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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第438回

業界に痕跡を残して消えたメーカー UNIX市場を拡大しダークサイドに堕ちたSCO

2017年12月18日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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もう1つのSCO
SCO Group

 ここまでが1つ目のSCOである。2つ目のSCO GroupはCaldera, Inc.を軸に始まる。もともとCaldera, Inc.はNovellの社員だったBryan Sparks氏とRamson Love氏が1994年に創業した。

 Caldera, Inc.はLinuxをコアに、まずCaldera Network Desktopという製品をリリース。その後ドイツのLinux Support Team Software GmbHと、同社が提供していたLST Linuxというディストリビューションを入手。さらに1996年にはNovellからDR-DOSの権利も獲得するが、この際にマイクロソフトと訴訟騒ぎになる。

 この結果、同社は訴訟に専念するCaldera Inc.と、ソフトウェアを開発するCaldera Systems, Inc.に分離する。

 2000年にこの訴訟は和解に達し、Caldera Inc.は業務を停止。そしてCaldera Systems, Inc.はCaldera Holdingとして新規株式公開を果たし、その際に得た資金を元にSCOのUnixWare/Open Serverの資産一式を買収。

 その後、Caldera Internationalに社名を変更。2002年8月に今度は社名をSCO Groupに変更する。買収した際にSCOのブランドの利用権も含まれており、これを行使した形だ。

 さて、当初はまじめに(?)Linuxの普及などに努めていた。Caldera International時代はSuSE LinuxやTurbolinux、Conectivaと共同でUnited Linuxという標準化団体を構成し、その際にLove氏も説明のために来日している

来日したCaldera International CEOのRansom H.Love氏

 ただLove氏は2002年6月にCEOを辞任。後任にはNovellでVPなどを勤めていたDarl McBride氏が就く。McBride氏は就任直後に社名をSCO Groupに変更し、ここからあらぬ方向に進展していく。

UNIXの著作権を主張
業界と全面戦争の構え

 「あらぬ方向」とは著作権ビジネスである。SCO Groupによれば、同社はNovellからUnix System Laboratoriesの資産を買収した際に、UNIXのソースコードの著作権も譲り受けたとしており、これをビジネスにするというものだ。

 手始めのターゲットはIBMである。SCO GroupはIBMがLinuxにUNIX Sysyem Vのソースコードを組み込んでおり、LinuxはUNIXの不正な派生物であるという主張を始め、2003年にIBMに対して10億ドルの訴訟を提起する。

 さらに、Linuxのエンドユーザーに対してライセンス料を支払うように要求した。おまけにIBMのAIXに対するライセンスを破棄したため、IBMは直ちに反訴することになる。

 こんな主張をすればLinux業界側も黙っておらず、RedHat LinuxはただちにSCO Groupを提訴する。おまけにNovellは、UNIXの著作権はSCO Group(旧SCO)には売却していないと主張した。

 SCO Groupは四面楚歌の状態に陥ったのかというとそうでもなく、マイクロソフトはSCO Groupに投資を行なっていたりする。マイクロソフトからすれば、UNIX/Linux業界の足並みが乱れていれば、その間にWindows NTのシェアを伸ばせるわけで、実に理にかなったマイクロソフトらしいロジックである。

 話を戻すとIBMに続き、同社はダイムラークライスラーとAutoZoneも訴えている。また、対IBMの訴訟では金額を当初の10億ドルから後に30億ドル、ついで50億ドルまで引き上げている。

 もっともSCO Groupは、不正にソースコードを流用したとしつつもその部分を開示しなかったり、GPLは無効と主張するなどいろいろ無茶があり、ほぼすべての訴訟で負けている。

 「ほぼ」というのは、著作権がNovellとSCO Groupのどちらにあるのかに関する訴訟で、地裁で一度はNovellに著作権があると認定されたものの、控訴審ではSCOに著作権があると認定されたためである。

 ただこれも最終的には再びNovellに著作権があると認定されている。ちなみにこの判決が出たのは2010年6月のことである。実に7年も裁判をやっていた訳だ。

 もっとも同社はここまで持ちこたえなかった。なにしろ訴訟で勝ち取った賠償金は事実上ゼロなわけで、しかも裁判なので弁護士代を含む訴訟費用は莫大なものになる。

 結局2007年に同社はまずChapter 11(民事再生)の申請を出すが、まともな再建プランが出せず(なにしろ裁判に勝つことを前提とした再建プランしか立てられなかったからだ)途中でChapter 7(会社清算。いわゆる倒産)に切り替える。

 最終的に同社の資産はUnXis, Inc.という会社が2011年に買収したものの、そのUnXis, Inc.もすでに存在しない。

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