有線LANも無線LANもOK!

指でつまめる超小型PCでUbuntu最新版を試してみた

文●宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「MousePro-C100PV」

 マウスコンピューターの小型デスクトップパソコン「MousePro-C100PV」は、最初からWindows 10 Proがインストールされており、ビジネス用途としてすぐにでも活躍できる。しかし、せっかく指先でつまめるほど小さなパソコンなのに、OSがWindowsだけというのはもったいない。ほかのOSが動けば、さらに用途が広がる……そんな気がするのだ。

 ということで、10月にリリースされたばかりの「Ubuntu 17.10」を使い、Windows以外のOSも動くのかを試してみた。

Ubuntuの最新版をダウンロードしてUSBメモリーへ書き込む

 Ubuntuのダウンロードは公式サイトから。トップページから「Download 17.10 now」ボタンをクリックし、「Ubuntu Desktop」を選択。続いて「Ubuntu 17.10」の右にあるDownloadボタンを押そう。

最新のUbuntu 17.10は10月にリリースされたばかり。ちなみに半年に一度、4月と10月に新しいバージョンがリリースされる

 すると寄付の受付画面が出るので、寄付をするのであればここから手続きを。とりあえずUbuntuをダウンロードして試したいというなら、下部にある「Not now, take me to the download」をクリックすればすぐに「ubuntu-17.10-desktop-amd64.iso」というファイルのダウンロードが始まるはずだ。

 USBメモリーへと書き込むには別途ツールが必要だが、今回は「USBWriter」を使用した。使い方は簡単で、先ほどダウンロードしてファイルを「Source file」として読み込み、PCに装着したUSBメモリーを「Target device」で選択。あとは「Write」ボタンを押すだけで、Ubuntuのインストール用USBメモリーの完成だ。

ファイルサイズは約1.5GB。今回は4GBのUSBメモリーを使用してインストールUSBメモリーを作成した

UEFIの設定で「Set Boot Priority」を入れ替える

 あとはMousePro-C100PVに作成したUSBメモリーを挿して起動するだけ……なのだが、UEFIの設定で2か所ほど変更が必要だった。ひとつ目は、「Boot」の「OS Selection」で「Linux」を選ぶこと。デフォルトでは「Windows 10」となっているのだが、このままではUbuntuは起動できなかったので、変更は必須だ。ちなみに、この設定を「Linux」に変更したままでもWindows 10は起動できた。

 もうひとつは同じく「Boot」にある項目で、「Set Boot Priority」の順番を入れ替えること。一番最初が「Windows Boot Manager」となっているが、これをUSBメモリーへと変更しておこう。これで、USBメモリーからの起動が可能になる。

UEFIの設定で、USBメモリーからUbuntuが起動するように変更。Exitメニューから保存して終了すれば、Ubuntuが起動する

Ubuntuが起動し、有線LANも無線LANもOK!
Bluetoothも問題なく利用できるも、ひとつ問題が……

 Ubuntuをインストールして使うのが通常だが、さすがにWindowsを消すのは厳しいというのと、まずは動作の確認がしたいということで、「Try Ubuntu without installing」を選んでインストールせずに試してみよう。

 まずチェックしたのは、ネットワークの接続。新しいパソコンだと、有線LANも無線LANも使えずに困るときがあるのだが、MousePro-C100PVは有線LAN/無線LANとも最初から認識しており、何の問題もなくすぐに利用できた。手間いらずで使えるというのは、非常に楽ちんだ。もちろん、ブラウザーを立ち上げれば普通に日本語でウェブページを表示できるほか、試しにYouTubeで動画も再生してみたが、音もしっかりと鳴り、快適に視聴できた。

最初から数多くのソフトがそろっているが、もちろん後から追加することも可能。とはいえ、追加するのはPCにUbuntuをインストールしてからだ

 さらにBluetoothの利用も試してみたが、こちらも問題なし。本体内のeMMCへのアクセスも可能で、直接Windowsのユーザーフォルダー内の操作もできた。このほか、最初からOfficeなどのソフトもそろっており、パソコンを利用する大抵の作業で困ることはなさそうだ。

最初から数多くのソフトがそろっているが、もちろん後から追加も可能。とはいえ、追加するのはパソコンにUbuntuをインストールしてからだ

 ここまで動作が軽快で、ネットワークにつながり、音も鳴るしでとくに不満はなかったのだが、ひとつだけ問題を見つけてしまった。それは、本体に装備されているmicroSDカードスロットが使えないという点。試しにmicroSDを挿してみたのだが、デバイスとして認識してもらえなかった。また、microSDにUbuntuを書き込み、ブートデバイスとして利用できないかと試してみたのだが、UEFIでmicroSDが認識されなかった。もしかするとWindows上からでしか認識できない特殊なデバイスなのかもしれない。

 もしmicroSDを認識するようであれば、そちらにUbuntuをインストールし、Windowsとのデュアルブートにできるかもしれないと思っていただけに残念だ。とはいえ、簡単に試してみた限りはそれ以外には問題らしい問題がなく、快適に動作してくれた。このサイズはUbuntu PCとしても非常に魅力的なだけに、Windowsを消してでもUbuntu PC化する意味はありそうだ。できれば、MousePro-C100PVに低価格なOSなしモデルが登場してくれればさらにうれしいのだが……。

試用機の主なスペック
機種名 MousePro-C100PV
CPU Celeron N3350(1.1GHz)
グラフィックス インテル HD グラフィックス 500
メモリー 4GB
ストレージ 64GB eMMC
内蔵ドライブ
ディスプレー オプション(BTOで選択可能)
通信規格 有線LAN(1000BASE-T)無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 4.0
インターフェース USB 3.0端子、USB 2.0端子、microUSB端子、有線LAN端子、HDMI端子、SDカードスロット
サイズ/重量 およそ幅70×奥行70×高さ34.1mm/約164g
OS Windows 10 Pro(64bit)
価格 4万2984円から