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壁にチャレンジする魂の6分間!kintone hack完全レポート

2017年11月10日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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メールフォームの課題をkintoneでちゃんと解決(たにぐちさん)

 4番目はWordPress界隈のkintone使いであるH2O Spaceのたにぐちまことさん。Webの壁を越えるというテーマで、実用的なメールフォームをkintoneで実装した話を披露した。

H2O Spaceのたにぐちまことさん

 たにぐちさんはすぐにメールフォームの概要を披露した。メールアドレスや名前などを登録するとそのデータがkintoneに登録されるというWordPressプラグインで、「自由なドメインが使える」「フォーム数が無制限」「kintoneですべて管理」という特徴を持つ。「WordPressに慣れてないという方も多いので、すべての設定をkintone側で行なえるようにしました」とのことで、設定やフォームのレイアウトもkintoneとWordPressを同期することで実現している。

kintoneで利用できるメールフォームの特徴

 そして、たにぐちさんの「こだわり」はここからだ。H2O Spaceでは「ちゃんとWeb」というスローガンを標榜しているが、Web上にあるフォームの多くは「ちゃんとしてない」という。これに対して今回のメールフォームは、アクセシビリティを長年研究してきたインフォアクシアのアドバイスを受け、「アクセシビリティ(A11y)の観点で高齢者や障害者まで含めたすべての人が情報にアクセスしやすいものを目指したという。

 たにぐちさんが挙げた「ちゃんとポイント」としては、音声ブラウザを前提に、記号や色での表現ではなく、「必須」や「任意」を明記したり、エラーメッセージは入力欄を上に持ってくる、入力の不備はエラー項目だけを残すといった設定。その他、Label要素やplaceholderを適切に利用したり、リセットボタンを利用しないといった配慮も満載したこのメールフォームは「ちゃんとフォーム」と名付けられたという。

高齢者や障害者まで含めたアクセシビリティの観点が重要

「必須」や「任意」をテキストで明記するのもちゃんとポイント

「ちゃんとフォーム」と名付けられ、同日から公開開始

 「グローバル展開も考えており、英語名はChantoFormにした」というたにぐちさんは、同日公開したことを告げて、ちゃんとセッションを締めた。アクセシビリティというユニークなテーマに取り組んだたにぐちさんは得点268点を獲得し、この時点で山下竜さんを抜いて1位となった。

kintoneの意外な壁を解消したダークホース(星野さん)

 5番目はダークホースと紹介されたジョイゾーの星野智久さん。東京の会社で所属しながら、新潟でkintoneの開発をしているリモートワーカーだ。そんな星野さんはkintoneの枕詞でもある「誰でも簡単に」という謳い文句を疑うことから、新しいユーザーインターフェイスを提案するセッションを披露した。

 アプリをドラッグ&ドロップで作れるkintoneは新潟でもユーザーが増えているという。しかし、星野さんは、導入に踏み切る前に「ユーザーがキーボード入力できない」という壁があると指摘する。実際、紙の顧客管理をkintoneに移行するという新潟のカー用品店の案件で、星野さんはまさにその壁にぶち当たった。「高齢者やPCに慣れてない方はどうしてもキーボード入力ができない。ルックアップでなんとかならないかという話もあったが、顧客名などどうしても文字入力が必要な場面もある」(星野さん)。「誰でも簡単に作れることができる」を、「誰でも簡単に使うこともできる」にする星野さんのチャレンジがスタートした。

導入前の課題はキーボード入力ができないこと

「誰でも作れることができる」から「誰でも簡単に使うこともできる」

 そこで星野さんが作ったのは、「マウスで入力補助プラグイン(仮称)」だ。これは通常のキーボード入力のほか、音声入力、ソフトウェアキーボード入力、候補入力の機能を追加するkintoneプラグイン。実際、星野さんが音声入力した動画を披露したが、これならお年寄りでも難なく入力できる。かな入力時はソフトウェアキーボード、定型文言やメールアドレスの入力は候補入力が役に立つ。実際に前述したカー用品店もこのプラグインを試したところ、年内に導入する見込みになったという。

音声入力、ソフトウェアキーボード入力、候補入力ができる「マウスで入力補助プラグイン」

ソフトウェアキーボードはかなの入力に便利

 最後、音声入力を試そうとしたが、無念のタイムアウト。ただ、入力の壁を越えたセッションで、得点は275点に達し、たにぐちさんを抜いて1位に! 「去年のCybozu Daysを見たとき、次は絶対あそこに上がりたいと思いました」(星野さん)の想いに、結果が付いてきた形となった。

得点結果を待つジョイゾーの星野智久さん

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