完璧

 お次の揚げ物は、「ポテトフライ(ビール酵母漬け)」(450円)を頼みました。頼んだ理由は「ビール酵母」という言葉に惹かれたから。どうやら、ビール酵母は栄養満点なので料理にも活用できるようです。ビールは最強か。

「ポテトフライ(ビール酵母漬け)」価格は450円。揚げ物の神様

 ポテトは細めのタイプでした。焦げ目が少しできているようで、カリッと揚げられています。口に入れるとビール酵母のためかすっごく香ばしくて、ビールで流し込むと最高!

 考えてみると、ビール酵母×ビールの組み合わせは悪いわけがないですよね。塩味もたっぷりで、大衆受けもしつつ、酒飲みの舌に合います。私はどちらかというと太いポテトフライが好きだと思っていたのですが、スナック菓子のようにサクサク食べられてしまうポテトフライも魔性の魅力と再認識しました。これも「普通においしい」ずるいメニューです。

お酒選びに迷ったら庄やでは「店員さんに聞く」のが正解

 私が居酒屋で必ず注文するのはレモンサワー。庄やの「生レモンサワー」(400円)は、生果汁をチューハイに絞り入れるタイプです。私は、生果汁を搾るのが手間だと感じてしまうので、店員さんに絞ってほしいとお願いしたところ快く厨房で搾った生レモンサワーを出してくれました。ありがとうございます。

「生レモンサワー」価格は400円

 生の果汁を使っているので、さわやかなおいしさ。飲み過ぎてしまいそう。

 お酒がのってくると日本酒を飲みたくなってきました! 「庄や大徳利」(550円)という並々入っていそうな日本酒を頼もうとしたところ、「地酒がオススメ」ですと店員さんが勧めてくれたので、「澤乃井 大辛口(純米)」(一合650円)を頼みました。お酒で迷ったら店員さんに聞いてみるのがいいかもですね。

一升瓶から目の前で注いでくれる演出も!

 店員さんがグラスに注いでくれるのですが、こぼし方の見事なこと。グラスを升に入れているのですが、升の下にさらに受け皿を敷いて出してくれて、グラスにこぼすどころか、升までこぼして入れてくれました。

「澤乃井 大辛口(純米)」(一合650円)。白い受け皿で見にくいのですが、受け皿にもたっぷりと。こぼしてもらったぶんも考えると一合どころじゃないサービスな気がする……

 グラスの日本酒でしたが、実質1合近く量がありそう。店員さんのサービス精神におそれいりました。

 「澤乃井 大辛口」はスッと飲めて、後味もクリア。辛口の中にもフルーティーさがあって、全体的にとても洗練されています。東京出身の私としては、東京の地酒、澤乃井は大好きなんですよ~。庄やで飲めてうれしいです。

行儀が悪くて本当に申し訳ないとは思うんですが、この日本酒、一滴も残したくないくらい飲みやすくて……

 宵(酔い)が深まってきたので、お楽しみ的な注文も。「黒ひげ危機一髪ハイボール」(390円)は「黒ひげ危機一髪」に挑戦して、黒ひげが飛び出したらハイボールをもう一杯サービスしてくれるというメニュー。

「黒ひげ危機一髪ハイボール」価格は390円

 残念ながら黒ひげは飛びませんでしたが、懐かしいおもちゃで遊べて盛り上がりました。6人くらいでいっきに頼んだら、だれかは当たりそうですよね。

すぐ出てくるのにおいしい「たこわさ」に感動

 「普通においしい」が連発する庄やのメニューのなかでも、ナベコのおすすめは「たこぶつワサビ(自家製)」(380円)。ビールと一緒に、すぐ来そうなものを頼もうと思い最初にオーダーしました。

「たこぶつワサビ(自家製)」価格は380円

 たこわさ、というといいだこ(小さいたこ)を細かくカットして茎ワサビにあわせた、「モニュモニュ」したもの想像していましたが、出てきたのはゴロゴロしたたこぶつ。それに茎ワサビがあえられていました。

 お刺身としてのたこぶつじゃないですか。たこの種類は書いていませんでしたが、おそらく、まだこ。

 たこぶつは新鮮な味でぷりぷり。茎ワサビがピリリと効いてアクセントになっています。

 クイックメニュー的な立ち位置なのに、しっかり厚切りのたこが出てきたのは驚かされました。庄やって刺身が自慢だから海鮮がしっかりしているんだなとあらためて実感できた一品です。これも本当においしいのでおすすめ。さっぱり系ですけど、歯ごたえもあって幸福度が増します。日本酒との相性バツグン。しかも400円以下。

おいしい料理をチェーン居酒屋で食べるなら「庄や」一択

 庄やに行って驚いたのは、何から何までちゃんと手がかかっていて、おいしいところ。「当たり前だろ」と思われるかもしれませんが、よく、チェーンの居酒屋だと「ありきたりな味」というのがあるじゃないですか。そういうのじゃないんです。家でつくってくれた味に近い、親しみやすいおいしさです。

 例えば、唐揚げは「ふつう」に揚げたてでおいしかったです。でもその「ふつう」がお肉はジューシーでみずみずしかったし、実は手間がかかっているのではないかと彷彿させる質感でした。おろしポン酢を添えてくれる、というのも家庭料理的でうれしいかったです。

 店員さんの接客の良さもチェーン店のレベルを超えている感じがしました。しかも「おすすめの料理」「おすすめのお酒」をタイミングで教えてくれるのもうれしいところ。

ビールの泡がおいしそう

 ビールは泡がふんわりで注いでくれました。チェーン店だと、おそらく全自動で注げるサーバーを導入しているケースもあり、泡がふんわりしていないところもありました。その中で、しっかりふんわりで泡自体がおいしそうなビール。接待などでビール好きな人をもてなす時にもなにも心配なさそうです。

絶妙な距離を保つ接客と紙ナプキンなど気配り

 女性には服を汚さないように紙ナプキンを提供してくれたり、飲んでる最中に「これは手が汚れそうなので」とおしぼりを何度も交換してくれたりと、気配りが行き届いていました。おかげで心地良くのんべろべろりんできました。それでいて、よくあるチェーン店のような過度な接客による「うざったさ」を感じなかったのもよかった点。

ほかのチェーンに比べるとトイレの数は少ないのかも?

 行った店舗のトイレは、TOTOの温水便座で、個室内に花の装飾もあったりと清潔でした。ただ、行ったお店のトイレは近くにあったのが男女共同で1個だけだったので、タイミングによっては混んでしまうかも。

お会計は2人で約8600円でした

 今回のお会計は、(毎度のこと)2人でいって予算を深く気にせず飲んで、お酒11杯、食事5品で約8600円でした。あのクオリティーの食事にもかかわらず、これだけの出費に抑えられたのはありがたい! 高くなりすぎずに良かったという気持ちになりました。


 庄やは、サラリーマンの居酒屋というイメージでしたが、チェーンの居酒屋のなかでもとくに食事のレベルが高く、接客も良かったので、質の良い居酒屋だと再認識。選ばれ続ける理由がわかりました。

 メニューも豊富で、今回食べたサーモンの西京焼きのほか、豚の生姜焼き、などごはんが進む料理もあります。自分で食事の時に行くのもいいですし、例えば中学生くらいのお子さんがいたら、食事のおかずでかっこんでくれそうな気がします。そう考えると、いろいろなシチュエーションで利用できそうです。

 おつまみがおいしく、お酒も豊富なので、酒飲みにはうれしい。加えて、ごはんが進むメニューもあるので子供も満足。しかも接客がいいので、安心。そういう使い方もできるのではないでしょうか。

 迷ったら庄やは、間違いない選択肢です。「ふつうにいい」「ふつうにおいしい」を実感できるチェーンなのに、チェーンらしくない良さがあふれる居酒屋です。


■「庄や」で好きなメニューを教えてください

 みなさんは「庄や」に行くとなにを頼みますか? ナベコTwitter(@wagomunabe)に教えてください。Facebookもやっています!


ナベコ

寅年生まれ、肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。
ビール、日本酒、ワイン、ウイスキー、レモンサワー、ホッピー、アルコール全般が大好き。お酒に合う塩分高めの食事も。
「アスキーグルメ」でおいしい飲食情報を発信中!

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