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声優・小倉唯さん、作曲家・多保孝一氏に聞く

家族の総力も結集!? 小倉唯の初監修プレーヤーはこう生まれた!

2018年03月23日 11時00分更新

文● ASCII

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 発売が決まった「AK70 MKII Yui Ogura Edition」。人気のハイレゾプレーヤーを開発するAstell&Kernと、声優・小倉唯さんのコラボレーションで実現した限定製品だ。小倉唯さん自身が監修したデザイン、実姉のイラストレーターsakittyartさんによるイラストなど、小倉家の総力(?)を結集した製品でもある。

 また同製品には特別にハイレゾ収録した小倉唯さんによるサンクスメッセージに加え、取り卸しの新曲「Brand-New-Road」が192kHz/24bitのハイレゾ品質でプレインストールされることも決定した。特典となるサンクスメッセージを収録した直後の小倉唯さんと、Brand-New-Roadの作曲とアレンジを担当した多保孝一さんに、東京・乃木坂のソニー・ミュージックスタジオでお話を聞いた。

※製品の特典内容および多保さんのプロフィールなどはこちらの記事も参照。

母性のように聴く人を包み込むようなものを目指そう

 音楽プレーヤーをわたし仕様にデザインできるのは、歌い手の立場として光栄だし、ありがたいことだなと。CDデビューすら夢にも思っていなかったのに、プレーヤーにまでなるなんて。いい音楽をいい音質で楽しんでほしいという思いは作り手としてあります。いままでわたしの曲を聞いてくれていたファンも、わたし自身の声だったり音楽の魅力だったり、新しい曲の魅力に気付いてくれるのではないかな。

 そんな風に語る小倉唯さん。コラボレーションが決定して、嬉しさと不安が入り混じった気持ちになったという。

── コラボレーションの話を聞いて最初に思ったことは?

小倉唯 コラボレーションの経験はこれまでほとんどなかったので、嬉しさはもちろんありつつも、不安のほうが大きかったです。一緒に作っていくうえで、じぶんに至らないことが多かったら申し訳ないな、本当にいいのかな。とりあえず失礼がないように頑張りたいなと思いましたね。

── デザインの監修もされましたが。

小倉 デザインを自由に決められると聞いて、ぱっと思いついたのが、実の姉に協力してもらうおうということです。わたしのほうからスタッフさんにご相談して、実現しました。多くの人の力を借りながら、特別な想いを形にできる機会ですし、今までとは違った作品や表現にできたらいいなという想いで……。お姉ちゃんとコラボレーションできたらより愛着がわくかなと思って提案させていただきました。

── 楽曲を依頼された多保さんの小倉さんに対する印象は?

多保孝一 オファーをいただいてすぐに、ライブ映像を見ました。すごく大きな会場でファンの熱気に包まれて歌っている小倉さんの姿を見て、すぐに曲のイメージが浮かびましたね。メロディーなど具体的なものではないのですが、スケールの大きな曲にしよう。母性のように聴く人を包み込むようなものを目指そうと思いました。

── 楽曲を最初に聴いた際の印象は?

小倉 いつもより壮大で、見せる世界観も広い曲です。初めて聞いたときは、新鮮で正直、感動しました。あまりにも素晴らしいので、わたしが声を入れるのも恐れ多いなと。「仮歌で完成でもいいのでは(笑)」とも思ったのですが、せっかくの機会だから、純粋に楽曲を楽しみながら歌わせていただきました。

 普段いろいろな曲を聴いていますが、わたしが“聴く曲と“歌う曲”は必ずしも一致しない部分があり、今回いただいた曲は、どちらかというと “聴く曲”のほうに近く、チャレンジできるのが嬉しかったですね。

── 多保さんの小倉さんに対する印象は?

多保 僕の作る曲はメロディーのリズムにちょっと癖があるみたいで、苦戦する歌い手さんが割と多くいらっしゃいます。でも小倉さんは最初から自分のものにしていて、歌入れが順調に進んだのが印象的でした。初対面では難しいことも多いのですが、僕のディレクションを信頼してくれる感じが伝わってきて、僕もその信頼にしっかりと応えたいと思いました。結果的にいい録音ができたと思うし、イメージにぴったりのできあがりになったのが嬉しかったですね。とても楽しいレコーディングでした!

小倉 楽しかったです! 多保さんとは、レコーディングの現場で初めてお会いしたので、失礼がないようにドキドキしていました。でも歌を録るときには、できるだけリラックスして臨もうと心に決めていました。

 多保さんは、普段わたしが聴いていた楽曲も手掛けられていて、雲の上の方というイメージがあったんです。でも、実際にお会いしたら、フレンドリーに挨拶していただいて。わたしも心を開いていいんだという気持ちになれました。多保さんの優しさに後押しされて、リラックスして収録できましたし、ディレクション自体もすっごく分かりやすくて! 波長が合うというか、「きっとこういうことなんだろうな」と感覚的に頭の中に入ってきて。ストレスなく、歌えば歌うほど曲がつかめて、たくさんの発見ができるレコーディングでした。貴重で、すてきな時間を体験をさせていただきました!

多保 収録はブースとスタジオに分かれ、モニターを介して話すので、初対面だとコミュニケーションが難しかったりするのですが、小倉さんが心を開いてくれたので、とてもスムーズに進みました。コーラスのハモリのパートが多かったのですが、ここもすごく順調で。本当におつかれさまでした。複雑なコーラスラインを歌っていただいて。

── 難易度的にかなり高かったですよね。

小倉 わたし、もともとハモリが好きで。だから、現場でディレクターさんに急に振られたりもするんですが、今回は曲も曲だったので不安もありつつ……。でも、ハモリ好きなので楽しかったです。

── 仕上がりはいかがですか?

小倉 最初に聴いたとき、じぶんだけどじぶんじゃない人の歌を聴いているような不思議な感覚に陥りました。新しいじぶんを発見できたというか。(この楽曲の制作では)レコーディングしたきりで、テイクを聴きなおす機会がなかったので、わたし自身も楽しみにしていましたし、実際に聴いてこういう世界観になるんだと分かり、レコーディングの記憶がよみがえりました。愛が増えるというか……多保さんは母性と言っていましたが、神秘的で神聖な空気もありつつ、胸を打たれる強さとか世界観の広さなど、深みがあって、聴けば聴くほど発見があって……。癖になるリズムなど、いろんなギミックがはいっているんだろうなと思います。歌っているわたし自身が胸をうたれました。

多保 イメージしていたとおりというより、小倉さんの歌力(うたぢから)とか人間力を含めて、それを凌駕する仕上がりになりましたね。狙い通りの楽曲になったし、ご本人にそうおっしゃっていただけること自体がとても嬉しいですね。

── ハイレゾ収録となりましたが。

多保 そうですね。生楽器がハイレゾで栄えるアレンジにしています。坂部(剛)さんと共同でアレンジして、特にストリングスの部分を担当していただいたんですが、弦のラインはハイレゾを意識して考えてくれたんだろうと思います。トータルで見ても、ハイレゾプレーヤーに合った仕上がりになったと思います。

── AK70 MKIIを聴いてどう思いましたか?

小倉 先ほどじぶんの楽曲を聴いたんですが、すごく驚きました。こんなに「すごいんだ」と、ある意味素人視点で感じました。一方、録る側の小倉唯としては、ちゃんとしたスタジオでレコーディングさせていただいていますが、その環境とか生の演奏に近いぐらい精度の高さを感じたので、プレーヤーによってこんなにも変わるんだというのが正直な感想です。

多保 自分たちが現場で作っていたBrand-New-Roadが一番わかりやすいと思い、完成後にこのプレーヤーで聴くのをすごく楽しみにしていました。解像度の高さとレンジの広さですね。上も下もすごく伸びやか。解像度が高いので音の細部まで聴こえるけど、聴こえ過ぎることによって疲れたりということは全くなく、むしろ心地良いです。ストリングスやピアノ、そして小倉さんの声の高い周波数の帯域がきらっとひかるアレンジですが、そこがハイレゾで映えるようにうまく表現できていました。インストも含めて何回も聴いてしまいましたが、手放せない製品になりそうですね。

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