驚くべき再生能力を秘めた、1点ものカートリッジ『朱雀』
トップウィングは12月6日、都内で発表会を開催し、今後取り扱う一連の新製品を紹介した。
まずは青龍に続く自社ブランド第2弾のカートリッジ「朱雀」(すざく)。2018年2月の出荷を目指しており、価格は100万円(税抜)を予定している。青龍から引き続き、MC/MM方式それぞれの特徴を併せ持つ「コアレス・ストレートフラックス型」のカートリッジだ。「最近増えてきたシェルを使わないアームにも対応できるよう、軽量なカートリッジが欲しい」とする欧州市場の意見を参考に、青龍に比べて軽量化した。
青龍はジュラルミン削り出し素材だったが、軽量化と音質に悪影響を与える共振を防ぐため、エンジニアプラスチック、チタン、カーボンなどの素材を使ったハイブリッド素材にした。本体価格の1割程度の料金で部品(針など)交換に対応するなど、長期間使える点もアピールしている。
音質面ではセパレーションと定位、明確な音像などアナログレコードの再生では難しい部分に着手したという。100万円のカートリッジというのは驚くほど高価にも思えるが、相応にコストを掛けたつくりになっているという。もともと数が出る製品ではないため、日本の中小工場(いわば大田区の下町ロケット)の力を借りながら、量産効果などは考えずに1点のみの生産でも工業製品として最高の水準が得られる点を重視したそうだ。
コンパクトなDACやパワーアンプも投入
ほかにアナログ入力やMQAデコードにも対応した、M2TECHのコンパクトなプリアンプ内蔵DAC「YOUNG MKIII」も紹介。M2TECHはJOPLIN MKIIというフォノ入力付きのA/Dコンバーターを出しているが、その受けに使えるようデザインを揃えている。
AES/SBU、SPDI/F入力に加えて、Bluetooth通信機能(aptX対応)なども持つ。USB入力時は、DSD256やPCM384kHz/32bitなどに対応。アナログ出力はXLRのみだが、アダプターでRCA出力にも対応する。バランス接続とアンバランス接続ではゲインが異なるが、出力電圧が3種類(2.7Vrms 5.4Vrmw、10.8Vrms)選べ、高出力な信号を受け取れないアンプにも対応できるそうだ。
インピーダンスも100Ω(RCA変換)、200Ω(XLR)を用意。位相反転機能も持つ。ほかに英語のAndroid版のみだがリモコンとフロントパネルの操作を一括でできるリモコンアプリ(YOUNG MKIII Remote App2)も用意している。
M2TECH製品としてはパワーアンプの「Crosby」もリリース。同社初のデジタルパワーアンプで、ICE POWERを使用している。単体での利用も可能だが、複数台を用意したブリッジ接続も可能。単体では60Wrms(8Ω)だが、ブリッジ・モノで使用した場合、350Wrms(4Ω)の出力が可能。トリガー信号でYOUNGとの電源連携も可能だ。
アクティブノイズキャンセリングで、電源のノイズをカット
iFI-Audioからは、AC電源のノイズを低減する「iPurifier AC」を12月に投入予定。価格は1万6000円(税別)。ACコンセントやACタップなどに入れて、アナログ信号にデジタルの高周波ノイズなどが混入するのを防げる。アクティブノイズキャンセラレーションを使用しており、単純なパッシブフィルターを使用した機種とは異なり、100MHz程度の高周波だけでなく、より低い周波数帯のノイズもカットできるという。
本体にはPolarityとEarthという2種類のLEDが用意されており、それぞれが赤・緑に点灯して電源の極性エラーが出たり、アースがきちんととれてないといった電源状態が分かるようになっている。また保護回路を持ち、過電流になった際にシャットダウンする効果もある。サージなどを挟むのに比べて高音質な再生が可能だという。
香港AROMAのヘッドフォンアンプ「CYGNE」
AROMAからはヘッドフォンアンプの「CYGNE 10」をリリース予定。価格・発売時期などは未定。DAC機能はないアナログアンプで、上部のふたを開いてオペアンプの交換も可能。非常に高出力で、AKG K1000、Abyssといった鳴らしにくいヘッドフォンにも十分に対応できるとする。このために自社開発の電源トランスなども開発したという。
TELOSからは、コンパクトなデジ/アナ分離用アクセサリーの「GNR Mini」を投入予定。入力端子を2系統に絞る一方で、6系統あった従来機種に対して30~40%程度の価格に抑えるという。加えて、電源タップにつないでノイズを取る「QNR」も投入予定。価格的には10万円台半ばを想定しているそうだ。2018年第1四半期の発売を予定している。