このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業界人の《ことば》から 第271回

圧倒的シェア誇る弥生が目指すのは業務プロセス全体の自動化

2017年11月15日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

弥生が目指すのは「事業コンシェルジュ」

 今後のさらなる進化として岡本社長が掲げるのが「事業コンシェルジュ」だ。

 弥生が目指す事業コンシェルジュとは、弥生シリーズによる「業務効率の徹底追求」と、あんしん保守サポートなどで提供してきた「業務支援サービス」、そして、新たに設立したオンラインレンディングのALTを通じた融資などの金融支援による「事業支援サービス」を組み合わせ、スモールビジネスの事業の立ち上げから、事業の成功までをサポートすることを指す。

 岡本社長は「弥生シリーズによる業務効率の徹底追求と、あんしん保守サポートによる業務支援サービスまでは、業務ソフトメーカーの役割。これに、事業支援サービスを加えることで、事業コンシェルジュと呼べるようになる。これまでは、事業コンシェルジュを目指すといっても、まだそれが実現できる体制が整っていなかった。コンシェルジュ見習いの域を出ていなかった。だが、いよいよ本格的な一歩を踏み出せる」とする。

 年内にはALTによる事業支援サービスの概要を発表する予定であるほか、これ以外にも岡本社長の頭のなかには、いつかの事業支援サービスの案があるようだ。

業務プロセス全体を効率化・自動化する「業務3.0」

 そして事業コンシェルジュの実現においては、業務プロセス全体を効率化、自動化する「業務3.0」を推進する姿勢を見せる。

 かつての手入力と手計算による作業を「業務1.0」、弥生などの登場により、集計を自動化したものの、手入力作業が多く残る時代を「業務2.0」と位置づけた。対して、今後テクノロジーの力を活用し、業務プロセス全体を自動化し、効率化できる世界を業務3.0としている。

 「業務2.0によって個別業務などは効率化されたが、全体をみると二重入力などの無駄な作業が残っている。だが業務3.0では、クラウドとAIで業務を自動化および効率化する『スマート』と、事業者内外をクラウド/APIでつなげて、プロセス全体を効率化する『コネクテッド』によって、計算も、入力も、すべて自動化することになる」と語る。

 30周年記念製品ともなる今年の新製品「弥生18シリーズ」は、スマート取引取込の強化などの「クラウド連携による利便性向上」、仕訳一括置換や予定在庫管理などの「お客様の声に基づく利便性改善」、平成29年分所得税確定申告対応や平成29年分年末調整対応といった「法令への確実に対応」が強化ポイントとなる。

 金融機関などの取引データや、レシートなどの紙証憑の画像データの自動取り込みをし、自動仕訳するスマート取引取込による利便性向上、クラウドアプリ「やよいの給与明細オンライン」とデスクトップアプリ「弥生給与」の連携など、クラウド連携を実現している点も見逃せない。これらは業務3.0に向けた大きな一歩だ。

 「弥生会計の登場により、後工程が自動化したのに加えて、今回の新製品によって、前工程も自動化することになる。弥生会計が進化することで、業務3.0を構成する『会計業務3.0』が立ち上がることになる。今後は、商取引、給与・労務の領域にも自動化を拡大することで、会計業務3.0に加えて、商取引3.0、給与・労務業務3.0も実現し、全体で業務3.0の実現につなげたい」と意欲をみせる。

中小企業も引き続きターゲットに

 「あらゆる角度から、スモートビジネスの業務が滞ることがないように支援をしていく」と、岡本社長。「当社の主要ターゲットとなる10人以下の企業では、まだ4割しか会計ソフトを使っていない。まずは、これを5割にまで引き上げたい」とする。

 今年は、イメージキャラクターに女優の芳根京子さんを起用。2016年のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロイン役を演じた芳根さんが、「やよいちゃん」となって、中小企業を支援し、企業の成長をサポートする役割を担う。

 「どの会社にも、やよいちゃんが欲しいはず。弥生は、そんな企業になりたい」と岡本社長は語る。30周年を迎えた弥生が、事業コンシェルジェに向けて新たな一歩を踏み出した。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ