このページの本文へ

事業本部長のマハジャン氏が戦略説明会で語る

日本IBM成長の鍵を握るGTS事業、「変革」が今年の戦略

2016年02月10日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本IBMは2月9日、グローバル・テクノロジー・サービス事業の戦略説明会を開催した。昨年10月からGTS事業本部長を務めるヴィヴェック・マハジャン氏は、同社の成長の鍵を握るGTS事業を大きくトランスフォーメーションし、顧客に新しいバリューを提供していく戦略を語った。

日本IBM 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏

SoR/SoEハイブリッドな「次世代のエンタープライズITインフラ」

 グローバル・テクノロジー・サービス事業(GTS)は、IBMの中で最大の売上比率を占める事業だ。提供するのは、エンタープライズ企業のITインフラを支えるための、ITアウトソーシングやITインフラ構築、テクニカルサポートといった技術サービス。グローバルでは32億ドル(2015年)とIBM全社売上のおよそ40%、日本ではさらに割合が大きく50%以上を占める。

グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業は、企業向けのITアウトソーシングやITインフラ構築、テクニカルサポートを提供している

 Fortune 500企業の71%、国内でも日経売上高ランキングトップ30社の70%がサービスを利用するGTSだが、マハジャン氏は「IT業界の変化とともに、GTSもトランスフォーメーションを続けてきた」と語る。現在のテーマは、エンタープライズが持つさまざまなITインフラをどのように統合し、クラウドやアナリティクス、コグニティブ、モバイルなど新たなテクノロジーを活用し、SoR/SoEの両方をカバーする“次世代のエンタープライズIT環境”へとつなげていくかだ。

 「IT投資はそれほど増えていないが、企業競争力はITインフラの『最適化』によって高めることができる」「エンタープライズにおいては『ハイブリッドクラウド』が現実的なアーキテクチャになる。複数のクラウドベンダーから複数のクラウドを導入している顧客は多くあり、さらにオンプレミスのシステムもある。これらを統合して、新しいサービスをどう顧客に提供するかが、企業の最大のチャレンジ」(マハジャン氏)

IBMが考える次世代のエンタープライズITインフラは、SoR/SoEの両方を支える“ハイブリッドな”もの

 さらに、次世代のエンタープライズITアーキテクチャにおいては、ビジネスに直接貢献する「スピード」と「アジリティ」がキーワードであり、そのためには既存のサイロ化されたシステム群を統合して全体最適化されたアーキテクチャが重要になると、マハジャン氏は述べる。

組織改編などGTS自体の「トランスフォーメーション」も図る

 前述したとおり、GTSでは顧客に対するITアウトソーシングやテクニカルサポートのサービスを提供している。その中でも、具体的にフォーカスするのは「モビリティ」「レジリエンシー」「ネットワーク」「クラウド」「セキュリティ」といった領域だという。

GTSが提供するサービス。ちなみにシステム構築やサポートにおいては、たとえばシスコなどIBM以外のマルチベンダー製品約3万種に対応する

 顧客のニーズやIT業界の変化に対応すべく、さまざまな側面からGTS自身のトランスフォーメーションも図っている。たとえば、従来は分かれていたSO(ITアウトソーシングサービス)とITS(IT構築サービス)の組織を、1つのITインフラサービス組織(IS)に統合した。そのほかマハジャン氏は、人材のスキルアップ、サービスデリバリーモデルの“自動化”推進、インドや中国にあるIBMの開発やサポートリソースの日本市場向け活用などを挙げた。

自動化や「Watson」技術を活用した、迅速で効率的な新しいデリバリーモデル。マハジャン氏は国内顧客の事例を紹介した。「この分野は日本がリードしている」

 また、エンタープライズIT分野におけるIBMのすべてのオファリングについて、さまざまな形の“as-a-Service”モデルで提供していく方針を強調した。「すでに〔提供を〕スタートしており、逆にここまでやっているところ〔ベンダー〕はないと思う」「クラウドとコグニティブ。IBMとして、基本はそこで勝負する」(マハジャン氏)。

今年は新たに統合監視/管理サービスや「Mac at Work」を提供開始

 最後にマハジャン氏は、今年提供を開始する新しいサービスを2つ紹介した。

 1つめの「IMI(Integrated Managed Infrastructure)」は、オンプレミス/クラウドのヘテロジニアス環境に対応した、ITインフラのリモート監視/管理サービスである。監視/管理ツールは「IBM SoftLayer」ベースのクラウドで提供し、IBMのデリバリセンターからオペレーションを行う。これにより、運用の一元化と費用の最適化、迅速な運用開始といったメリットが得られるという。

 「どの顧客も、一部はAWS、一部はAzure、またはGoogle……、さらにオンプレミスもある。IMIは、こうした環境を統合管理する。顧客の関心も非常に高い」(マハジャン氏)

 もう1つは、IBMとアップルの提携に基づくOS Xデバイスの管理サービス「Mac at Work」である。すでにiPad/iPhone向けのテクニカル/保守サービスは提供しているが、その範囲をMac製品にも拡大する。

 Mac at WorkはすでにIBM社内で自社利用をスタートしており、従業員の要望に応じて選択できるMacは毎週1900台ペースで増加、6カ月間で3万台を配布したという。ヘルプデスクを利用するMacユーザーはわずか5%で、ヘルプデスク要員も少なく済むことから、導入1台あたり270ドルのコスト削減効果があったと説明している。

社内へのMac配布や管理をIBMがサポートする「Mac at Work」

a

 「日本IBM全体の売上を伸ばすためには、GTS事業を伸ばさなければならない。これまでのSO〔ITアウトソーシング〕の顧客に、IBMとしていかに新しいバリューを提供できるかだ」(マハジャン氏)

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    ホワイトハッカーの卵たちが“OTセキュリティ”を通して育む、これからのセキュリティ意識

  2. 2位

    TECH

    量子力学に強く惹かれ、量子ビットの高性能化に一貫して取り組む

  3. 3位

    ITトピック

    AI時代の高スキルIT技術者“争奪戦”/AIの成果創出に進む日本企業、障壁は/7割の企業で「AIの不具合」、安全性や財務の影響実態、ほか

  4. 4位

    デジタル

    「前例をなぞって楽をしていた」―― 滋賀県のkintone活用を好転させた“失敗起点のフレームワーク”

  5. 5位

    デジタル

    ヤマハ、RTX840/RTX1300のDNS防御を強化 拡張ライセンス「YSL-CLDDNS」発売

  6. 6位

    sponsored

    「運用負荷を下げなければ、セキュリティは高まらない」 企業が直面するネットワーク運用の難題にどう向き合うか

  7. 7位

    デジタル

    ヤマハ、Wi-Fi 7対応「WLX333/WLX232」に運用支援機能 「Wi-Fi快適度」を可視化

  8. 8位

    ソフトウェア・仮想化

    VMwareはセキュリティを提供する企業 Broadcom買収から3年後の現在地

  9. 9位

    sponsored

    生成AI活用で業務変革を進める宇宙スタートアップ企業アストロスケールホールディングス(Microsoft 365 Copilot導入事例)

  10. 10位

    TECH

    【12/3・参加無料】情シスの皆さん、今年の“ヤバかった話”で忘年会しませんか? セキュリティ談義とクリスマスグルメで乾杯!

集計期間:
2026年10月31日~2026年11月06日
  • 角川アスキー総合研究所