フレンチテックの成功に続くか CES 2018「JAPAN TECH」登場
クリエイティヴ・ヴィジョン、大広、フィラメントの3社が共同出展
今年も米ラスベガスで開催された「CES 2018」に、日本からの出展企業を集めたエリア「JAPAN TECH」が登場しました。
このエリアは、日本の技術力を世界にアピールすることをテーマに、クリエイティヴ・ヴィジョン、大広、フィラメントの3社が共同出展スペースとして確保したもので、出展企業を募る形で実現したとのこと。
最近の大型展示会では、「フレンチテック」のように国や地域の名前を冠した展示エリアが増えており、JAPAN TECHもそのトレンドに乗った形になっています。
「香り」テックに日本企業も参戦
IoTやX-Techの流行によりさまざまな領域に「テック」が進出する中で、未開拓の領域として注目される分野のひとつが「香り」です。
JAPAN TECHではスタートアップ企業のVAQSOが「VAQSO VR」を出展。OculusやHTCなどのVRヘッドセットに「香り」のカートリッジを装着し、同社が無償提供するAPIを利用してVRコンテンツと香りを連動させる仕組みです。
すでにVRコンテンツでは、視覚や聴覚に訴えることで没入感のある体験を実現していますが、そこに香りが加わることでさらに臨場感が高まるというわけです。いよいよ2018年には一般発売を予定しているとのこと。
JAPAN TECHの中では、ほかにもScenteeがAIを利用したアロマディフューザーとして「Scentee Machina」を出展。テックによって香りをコントロールしようという試みは、これから盛り上がっていきそうです。
江崎グリコが音声アシスタントサービスを出展
JAPAN TECHに出展した企業の中で、意外な存在といえるのが江崎グリコではないでしょうか。CESのブースでは、日本で発表したAmazon Alexaスキル「教えて!ぐりこっち」を展示しました。
具体的には、食材の名前を挙げることで、その栄養成分や豆知識を音声で答えてくれるというもの。すでにAlexaスキルのストアで公開されており、Amazon EchoなどAlexa対応製品から無償で利用できるようになっています。
音声アシスタントを提供することで、具体的にどのようなビジネスにつながるのでしょうか。現時点では具体的なビジネスよりも、同社による研究開発の成果に誰もが触れられるようにする、コーポレート・ブランディングの一環と説明しています。
実際に使ってみると、ゆるキャラのような姿形こそ見えないものの、「ぐりこっち」という音声キャラクターと対話することで、江崎グリコのブランドイメージが形作られるような感覚を受けました。大企業による音声アシスタント活用の可能性を示す取り組みといえるのではないでしょうか。
立地は微妙だったものの、2019年にも期待
CES全体を通してJAPAN TECHを見てみると、初めての出展ながら手際が良い印象でした。また、出展企業を純粋なスタートアップだけに限定せず、最近増えている大企業のスタートアップ的な取り組みにスポットライトを当てているのも面白いところです。
ただ、ブースを訪れた人の多くが語っているのが立地の微妙さです。JAPAN TECHはコンベンションセンター南側に新設された巨大なホールの端っこにあり、よほど気合いの入った来場者でないと到達できないほど、入口からの距離がある場所でした。
一般に大型展示会では、毎年出展を続けている常連企業が良い場所を押さえているため、新規出展者にはつらいものがあります。また、CESのスタートアップ展示といえば別会場の「エウレカ・パーク」が中心で、JETROはこちらに出展するなど、日本からの出展が2つに分裂してしまった感もありました。
初年度の出展としては十分に成功したといえますが、2019年はもう少し立地の良いところへの本格展開に期待しています。