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マルチクラウド構築運用、マルチベンダー保守、Watsonによる高品質な自動化

IBM GTS事業、マルチクラウド時代を前提とした2018年戦略を発表

2018年03月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは2018年3月5日、ITアウトソーシングや保守のサービスを受託するグローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業における2018年の事業戦略説明会を開催した。昨年に引き続き、マルチクラウド/マルチベンダーへの対応、Watson/コグニティブ能力も適用した高品質な運用管理の自動化を推進していく。

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏

 日本IBMにおいて売上の4、5割ほどを占めるGTS事業は現在、「IBM Service」のブランド名で展開されている。エンタープライズアプリケーションのSIや運用だけでなく、ビジネス戦略策定や業務プロセス設計から、モビリティ、レジリエンシー(DR/BCPやバックアップ)、産業別ニーズに対応するソリューションまで、エンドトゥエンドでカバーしている。さらにマルチベンダーのハードウェア/ソフトウェア、マルチクラウド、マルチキャリアネットワークへの対応力も強みとする。

 発表会に出席したGTS事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は、GTS事業の基本ビジョンとして「クラウドとコグニティブの時代」に適した高品質なITインフラの構築/運用サービスを提供することを説明した。とっくにフォーカスしているポイントとして、「ハイブリッドクラウドとコグニティブの推進」「ハードウェア/ソフトウェアのマルチベンダー保守サービス」「オートメーションとIBMグローバル網を活用した高品質なサービスデリバリ」の3つを挙げる。

 特に、近年のクラウド移行/ハイブリッド化の動きに伴って、ITインフラの構成は複雑化し、利用するハードウェア/ソフトウェアが増えている。これに伴って、顧客企業自身が各ベンダーと個別に保守契約を結ぶことも困難になっており、IBMがワンストップで提供するマルチベンダー保守サービスのニーズが増えてくる、とマハジャン氏は説明する。

 同様に、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド化が進み、インフラ構成の複雑さが増すにつれて、障害への迅速な対応や人的ミスの削減を目的とする自動化ニーズも高まっているという。ここに「Watson」のコグニティブ能力を適用することで、設計/管理/最適化を自動化し、サービス品質を高めていく。

GTSが提供するITインフラの概念図。IBMが手がけてきたサービス運用データをWatsonが学習し、設計/管理/最適化を自動化する「IBM Services Platform with Watson」を取り入れている

マルチクラウド環境の「あるべき管理」を実現していく

 こうした全体像から、マハジャン氏は2018年の具体的なサービス戦略へとドリルダウンしていった。

 まずクラウドサービスについては、IBM Cloudだけでなく他社パブリッククラウド、さらに顧客のオンプレミス/プライベートクラウドまでを包含するマルチクラウド環境への対応を大前提として、その構築や運用に悩む顧客をエンドトゥエンドで支援していく。

 「顧客企業が望むのは、IBM Cloudも他社クラウドも含むマルチクラウド環境を一元管理し、セキュアに運用していきたいということ。(GTS事業本部では)今年からさらに組織を強化し、リソースも投入して、どんどん展開していく。実際、顧客の反応も非常に良い。やはり『困っていた』と言われる」

 続いてマハジャン氏は、マルチクラウド環境における「あるべき管理の姿」を説明した。その新しい管理モデルは従来のIT管理とは異なり、アジャイル開発(DevOps)やセルフサービスカタログ、オーケストレーション(運用自動化)などに適応していなければならない。これにより、IT部門が主導し、全社的なガバナンスを効かせつつ業務部門の「自由な選択」も許容するIT(クラウド)環境が実現できる。

 「マルチクラウド環境で必要とされるこうした新たなIT管理(のかたち)は、なかなか難しい。顧客企業、あるいはSIerでもできているケースは少ないと思う」

 マルチクラウド環境の「あるべき管理」を実現するモデルとして、すでに2年前からIBMが提唱しているのが“IT as a Service”だ。GTSではここに、自動化の仕組みとモジュール型のマネージドサービスを提供しつつ、「マルチクラウドインテグレーターとして、これまで蓄積してきた知識も合わせながらやっていく」と、マハジャン氏は語った。

IT部門が全社的ガバナンスを効かせつつ業務部門の自由な選択を許容する、マルチクラウド環境の「あるべき管理」を“IT as a Service”と表現

 続いて、ハードウェア/ソフトウェアにおけるマルチベンダー保守の提供だ。顧客のITインフラが複雑化しているのは前述のとおりで、ここでもワンストップの保守サービスが強く求められている。「ここも顧客は非常に困っている」。IBMでは25年以上にわたり、シスコシステムズ、HPE、Dell EMC、レノボなど400ベンダー、2500機種、累計23万台の機器に対する保守を提供してきた。マハジャン氏は、こうした実績に基づき、今後さらにニーズが高まると予想されると予想されるマルチベンダー保守を展開していくとした。

400ベンダー、2500機種に対応するワンストップのマルチベンダー保守サービスを利用することで、顧客企業は煩雑な対応を回避できる

 また、オートメーションとコグニティブのテクノロジーを統合し、サービスデリバリに適用することで、高品質化を進めていくことも強調した。ここでキーになるのが「IBM Services Platform with Watson」で、IBMが手がけてきた過去40年ぶん以上に及ぶサービス運用データを学習したWatsonが中核をなす。マハジャン氏は「これはIBMにしかできない」と強調した。Watsonは、一方でオートメーションシステムに対し自動実行指示を出し、同時に管理担当者には洞察とアドバイスを提供する役割を果たす。

オートメーション(自動化)に、過去のサービス知見を学習したコグニティブの能力を付加し、高品質化を追及する

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