謎のユーザー・オシレーターが楽しみ「prologue」
mini、monoと来て、今回はpro。コルグの新アナログシンセサイザー「logue」シリーズの第3弾。「4ボイスじゃ足りないよねー」というminilogueに対する声はよく聞いていたので、そこに向けた製品なのだろう。
ここ10年ほどのコルグは「テクノ人類御用達」のイメージが強かったが、バリバリに弾きまくりたい人には待望の製品かもしれない。鍵盤のクオリティーにもこだわり、Made in Japanをうたっている。
同時発音数とキーの数の違いで、バリエーションは2つ。16ボイス61鍵の「prologue-16」が23万7600円、8ボイス49鍵の「prologue-8」が18万3600円。今までのコルグの相場感からすれば、確かにお高いが、16ボイスで20万円台なら大バーゲンだ。
16にはロー・ブースター/コンプレッサーの「L.F. COMP.」がマスターエフェクトとして載っていて、そのためのVUメーターも付いている。その分、ちょっとカッコいい。16と8の価格差は大きくないので、16が結構人気を集めるような気がする。
基本は2VCOのアナログシンセながら、ニュースはデジタル音源にある。マルチエンジンと呼ばれる3種の音源が載っていて、ひとつは「ノイズ」、ひとつは「VPM」(一般的に平たく言うとFMと称されるアレ)、そしてもうひとつは「ユーザー・オシレーター」。
このユーザー・オシレーターの詳細は不明だが「自作のオシレータープログラムがロード」できる領域が確保されているらしく、またデフォルトでモーフィング・ウェーブテーブルが載っているそうだ。オシレーターやエフェクトは「Prologue SDK」というツールや、専用のライブラリアンソフトで書き換えが可能らしい。発売は今年2月中旬の予定。
今さらながら必須の「volca mix」
volcaシリーズが発売された最初の頃から「ミキサーやってる(開発してる)んですよねー」という話は聞いていた。それが今ごろ? という気もしないではないが、待っていた人は多いだろう。volca複数台持ちユーザーなら、必ず買わなければならないモジュールだ。
まず、volca 3台分のパワーサプライとして機能。接続機器の一括同期ができるシンク・アウト端子付きで、テンポ管理もできるマスターコントローラーとして働く。もうこれだけで買いだ。
ミキサーとしては、3台のvolcaをミックスできる4チャンネル仕様。1と2がモノ、3/4でステレオ。これはモノラルのvolca keys、volca bass、volca beats、volca kick、ステレオのvolca sample、volca fmを、それぞれ適当に割り振って使ってね、というコルグ様のお告げである。
各チャンネルにはワンノブタイプのLO/HI CUTフィルターとミュートボタンが付き、フェーダーを目一杯上げると6dBのブーストがかかる。内蔵エフェクトは実戦対応型で、モノ入力をステレオに広げるエキスパンダー、そして低域の入力に反応して高域のレベルが落ちる、マルチバンドコンプレッサー的なものが入っている。これでサイドチェーンコンプの効果が生まれる。
ちなみに各チャンネルにセンドアウトレベルのノブがあり、そのリターン端子である AUX IN はステレオミニという仕様。これは明らかに外部エフェクトとして mini kaoss pad をつなぎなさいというお告げである。
そして時期未定ながら、volca3台とvolca mixが入れられるセミ・ハード・ケース「SEQUENZ CB-4VOLCA」の発売もアナウンスされている。これもvolca2台しか持っていないなら、今のうちにもう1台買っておけというお告げに違いない。
ミニフォーンの入力端子を持ったコンパクトミキサーは選択肢が少ないので、volcaユーザーならずとも注目だろう。volca mixは1万9440円で2月下旬発売予定。
次回はギター関連製品をお届けする。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ