業績が悪化しサービス事業に着手
だが遅きに失し、富士通に買収される
さて、問題はここからだ。IBMは1990年代、自社製品をCMOSベースのマルチプロセッサーシステムに切り替える。従来のバイポーラベースのマシンは1990年に投入されたES/9000が最後で、この後継として1994年に投入されたS/390シリーズ(厳密にはこのS/390の第3世代であるG3)以降、IBMはCMOSベースのマルチプロセッサー製品を投入していく。
こちらは当初こそ動作周波数も低く、多数のユーザーが利用する環境はともかくとして重い処理をする場合には派手に処理時間が増えたため、これを嫌ったユーザーは一時的にAmdahl Computerを選んだ。
ところがこの頃になると、別にIBMのメインフレームやその互換機でなくても、市場には多数のシステムが存在しており、この機会にメインフレームからUNIXなどの世界に移行したユーザーも少なくなかった。
これはIBMのみならずAmdahl Computerの市場そのものが縮小することを意味しており、1993年は売上が16億8000万ドル(前年は25億2000万ドル)まで縮小し、5億7500万ドルの赤字を出す。
Amdahl Corporationは製造設備の閉鎖や3回のリストラを余儀なくされた。それもあってサービス事業に注力することになり、1994年にはビジネス分析やビジネスモデリングのソフトウェア製品を生み出した。
さらに1994年に投入されたXploler 2000シリーズは、同社とOracle、Information Builderの3社の提携をベースとしており、Sun MicrosystemsなどのUNIXマシンからOracleに簡単にアクセスできるようになる。1994年末になると、そのSun Microsystemsと提携してA+ Editionと呼ばれる協調ソフトウェアもリリースされている。
ただ、こうした動きは遅きに失した感もある。1995年の売上は15億2000万ドルまで下がっており、特に第4四半期は4億1610万ドルの売上に対して3840万ドルの損失を出しており、これを受けてZemke氏は1996年3月に辞任する。もっともこの後も財務状況は好転せず、1996年は16億3000万ドルの売上に対し、3億2600万ドルの赤字を出している。
この大きな要因は、空冷はそろそろ無理があるということで導入した水冷関連の設備投資によるものだが、他にもCMOSベースに製品ラインナップを変えるべく研究開発に投資したことが関係している。
ただこれもまた遅きに失した感が強く、さらにIBMが急速にCMOS技術を改善していった結果、もはやAmdahlの製品は製品競争力を失いつつあった。1997年中旬までに同社は6四半期連続して赤字を計上、最終的に1997年9月に富士通がAmdahl Corporationの株の58%を8億7800万ドルで買収し、事実上富士通の子会社になった。
AmdahlのURL(http://www.amdahl.com/)はまだ残っているが、富士通アメリカにリダイレクトされるだけになっている。
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