ベンチにより大きく傾向が変化する
まずは定番「3DMark」から始めることとしよう。DirectX11ベースの“Fire Strike”“Fire Strike Ultra”、DirectX12ベースの“Time Spy”そして“Time Spy Extreme”の4種類のテストで比較する。
さすがCUDAコア数5120基のモンスターGPUだけあって、どのテストでもOC版GTX 1080Tiを上回っている。この形でみると伸び率があまり分からないが、今回GTX 1080Tiに対するTITAN Vのスコアー比をみると、Fire Strikeが5%、同Ultraが8%に対し、Time Spyで16%、同Extremeだと24%と、負荷が高いほどスコアーの伸びは良くなっている。
つまりフルHDの描画負荷の低い環境では、CUDAコア数の多さやメモリー帯域の広さといったTITAN Vのメリットは活きない、という傾向がありそうだ。
続いては「VRMark」だ。これまで使用してきた“Orange Room”“Blue Room”に加え、DirectX12ベースの“Cyan Room”も比較対象に加えた。
Cyan Roomもパフォーマンスも気になるが、既存のGPUではマトモにうごくものがないBlue Roomが、どの程度動くのかに注目したい。
負荷の低いOrange Roomでは、どのGPUも260fpsあたりが天井になるのか、スコアーはほとんど伸びない。それどころかGTX 1080Tiの方がスコアーが上回ることすらある。
だがBlue Roomになると一気にTITAN Vが本気を出す。Blue Roomのターゲットfpsは109、つまりBlue Room相当のゲームが出た場合でも素のTITAN Vではカクつきは避けられないといったところだが、OCすればかなりターゲットfpsに近づくことができた。
だがそれ以上の注目したいのはCyan Roomのスコアーだ。従来のGeForceではスコアーはOrange>Cyan>Blueの順で低くなる。しかしTITAN VではCyan Roomのスコアーが一番高い。
DirectX12ベースである故の結果なのか、単純にTITAN Vのスペックが効いたのか、はてはVoltaから導入されたキャッシュやディスパッチ周りの改善なのかは判断できないが、DirectX12ベースのゲームに対しTITAN Vはかなり相性が良いことがうかがえる。
では実ゲーム系ベンチに入ろう。まずはDirectX11ベースの「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチを利用する。画質は“最高品質”とし、解像度をフルHD/WQHD/4Kの3通り(解像度は以降同様)で計測した。また、テスト中の平均fpsも合わせて比較する。
まずフルHD時のスコアーを比較すると、素のTITAN VではOC版GTX 1080Tiに並ばれるどころか、微妙にスコアーで上回られてしまう。
ただ平均fpsでは1fps未満なので、差という程のものではない。ここでも“描画負荷が低すぎる状況ではTITAN Vは力を発揮できない”ケースが確認できた。
だがOCすれば一気にスコアーを伸ばすため、素のTITAN Vの弱点はコアクロックの低さであると推測できる。前述の“ゲーミング贅肉”をそぎ落とし高クロック化すれば、もっと違う結果になるだろう。
コアクロックが低いという弱点は、描画負荷が高くなるに従い相殺され、逆にCUDAコア数の多さやメモリー帯域の広さがアドバンテージになる。
WQHDになると素の状態でもGTX 1080Tiを上回り、4Kになると平均フレームレートにして8fps近くの差になる。現状のTITAN Vのコスパは最悪だが、ゲーマー向けのVoltaが出れば、また違った評価になるだろう。
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