このページの本文へ

スピルバーグ監督も、俳優陣もみんなゴーグルをかぶって「レディプレ」を撮ったらしい

「レディ・プレイヤー1」レビュー = 30年後の世界で30年前を回顧できる驚愕の映画なのだっ

2018年04月12日 08時00分更新

文● 編集長みやの(@E_Minazou)+ アスキー映画研究部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷



 スピルバーグ監督の新作「レディ・プレイヤー1」(原題READY PLAYER ONE)が、日本でも4月20日より全国ロードショーとなる.アーネスト・クライン著の「ゲームウォーズ」が原作で、2045年の未来世界が舞台だ.試写でみることができたのでレビューを紹介したい.

VRで現実逃避というより
VRで生きることになった世界

 いまから約30年後の世界、一般のひとたちの多くは荒廃した現実に生きていおり、ゴーグル1つですべての夢が実現するVRワールド「オアシス」に逃避していた。そこは、誰もがなりたいものになれる場所で、お金を稼いで好きなものを買える夢の世界だ。

現実はトレーラーを積み上げた不安定な世界である

 ある日、オアシスの天才創設者からの遺言が発表される.「全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、オアシスの所有権を授ける」というものだ。突然の宣告に誰もが沸き立ち、争奪戦が始まる.

学校でも創設者の遺言が流れる

 17歳の主人公ウェイドはハリデーの遺産を追う挑戦者のひとりである.ウェイドの「オアシス」でのアバターはパーシバルという名前で、改造した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンで駆けまわる.

 そんなウェイドの冒険に欠かせないのが、オアシスの中で知り合った仲間たちで、もちろん実際の名前も姿も性別も知らない。一番の相棒は見るからに怪力なエイチで乗るクルマも凶暴だが、エンジニアとしての才能がありなんでも作ったり直したりできる.ウェイドの憧れの女性アルテミスは血気盛んだが、時折みせる哀し気な表情は彼女の少し悲しい過去を物語る。そして日本人のサムライ的キャラクターのダイトウは赤い兜と鎧姿で、顔は三船敏郎をモチーフにしている。そして、素早い忍者のショウの5人が、3つの謎に挑戦していく.

トップ5と呼ばれる主人公とその仲間たち

 対する悪役(?)は巨大企業のIOI(イノベーティブ・オンライン・インダストリーズ)社の重役ソレントだ。ソレントはありとあらゆる手を使って彼らの行く手を阻み、遺産を我がものにしようとする。

映画、ドラマ、ITにゲームの
なつかしキャラが全部入り

 このオアシスが楽しいのは、みんなが「好きなキャラクター」を出現させていることだ.最初の鍵を得るために設定されているのはニューヨークの街中を突っ走る「難解なカーレース」で、このシーンだけでも、『AKIRA』の金田のバイク、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、『ポールポジション』のF1カー、『バットマン』のバットモービル、『アメリカン・グラフィティ』のクラシックカー、『特攻野郎Aチーム』のバン、『マッドマックス』のインターセプター、そしてキングコングにT・レックスも登場する.

4月11日にレースバトルのシーンが長尺で公開となった!!リンクは記事の最後に!!

 このなんでもアリな世界を設定のとおりに映画として作ってしまったところが、さすがスピルバーグのパワーなのだ.おそらくほかの監督だと単なるお祭りになるところを、きちんとストーリーとして見せてくれる.「みんなが好きなもの」を現実化しているから、古今の映画、アニメ、テレビシリーズ、そしてもちろんあらゆる世代のゲームが登場する.○○に似たキャラクターが出てくるのではなく、まさにそのものというかホンモノが登場しまくるのが楽しいのである.

スピルバーグ監督も出演する俳優も
VRゴーグルを活用して撮影

 オアシスの世界はもちろんCGIで描かれている.広大な「仮想セット」がコンピューターの中に作られたわけで、スピルバーグは実際に自分のアバターを作ってもらい、ゴーグルをかけて、その中を動き回って、カメラ位置やカット割りを考えたそうだ.

 アバターたちはCGIだが、実際の俳優のモーションキャプチャー・データが使われており、その演技は当然ブルーバックでおこなわれるのだが、その前に、監督と俳優そろってゴーグルをかけてオアシスの現場を実際に体験してから、演技をおこなったという.新しい映画の作り方がまた始まったのである.

 仮想世界のセットと、モーションキャプチャーデータによって動くアバターたちのCGI、そのほかのキャラクターのCGIという多重のデータを映画界の2大CGIメーカーであるILM(インダストリアル・ライト&マジック)社とデジタル・ドメイン社が結集して作品化している.

 スピルバーグは仮想世界ときちんときり分けるために現実世界の映像をフィルムを使って撮影したという.実際にリアリティがそこにあるのはさすがなのである.

主演の2人に演技を指導するスピルバーグ監督

 というわけで、この映画は、70~80年代の映画ファンに、SF好き、もちろんITオタク、そしてゲーム好きなみなさん、すべてが映画を観ながらまさに「自分のイースターエッグ」探しを楽しめる映画なのである.つまり、30年前のコンテンツが30年後の世界で活躍するのである.VRのブームが再燃しそうな予感もする.自分も試写で観たのだが、あと5回は観ないとだめかもしれない.マッハ号とキティちゃんを見つけそこなっているのだ・・・・

名作映画へのオマージュとして制作・公開されたポスターたち.元ネタはすぐわかりますよね??

監督:スティーブン・スピルバーグ 脚本:ザック・ペン 原作:アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ」(SB 文庫)

ワールドプレミアに登場した出演者と中央がスピルバーグ監督

☆公開情報☆
『レディ・プレイヤー1』
4月20日(金)全国ロードショー 3D/2D/IMAX3DR/4D
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2018WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ