ADCも使える「UP Board」
このようにRaspbery Piと同じように使える上に、UP BoardにはRaspberry Piにないペリフェラルを備えています。たとえば、アナログ・デジタルコンバーター(ADC)をオンボードに備えます。
標準では7番ピンがADCの入力に割り当てられています。精度は8ビット、ADCリファレンス電圧は3.3Vです。
このADCに対応するLinux IIO(Industrial I/O)準拠のドライバーが組み込まれており、ADCの出力を/sys/bus/iio/devices/iio:device0/in_voltage_raw
から読み出すことができます。
テキサス・インスツルメンツ(旧ナショナルセミコンダクター)製の代表的なアナログ温度センサー「LM35DZ」を7番ピンに接続し、温度を計測する例を紹介しておきます(写真2)。
/sys/bus/iio/devices/iio:device0/in_voltage_raw
はユーザー権限でも読み出せるので、次のように実行すると温度が表示されます。
$ python temp.py
23.2941176471
23.2941176471
…
…
ADCは1ビットあたり約12mVの精度ですが、LM35DZの出力は10mVあたり1度ですから、サンプリング誤差の1ビットで1度以上測定値が変わってしまいます。したがって、実用的に使うには温度の測定範囲を狭め、LM35DZの出力をOPアンプで増幅することになるでしょう。
「UP Board」でPC完全互換の高性能を電子工作に
「UP Board」のGPIO、ADCの簡単な使い方を紹介してきましたが、その他にI2CもRaspberry Piとさほど変わらない感覚で利用できます。
また、LinuxとWindowsの双方で使えるカメラアプリケーション「pylon Camera Software Suite」がメーカーのサイトで提供されています。「UP Board」は高性能なCPUを備えているため、カメラとOpenCVを組み合わせて画像認識を行ない、さらにGPIOやI2Cといったインターフェースを通じて自作の機器を制御するといったロボット的な工作にも余裕を持って対応できるでしょう。x86PC互換という利点を活かせる「UP Board」は、多くの方にオススメできる小型シングルボードコンピューターです。
(提供:V-net)