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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第208回

20分でアイディアを議論してプレゼン発表、驚きの高校生のITリテラシー

2018年04月14日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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自然と3つのテーマに絞られた

 熊本県人吉市は日本三大急流の1つ、球磨川が織りなす自然や、平安初期の観音像をはじめとする熊本県内の2/3の文化財が位置する歴史と文化の地域。しかし前述の通り、高齢化と人口減少が食い止められずにいます。

 この問題をいかに解決するか、高校生は短い時間でアイディアを出し合いまとめました。そのアウトプットは、自然と街おこし、観光、教育の3つのテーマにまとまっていきました。

 その中でも特に面白いと感じたのは、「鎌倉化計画」というアイディア。聖光学院の生徒たちが通う神奈川県の古都、鎌倉を分析し、歴史をいかに観光資源に変えるかを学ぶとともに、新幹線が通っていない地域にいかに人を呼び寄せるかという問題の解決を考えていました。

 そこで出てきた妙案が、「移動を逆手に取ること」でした。

 急流で知られる球磨川は、川を遡る移動や物流が難しいとされてきました。江戸時代に治水工事を行い、人吉と八代の間の水運を発達させました。そこで、新幹線駅である八代からの移動そのものを観光資源に変えよう、という発想です。

 アイディアそのものも目からうろこですし、これを20分で初対面の高校生たちが作り上げたのですから。

 この発表を聞いて、異なる経験やバックグラウンドを持った人たちが力を合わせたときに発揮されるパワーが驚くべき物になることを思い知らされました。まさにそれがシリコンバレーの活力でもあるのです。

 日本も今後、人や文化の国際的多様性が高まっていくでしょう。しかし日本の中でも多様な文化は存在し、重なるとき力を発揮するのです。取材した筆者にも学びが多く、また勇気づけられる、そんな貴重なアイディアソンとなりました。

 そしてなにより、参加した生徒たちがその価値を実感し大切にしていることもまた、大きな意味を持っていると感じるのです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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