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生産計画の自動立案と3D作業手順書の自動生成、製造業向け「Lumada」ソリューションに追加

日立、多品種少量生産工場が対象のソリューション2種を発表

2017年10月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日立製作所は10月17日、製造業の多品種少量生産工場をターゲットとした、生産リードタイム短縮を実現するソリューション2種を発表した。同社が展開するIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」上に構築された産業分野向けソリューションコアとして、今年7月から提供している2種のソリューションと合わせて、生産現場におけるリードタイム短縮を図る。11月から提供を開始する。

日立が提供する多品種少量生産工場向けソリューションの概要(提供中の2種と今回発表された2種)

発表会に出席した、日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 情報制御第三本部 本部長の大橋章宏氏

 日立では今年7月から、製造業向けのソリューションとして、製造部品にRFIDタグを取り付け工場内物流を可視化する「進捗・稼働監視システム」と、生産工程におけるボトルネック作業を分析する「作業改善支援システム」を提供開始している。これは、電力や社会インフラの制御装置などを生産している同社の大みか事業所(茨城県日立市大みか町)における、多品種少量生産の高効率化ノウハウを汎用化し、製品化したもの。

 今回新たに発表された「工場シミュレーター」と「組立ナビゲーションシステム」も、上述の2システムと同様に、大みか事業所における生産効率化ノウハウを生かしたものとなる。こうしたソリューションを活用することで、大みか事業所では高効率生産モデルを確立し、代表製品(制御装置)の生産リードタイムを従来比で「約50%短縮」したとしている。

「工場シミュレーター」「組立ナビゲーションシステム」を追加

 工場シミュレーターは、工場内の各工程の生産進捗情報、当該製品の納期や受注量に関する情報を収集し、さらにあらかじめ定義された工場の生産能力(人、設備、作業エリアなど)やほかの製品の生産計画などの情報も組み合わせたうえでシミュレーションを行い、多品種少量生産における中長期の生産計画を自動立案するソリューション。

 スケジュールに沿って各リソースの空き状況を鑑みながら自動的に作業負荷を平準化し、生産計画の全体最適化を図る。また、納期や受注量の変更や、生産進捗状況の変化(遅延など)に追従して生産計画を際立案し、調達部品の納期を調整して仕掛かりを最小化することもできる。

「工場シミュレーター」の概要。さまざまなデータに基づいて全体最適化された中長期生産計画を自動生成する

 一般的な生産スケジューラーでは、BOM(部品構成表)を作成してスケジュール管理を行う必要がある。だが、多品種少量生産の場合や使用部品が未確定の場合は、BOMを作成することが困難だった。そこで、工場シミュレーターではBOMの代わりに「原単位」と呼ぶデータを用いることで、そうした場合のスケジューリングを可能にしている。原単位は、代表的な製品の設計/製造/品質保証など各手順における作業時間やリソース消費量などの基準値をまとめたもので、カスタマイズ製品の場合も基となった製品(類似製品)の原単位を使用することでスケジューリングが可能になる。

 日立によると、大みか事業所では同ソリューションを利用することで、生産計画工数を約30%削減できた(2012~2015年度実績)という。

工場シミュレーターの効果。同社 大みか事業所では生産計画工数を約30%削減した

 もうひとつの組立ナビゲーションシステムは、製品の3D CADデータを読み込み、日立独自のアルゴリズムで分解順序/分解動作の分析を行ったうえで、適正な組立順に沿った3Dの作業手順書を自動生成するソリューション。設計者が作業手順書を作成したり、設計変更時に再作成したりする負担がなくなるほか、現場作業者も理解がしやすく、また「1作業1画面」で組立手順が示されるため、生産性向上や生産品質の安定にもつながるとしている。

「組立ナビゲーションシステム」の概要。独自アルゴリズムに基づき、3D CADの設計データから組立作業手順書を自動生成する

 日立の大みか事業所では、この組立ナビゲーションシステムを導入したことにより、加工費を約30%削減した(2012~2015年度実績)としている。

組立ナビゲーションシステムの効果

 なお今回の発表に伴って、今年4月より提供している「ソリューション導入コンサルティングサービス」も拡張されており、製造現場に加えて設計業務の課題分析や生産性向上に関する仮説構築、価値検証を行うことができるようになっている。

 今回発表されたソリューションおよびソリューション導入コンサルティングサービスの料金は、いずれも個別見積もり。

 発表会に出席した日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 情報制御第三本部 本部長の大橋章宏氏は、多品種少量生産(マスカスタマイゼーション生産)においては「超短納期品の受注」「急な納期/仕様変更」「生産計画の頻繁な変更」などが発生しがちであり、それが現場の生産性低下、生産遅延、設備の稼働率低下などにつながっていると説明。その課題を解消した、同社 大みか事業所の高効率生産モデルを汎用化して今回のソリューションが構成されていることを示した。

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