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今年は松山!JAWS FESTA 2017レポート 第4回

AWSやkintone、twilio、SORACOM、stripeまで勉強会を総ざらい

娘の前で語った沖さんのマルチコミュニティ活用術がナウい

2017年11月16日 07時00分更新

文● 重森大

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コミュニティ活動に積極的なアールスリーインスティテュートの沖 安隆さん。JAWS-UG愛媛以外にkintone Cafe愛媛、TwillioJP-UG愛媛、さくらクラブ愛媛、SORACOM UG Shikoku、JP_Stripesなどでも活躍している。「マルチコミュニティで見えてきた、地方だからできるコミュニティ活動の一例」と題するセッションで、複数のコミュニティで活動するメリットを訴えた。

コミュニティに参加することのメリット、デメリット

 まず沖さんはコミュニティでよく言われることをいくつか取り上げた。いわく「100回の参加より1回の登壇」、いわく「ブログを書くまでが勉強会」など。いずれもよく言われていることだし、参加するだけではなく情報発信を行なうことでコミュニティから得られるメリットが大きくなるのは、JAWS-UG on ASCII読者ならすでによくわかっていることではないだろうか。

コミュニティ活動をより充実させるために

 「しかし一方で、コミュニティ活動にのめりこむことによる弊害がないわけではありません。IT業界に限らず、組合活動に熱心すぎてお店をつぶしてしまったなんて話も聞きます。また、週末に出かけることが増えるので家族からの反発もあります」(沖さん)

 そもそもコミュニティに参加するのは新技術を学ぶなど、本業に活かしたいがため。コミュニティ活動により得たことを本業に活かす、その循環を心がけることがコミュニティ活動を続けるためのポイントだと沖さんは語った。

コミュニティ活動にはダークサイドもある

 本業に活かすだけではなく、家族の理解を得ることもコミュニティ参加には欠かせない。その点、沖さんのご家族は理解が深いようだ。地元開催ということもあるのだろうが、沖さんはご家族を連れてJAWS FESTAに参加していた。なにより娘さんは、堂々のドセン聴講。これではパパもトークの手を抜けない。

ドセンに陣取る娘さんの前で勇姿を見せる沖 安隆さん

 では、本業や家族関係のバランスを取りながらコミュニティに参加していくにはどうすればいいか。沖さんは、できることからスタートして少しずつ活動を広げ、深めていけばいいと語る。

「まずは、興味がありそうな勉強会を検索してみましょう。コミュニティ活動の情報を検索していると、目立つ人というのが見つかります。そういう人が参加する勉強会には乗っかってみましょう。たいてい、楽しいです。地元以外で開催している勉強会には、旅行がてら参加してみるといいでしょう」(沖さん)

 また、コミュニティに参加し始めるとあちこちからいろいろな依頼が来るようになる。それらはできるだけ、断らずに受けるべきだと沖さんは言う。

「チャンスを活かせる人が楽しい人生を歩みます」(沖さん)

 楽しそうに家族連れでJAWS FESTAに参加する姿が目の前にあるのだから、この言葉にも説得力があった。

サービスを組みあわせて活用する時代、複数のコミュニティに参加しよう

 いろいろなコミュニティに参加する沖さんが提唱するのが、セッションタイトルにもある「マルチコミュニティ」だ。なんとなくわかるようなわからないような、このワード。いったいどういう意味の言葉なのだろうか。

「マルチコミュニティってのは、私が勝手に作った言葉です。連携しやすいサービスのコミュニティ集合体を、こう名付けてみました。どのようなものでも、名前を付けると広めやすいので」(沖さん)

 ということで、沖さんが自身の経験に基づいて提唱しているのが、マルチコミュニティというわけだ。確かに現在のシステム開発では、AWSの用意した数々のサービスを組み合わせるだけではなく、他社サービスをAPIで呼び出して組み合わせることでスピーディに製品化することが求められる。そう考えれば、AWSのコミュニティだけではなく、興味を持ったサービスのコミュニティに参加して見聞を広めるメリットもわかりやすい。

「地方でITに携わっていると、エンジニアというのはインフラからフロントまでなんでも作れると思われがちです。外から見たら違いがわからないんですね。これでは地方エンジニアのハードルが上がるので、できるだけ色々なサービスを勉強して使えるものは使っていきましょう」(沖さん)

 この後、沖さんは自身が参加するコミュニティとそこで扱うサービスを順次紹介していった。読者が知らないサービスもあるかもしれないので、ここでも紹介していこう。

AWS

この記事の読者にAWSを知らない人はいないと思うが、やはりまずはここから。

「覚えることが多すぎるし、コンソールも頻繁に変更されるので、勉強会に参加しないととても追いつけません」(沖さん)

ちゃんと新ロゴで紹介されたAWS

kintone

サイボウズが提供する、ノンコーディングでアプリを作成できる環境がkintone。フロント画面を簡単に作れるだけではなく、アプリの設定をそのまま仕様書作成の変わりに使えるなどのメリットもある。

「気軽に入門できて、機能も豊富。ただし、簡単だけど罠はあるので、これもやはり勉強会でノウハウを共有するといいですね」(沖さん)

サイボウズが提供するアプリ作成プラットフォームkintone

Twilio

米国Twilio社が開発し、日本国内ではKDDIウェブコミュニケーションズが提供する電話、SMSの送受信サービス。APIを呼び出すだけで、電話をかけたりSMSを送ったりすることができる。

「最近ではビデオ機能が組み込まれるなど、機能拡大中のサービスです。GUIで機能設定できるTwilio studioのプレビュー版も公開され、使いやすくなりました。ただ、こういう使いやすい設定画面を大元が提供しちゃうと、SIerとしては開発でお金をもらいにくくなるんですよね(苦笑い)」(沖さん)

電話を使った音声発信やSMS送信をAPIだけで実現できるtwillio

SORACOM

IoTインフラとして急成長中のSORACOM。通信SIMからデータ蓄積や分析、他サービス連携用の各種APIまで、IoTサービス開発に必要な機能を多彩に揃えている。

「AWSとの親和性も高くIoTインフラとして使いやすいSORACOM。SIMは世界中で使えるので、開発したサービスをいきなりグローバル展開することも可能です」(沖さん)

IoT関連サービスを豊富に提供するため「説明に2時間以上かかる」というSORACOM

stripe

日本でもユーザーグループが立ち上がったばかりのオンライン決済サービス、stripe。課金が簡単なだけではなく、個人認証して口座振り込みをするまで一連の手順をトータルで簡単に使えるのが魅力だ。

「単なる課金機能ではなく、stripeの機能を使って決済プラットフォームを作ることもできます。多対多の決済プラットフォームを作ってオークションサイトなども作れます。JP_stripe松山の第1回開催は12月16日に予定されています」(沖さん)

オンライン決済サービスstripe

サービスの組みあわせでできることは多いので、できることからチャレンジを

 さまざまなサービスを紹介したのち、サービスを組み合わせることでいろいろなことができると語った沖さん。実際に自分で作ってみたものも簡単に紹介し、参加者にも新しいサービスに触れてみることを勧めた。

「起業してサービス化するとなると、ハードルが上がります。そんなことまでしなくても、サービスを組み合わせるだけで身近な問題を解決できたりするので、無理せずできる範囲で新しいサービスに触れてみてください。そして何か作ったら、ぜひ勉強会で発表してください」(沖さん)

 複数のサービスを使うことのメリット、複数のコミュニティに参加することのメリットをわかりやすく話してくれた沖さんのセッションはこうして締めくくられた。話し終えた沖さんは、同じ会場で続いて行なわれたハンズラボのスポンサーセッションを、ご家族と一緒に聴講していた。子連れ出社などが話題になる昨今、家族連れ勉強会も楽しそうなので広まって欲しいと感じた筆者だった。

ハンズラボセッションを聴講する沖さんご家族

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