10月も終わりに近づき、そろそろ年末商戦に向けた動向が気になる時期になった。世界シェアこそSamsungの後塵を拝しているもののスマートフォンではリーダーのApple、だがその最新機種「iPhone 8」の売れ行きがいまいちというニュースがメディアによって報道されている。ファンは本命であるiPhone X待ちと見ていいのだろうか。
昨年のiPhone 7に比べるとiPhone 8の需要は低い?
例年どおりに9月に発表された「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」。新CPUやワイヤレス充電対応などの特徴を持つ最新世代のiPhoneだ。
iPhone発表会は、Appleに強い日本のプレスも多数招待され、ファンからそれなりの評価を得たようだ。しかし、同時期に米サンフランシスコで開催された「Mobile World Congress America」の会場では、「端末そのものに新鮮さがない。iPhone 8が発表されてiPhone 7が売れるんじゃないか」(あるオペレーターのブーススタッフ)という冷ややかな声もあった。実際コンシューマーはiPhone 8/8 Plusをどう受け止めたのだろうか?
Appleは今回、iPhone 8が発売された週の週末に何台売れたかの情報を公開していない。2014年の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」のときは1000万台と発表するなど、飛ぶように売れたことを示すのがパターンだったが、2016年の「iPhone 7」からは数字は開示されなくなった。
そこに来て、カナダ最大手キャリアであるRogers Communicationsのトップが自社決算発表時にiPhone 8の需要について「強くない」と発言した。
同じく先週、台湾Economic Daily Newsが台湾のサプライチェーンからの情報として、Appleが11月、12月のiPhone 8と8 Plusの注文を半減したというニュースが出た。同紙によると、発売からまだ3ヵ月が経過しない段階での製造カットは初めてとのことだ。
本命はやっぱりiPhone Xなのだろう
こう聞くと、iPhone 8/8 Plusは売れていないように見えてしまうが、さすがiPhoneだけあり、これ以外にもさまざまな視点の情報が出ている。たとえば、米国のAT&TはiPhone 8の販売台数は前年同時期のiPhone 7よりも90万台低いとしているが、KGI Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo氏はiPhone 8 Plusの動向は予想より良いと見ているとか。VerizonはiPhoneに特定してはいないが、第3四半期は新機種へのアップグレードが遅いと判断しているようだ。
iPhone 8/8 Plus発売後の9月末のニューヨークでは、主要キャリアのショップはどこもiPhone 8推しだった。だが人だかりができているわけではなく、数年前のような興奮はないことは明らかだ。
だが今年のAppleはこれで終わりではい。同じ日に発表したハイエンドの「iPhone X」だ。11月3日の発売に向けて、まもなく予約受付が開始されるが、iPhone 8への鈍い反応はiPhone Xを待つ動きと予想する向きがある。
iPhone XはAppleがiPhone10周年を記念したモデルで、縦長の5.8型有機EL画面が前面をほぼ覆い(そのためにホームボタンはなし)、顔認証の「Face ID」など、現時点でiPhone Xにしかない特徴を持つ。もちろん価格もスペシャルで日本では税抜11万2800円からだ。
先進国のキャリアであるVerison、RogersはともにiPhone Xへの需要に期待を持っているようだが、1000ドルもするようなスマートフォンをどれだけの人が購入するのかはわからない。なお、GartnerのアナリストであるRoberta Cozza氏は、「iPhone Xは北米、中国、西欧における端末の売り上げを加速する要因になる」と分析している。
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