スマホなどからPCへと勢力を拡大するクアルコム
常時接続&20時間使えるSnapdragon搭載Windows 10 PCがASUSやHPから登場
2017年12月06日 16時00分更新
各国のキャリアと強いパイプをもつASUSがSnapdragon搭載Windows PCを開発
これまで培ってきたスマートフォンでの取り組みを生かしつつ、5G時代を見すえ、デバイスの幅を広げていく――その一環として発表されたのが、Snapdragonで動く、Windows 10搭載PCだ。
モデムまで一体化したSoCのSnapdragonを利用する最大のメリットは、「創造性を発揮したり、ほかの人とコラボ―レーションしたりが、いつでも、どこでもできるようになる」というところにある。常時接続に、より対応しやすくなるというわけだ。
Amon氏によると「さらに重要なのがバッテリーライフ」だという。Snapdragonを搭載したPCは、「20時間以上の駆動時間となり、ユーザーの行動を変える可能性がある」。
通知を受けたり、ネットワークを前提にしたアプリを利用できたりと、「スマートフォンに期待していることが、PCでもできるようになる」。基調講演では、こうした特徴を備えたSnapdragon搭載PCの商用モデルが、ついに発表された。
トップバッターとなるのが、台湾のASUS。同社が発表したのは、「NovaGo」と名づけられた2in1 PC。ディスプレーを180度回転させ、キーボードと背中合わせにすることで、タブレットスタイルになるPCだ。Windows Inkにも対応しており、ペンを使って手書きもできる。
チップセットにはSnapdragon 835を採用。下り最大1Gbpsを実現する「X16 LTE Modem」も備える。4波のキャリアグリゲーションや、4×4 MIMOにも対応。eSIMに加え、nano SIMのSIMカードスロットも用意している。
ストレージは最大256GB、メモリーは最大8GBと、スペックもスマートフォンに近く、22時間のビデオ再生や、30日間のスタンバイを実現した。
NovaGoは、2018年に発売が予定されており、価格はSKUによって異なる。先に挙げたストレージが256GB、メモリーが8GBのモデルは799ドル(約8万9977円)。ストレージが64GB、メモリが4GBのモデルは599ドル(約6万7455円)となる。
ASUSは、世界各国の通信事業者(キャリア)をパートナーに据える方針。同社のCEO、Jerry Shen氏は、現時点では、アメリカ、中国、イタリア、イギリス、フランス、ドイツの6ヵ国で、キャリアとのパートナーシップを構築していくことを明かした。
HPもSnapdragon 835搭載で、連続ビデオ再生時間は最大20時間
Snapdragon搭載のPCを発表したもう1社が、HPだ。HPは、デタッチャブル式の「ENVY x2」を基調講演で披露。チップセットには、ASUSと同じく、Snapdragon 835が採用され、モデムはX16 LTE Modemとなる。
ビデオ再生は最大20時間と、こちらもバッテリーのもちがいいのが特徴だ。メモリーは最大8GB、ストレージは最大256GBで、2018年の春に発売となる。ディスプレーは12.3型。どちらの機種も、OSにはWindows 10 Sを採用する。
実機は未発表だったが、基調講演では、レノボが2018年1月に開催されるCESで、Snapdragon搭載PCを発表することが明かされた。このほか、通信部分を担うパートナーとして、ソフトバンク傘下のSprintが登壇。COO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)のGunther Ottendorfer氏が、無制限のデータプランを提供する意向がある旨を語っている。
初のSnapdragon搭載PCだが、実機は予想以上にスムーズに操作でき、Officeなどのアプリもきちんと動作していた。ASUSのNovaGoはSprintのLTEに接続していたが、通信速度も下り100Mbpsに迫り、サイトなどもすばやく表示された。
ただし、OSがWindows 10 Sのため、Microsoft Store以外のアプリがインストールできず(Windows 10 Proへのアップグレードは可能)、いわゆるデスクトップアプリは利用できていない。こうしたアプリがどの程度、スムーズに動作するのかは未知数だが、発売までまだ時間はある。今後、徐々に出そろう情報に注目しておきたい。