いずれはiOSとAndroidの独占を崩す
チャレンジャーが現れる?
同じようなことをやっているのが、Nokiaだ。同社は2016年にHMDと独占契約を交わし、HMDがNokiaを冠したAndroidスマートフォンを作成している。
終わったとまではいかないが、かつてNokiaやBlackBerryを手にしたことがある消費者は、買い替え時に(理由はさまざまだろうが)別のブランドを選んだはずだ。いわば選ばれなかったブランドであり、一度“時代遅れ““古い”などネガティブなイメージを持った後、消費者はBlackBerryやNokiaの端末を手にするものなのだろうか?
Nokia/HMDにぶつけた質問をBlackBerryのモビリティ事業部トップにも投げて見た。興味深いのは「ブランド調査ではいまだに我々は認知されているブランド」と同じような答えが返ってきた点だ。ブランド認知という資産を活用しつつ、ハードウェアビジネスにつきもののリスクは持たない。このモデルが成功するのか。マーケティングから見ても面白いケーススタディになりそうだ。なお、TCLにBlackBerryブランドの端末の販売台数や売り上げを聞いてみたが、公表できないとのことだった。
最後にこぼれ話を1つ。BlackBerryのトップであるChen氏にMicrosoftの「Windows Phone」終了について感想を聞いてみたところ、(自分たちも屈した)iOSとAndroidの勢いを認めつつ「長期的にiOSとAndroidに食いつく挑戦者が出てくるだろう」という言葉が返ってきた。
「テクノロジー業界の常だが、業界は固定されておらず、常に新しいプレイヤーが生まれている。自分がAppleかGoogleの立場だったら、安泰だとは絶対に思わない」と語り、「これがテクノロジー業界の面白いところだ」と続けた。だが、その挑戦者の立場にBlackBerryがなるとは思っていないことも明らかだった。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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