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率直に言って「いい音」、パイオニア初の完全独立型を聴く

2018年04月04日 18時53分更新

文● 編集部

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素直にいい音、そしてドラマチックな側面も

 SE-C8TWを使ってみよう。電源は左右別々に入れる必要がある。

 耳に装着して起動すると、まず最初に左右が通信しあって接続。レフトチャンネル・ライトチャンネルのように音声で状態を通知する。この状態でスマホとペアリングすれば、音楽再生が可能になる。操作については分かりやすく、説明書などを読まなくても使い始められると思う。

 本機のウリは何かと聞かれば、やはり高音質だろう。

 音は「素直にいい!」と思えるものだ。ダイナミックな表現で、サントラ(ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛やKINGDOM OF HEAVEN)などを聴くと、まるで映画館やホームシアターのサラウンド環境に放り込まれたよう。「えっ!? こんなにドラマチックに鳴っちゃうの」と感心したほどだ。情報量が豊富で、音量のダイナミクスを広くとったスケール感のある表現なのだが、同時にスッキリとしていて、長時間聴いても疲れないのがいい。

 ジャズの女性ボーカルを中心に数曲聞いてみた。声の再現は得意だ。

 印象的なのは、中音域の見通しの良さだ。質感が滑らかで、かつ抜けがよい。子音やブレス、滑舌の表現が細部まで伝わってくる。バックのスネアやシンバルなどもスパっと抜けるし、ベースやドラムのビート感もしっかりと再現できている。また高域がふわっと抜ける感じが爽快だ。中高域にかるいピークがある感じがするが、誇張しすぎた感じはしない。

 残響などソースの細かな情報もきちんと拾い、結果として広がり感があるサウンドに仕上がっている。クラシックなど音場の表現が大切なソースでも存分に力を発揮してくれるだろう。

 本体は12gあるが十分軽く、装着感も快適だ。形状的にも筆者の耳にはぴったり合った。長時間になると、ちょっと当たる感じもあるのだが、不快なほどではない。アクティブに動いても外れる気配はなく、問題なさそうだ。遮音性に関してはカナル型の製品としては普通といったところ。騒音のある場所では、周囲の音が聞こえる。

 なお、ハウジング部にはボタンがあって、ここをプッシュすれば、リモコン代わりにできる。またマイクを内蔵しており、ヘッドセットとしても利用できる。ボタンを1回押せば再生/一時停止の切り替え、2回押せば曲のスキップだ。スキップは左側が次の曲、右側が前の曲に移動。ちなみに3回押すとSiri(iOS)やGoogle アシスタント(Android)の起動ができるが、ボタンを押すタイミングがやや難しく、操作を失敗することが多かった。特にSiriの場合、起動に時間がかかるので、急いでいるときは使いにくいかもしれない。

快適さはもちろんだが、音の良さがずぬけている

 使ってみた感想としては、やはり「完全にケーブルがなくなる」というのは快適だということ。そして何より音がいい。Bluetoothイヤフォンとして想像していた水準を軽く超えてきたのでここに何より衝撃を受けた。

 Spotifyで配信されている曲には、圧縮されているとはいっても、なかなかに高音質なものが多い。そんな音源が持つ表情を隈なく再現できる「表現力の高さ」「臨場感の高さ」は本機が持つ最大の魅力だ。これをスマホとケーブルレスの本機を使い「手ぶら感覚」で体験できる点はとても自由だし、開放された気分になる。

 これまで左右をつなぐケーブルが襟元にあるぐらいならたいして気にならないと思っていたが、取り回しはやはり不便だった。ちょっとした拍子に出るタッチノイズに意識を奪われていたこともあった。

 SE-C8TWは音作りのうまさもあり、より気軽かつシンプルに音楽の世界に没頭できる。この快適さはぜひ一度体験すべきだと思う。音楽再生はもちろんだが、自由な姿勢で使えるので、タブレットなどで映画を観る際のイヤフォンとしてもお勧めしたい。

【今回聞いた曲】『Kingdom of Heaven Soundtrack』から「Crusaders」(Harry Gregson - Williams Klaus Badelt)、「La vie en rose」(Laura Fygi)、『ライヴ・アット・ウルフ・トラップ』から「ブラック・ウォーター(ライヴ)」(ドゥービー・ブラザーズ)、「デート・ア・ライブ」(sweet ARMS)、『DEBUSSY: LA MER, L.109; NOCTURNES, L.91』から「Fêtes L.91」(PIERRE BOULEZ, THE CLEVELAND ORCHESTRA)、『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 オリジナル・サウンドトラック』から「アスラン塚の戦い」など

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