JAWS FESTAで友岡賢二CIOがぼっちに熱いエール!
武闘派CIOが「コミュニティに参加する理由」を経営理論からひもとく
2017年11月27日 09時00分更新
自身の体験から語る仕事に悩む人へのエール
そして、最後は「多少、説教くさくなるけど」と前置きした若い人に送る言葉。まず友岡さんは「仕事とは?」という問いに対して、「好きなこと」「できること」「やらなければならないこと」の3つに分類する。「最近の流行としては『好きなことをやりましょう』だけど、好きなことできていない人いっぱいいますよね」と友岡さんは語りかける。もちろん、幸せな人は好きなこと、できること、やりたいことが一致している人。一方、不幸せな人は、できることが小さくて、やらなくていけなければならないことがいっぱいあってもできない。そして、好きなことがまったく別なところにある人だ。
その意味では、友岡さんも社会人デビューも不幸せな人だったという。大学で学んだマーケティングではなく、入社して就いたのがSEだったからだ。「最初の集合研修でCOBOLのプログラムを作るんですけど、斜め前に座っていた京大出身の女性は『これって一般教養のレベルより低くね?』といって、課題を20分で終わらせたんです。でも、キーボード触ったことない僕は、5時間かけても、6時間かけても終わらなかった。そのときに人生詰んだと思った」と振り返る。
3年経って人並みのエンジニアになったものの、マーケティング部への配置転換もままならないまま30代を送った友岡さんだったが、海外赴任中の40代のとき、IBMのCIOとインタビューしたことで人生が変わった。「会社をトランスフォーメーションさせるのがCIOは本質的な仕事で、システムを作る仕事じゃないとおっしゃっていた。そのときの彼女の熱気に当てられて、僕はCIOになることに決めた。そして、50歳で実際にフジテックのような大企業のCIOになることができた。ちゃんと夢は叶うんだと思った」と友岡さんは語る。
そんな経験を披露した友岡さんは若い人に向けて、まずはやらなければならないことをやって、できることを増やした方がよいとアドバイスする。「僕は『皿に盛られた飯を食え』と言ってますが、つまらない仕事が当てられても、それを世界の誰よりも速くできるよう努力した方がよい。その先でその仕事を好きになるかは自分の気持ち次第」と友岡さんは語る。
「旅をする」「人と会う」を実現できるって、JAWS FESTAやんけー!
もう1つ話したのは「プライド」と「ブランド」という話。キャリアに悩んでいる人の多くは概して自身にしか興味がないため、プライドが邪魔して人へのモノの頼み方も邪険になりがち。一方、ブランドは自分で作ることができず、信頼の積み重ねで他人が作るもの。そして、友岡さんはブランドの醸成に価値を見いだしてほしいと訴える。「ブランドは期待値。頼まれてもいないことを察して動くのがブランドを作る1つの秘訣。プライドの高い人は頼み方1つでやったり、やらなかったりするけど、ブランドを作る人はそんなことは考えない。イチローさんは会ったことのないみなさんの期待値にきちんと応えるから、ブランドが大きくなっている」と友岡さんは指摘する。
友岡さんは「働く」という行為を、単にお金の働くという「Labor」、自律的に動けるスペシャリストの「Work」、ワークとライフが一体化したプロフェッショナルの「Play」、マイスターや神の領域の「Art」という4つの発展段階に分類する。「スターバックスの店員さんだって、甲子園球場のビールの売り子さんだって、Artの領域に達している人いるはず。では、みなさんはどこにいますか? どこに行きたいですか?」と友岡さんは問いかける。
友岡さんはジャック・ウェルチや松下幸之助、柳井正、仏陀、キリストなど、いわゆる偉人たちの言葉を引き、「人を成長させることの重要さ」「誰にだって敬意をもって接してもらう権利がある」「成功の秘訣は『運と愛嬌』」「真・善・美」「怒らないこと」などの重要さを立て続けに語る。どのトピックも「偉い人がこんなことを言っている」という紋切り型の紹介ではなく、自身の体験と気づきを踏まえ、部下に語りかけるような口調だ。
最後、友岡さんは、「本を読むこと」「旅をする」「人と会う」という3つが重要だと力説。「本はいつでも読めるけど、旅をするのと人と会うのは意識しないとできない。でも、それができるのがここJAWS FESTAやんけー!」と1時間の講演をまとめた。
JAWSのイベントに出ていると、ぼっちの参加者はつねに気になる存在だ。そんな人たちに話を聞いてみると、実際に「うちの会社では僕しか来ていない」「イベント参加するのに、申請書が必要になる」などが聞こえる。今回の友岡さんの講演は、こうしたぼっち参加という問題点をコミュニティに共有しつつ、むしろ「ぼっち最高やんけー!」と理論武装とオーソライズを与えたのがインパクトだった。そして、松山まで旅をして、人と会うことの意義を改めてかみしめることができた。
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