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マルチベンダーOS/DB/VM/NWに対応、復旧手順のGUI作成やドライ・ラン機能など搭載

複雑なシステム環境の復旧処理を自動化、IBMがDR対策製品を発売

2017年10月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは10月12日、システム復旧自動化ソリューション「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」を発表した。マルチベンダー/ハイブリッド環境に対応しており、GUIによる復旧手順(ワークフロー)の作成、本番稼働に影響を与えず復旧処理のリハーサルを実行できる「ドライ・ラン」機能、RTOやRPOを具体的に計測/評価する機能などを備える。

「IBM レジリエンシー・オーケストレーション」の概要と特徴

日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 レジリエンシー・サービス事業部長の高瀬正子氏

同事業本部 レジリエンシー・サービス事業部 コンサルティング&ソリューション企画の内山豊和氏

 IBM レジリエンシー・オーケストレーションは、IBMのグローバル・テクノロジー・サービス事業本部(GTS)がこれまで提供してきた事業継続/DR対策サービス「IBM レジリエンシー・サービス」を補完するソフトウェアソリューション。IBMが昨年(2016年)買収したサノビ・テクノロジーズ(Sanovi Technologies)の災害復旧(DR)管理製品をベースとしており、顧客導入型のソフトウェア、クラウド型マネージドサービス、GTSアウトソーシングサービスの一部という3つの形態で提供する。

 発表会に出席した日本IBM GTS事業本部 レジリエンシー・サービス事業部長の高瀬正子氏は、近年の顧客システムではインフラのハイブリッド化やアプリケーションの多様化に伴って複雑化が進んでおり、顧客自身もシステム障害からの早期復旧やビジネス継続に「不安を抱えている」「自信がない」と説明。今回のソリューションが、システム復旧プロセスの標準化と自動化、プロセスの可視化、属人性の排除などにより、システム復旧の実効性を高めてビジネスリスクを軽減するソリューションであることを紹介した。

顧客環境が抱える課題と、IBM レジリエンシー・オーケストレーション導入により期待される効果

 IBMでは、同ソリューションの導入によって、専門スキルを持つエンジニアへの依存度やDRテストにかかる時間、リカバリ作業時に必要な人的リソースを大幅に削減できるとしている。

 IBM レジリエンシー・オーケストレーションのライセンス価格は、保護対象とする仮想マシン1台あたり12万3800円から(税抜、ソフトウェア購入時)。またクラウドサービスでは月額払いでの利用も可能。提供開始は11月1日より。

「システム復旧に対する顧客の“不安”を解消できる製品」

 IBM レジリエンシー・オーケストレーションは、Webダッシュボードやワークフロー作成、ドライ・ラン、レポーティングなどの機能を提供する。同社 GTS事業本部 レジリエンシー・サービス事業部 コンサルティング&ソリューション企画の内山豊和氏が、デモを交えながらその概要を説明した。

 ダッシュボードでは、各種アラートのほか、システムごと(本番/復旧環境のグループごと)にデータ同期が取れているかどうか、システムのRPO(目標復旧時点)やRTO(目標復旧時間)が適正な範囲内に収まっているかどうかなどを一覧で表示する。加えて、システムごとに具体的なRPOの時間やRTOのステップ数も表示できる。

IBM レジリエンシー・オーケストレーションのダッシュボード。システムごとのRPO/RTOが適正な範囲内にあるかどうかも一目でわかる

 またドリルダウンすることで、たとえば特定のシステムにおける復旧処理の各ステップに要する時間(ドライ・ランにおける実測値)を個別に確認することも可能。これにより、RTOが適正範囲内に収まっていない場合の対応検討が容易になる。

ドリルダウンして復旧処理の各ステップでかかる時間を調べることで、RTO目標達成を支援する

 システムごとの復旧処理手順(ワークフロー)は、GUIで構成することができる。顧客自身でオリジナルのスクリプトを作成することも可能だが、IBMのシステム製品および主要サードパーティ製品(OS、ミドルウェア、ネットワーク、ストレージ、IaaS)に対応した400種類以上のコマンドライブラリが用意されており、また手順をまとめた基本テンプレートも提供されるので、これらを活用することで容易にワークフローが構成できる。

復旧処理手順(ワークフロー)はGUIで簡単に構成できる

主要サードパーティ製品も含む動作検証済みコマンドライブラリが提供されており、ワークフローの作成時に活用できる

 作成したワークフローは、ドライ・ラン機能を使って実際に本番/復旧環境でシミュレーションすることが可能だ。本番稼働に影響を与える操作は除外しつつ実行することができ、また実行結果のログはレポートとして確認できるため、定期的に実行して復旧手順に問題がないかを調査し、復旧処理の失敗を未然に防ぐことができる。スケジュール設定によりドライ・ランを自動的に定期実行させることも可能。

作成したワークフローの実行テスト(シミュレーション)が行えるドライ・ラン機能。各ステップにかかる時間も計測され、前述のRTO/RPO評価に反映される

 高瀬氏は、企業システムにおいては開発者と運用者間での情報連携ができていないことがしばしばあり、開発側での変更(たとえばファイルのパス変更など)によって準備していた復旧手順が失敗するケースもあると指摘。ドライ・ラン機能を使って「半年に1回、年に1回ではなく、毎日でも」復旧処理のリハーサルを行って、復旧手順を確実なものにすることで、こうした事故も防げると語った。

 またIBM レジリエンシー・オーケストレーションは、特定の仮想化環境やOS、データベースなどだけを対象とした復旧処理ではなく、それらとも連携しながら“仮想マシン+OS+データベース”といったシステム単位での復旧処理ができる点が大きな特徴だと説明。現時点では競合となる製品はないのではないかとの認識を示した。なお同日のデモでは、AWS上で稼働するLinuxマシン上のOracle DB(Data Guardで本番/復旧環境間のデータ同期を実行)に対し、本番/復旧環境間の切り替えを実行して見せた。

 「顧客に(同製品の)紹介をすると、システム復旧にまつわる今までの“不安”を解消できることがよくわかった、と言っていただける」(高瀬氏)

 なお、海外ではDRソリューションに対する投資意欲も強く、同ソリューションは特に金融機関や公共セクターなどで採用事例が多いという。ただし、国内市場に目を移すと「売上を上げるためのアプリケーションには投資しても、システム復旧にはなかなかお金がいかないのが日本の現状」(高瀬氏)であり、市場を育てていく必要もあると高瀬氏は語った。DR対策への意識が強い金融や保険だけでなく、ビジネスが24時間稼働するグローバル製造業などにもその必要性を訴えていく。

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