年数百万規模のコスト削減も可能
たとえばファイルサーバーやNASと、Dropboxのサービス利用料を比較しただけのコストメリットには留まらないという。
「Dropboxには、ファイルを1ヵ所に集約するための時間や、集約されていない最新ファイルを見つけるための時間、外出先からデータアクセスするためのログイン作業時間、社内外にファイル転送に共有するための時間などが削減できるメリットがある。試算をすると、平均2.1%の生産性向上、1ヵ月あたり約3時間の節約ができる。年間では36時間の削減が可能であり、年間数万円のコスト削減効果が出ることになる。これを全社員数で使えば、年間数百万円規模の削減が可能な企業もある」(Dropbox Japan ソリューションアーキテクトの井口和弘氏)とする。
また「Dropbox Businessは事実上、容量を無制限で利用できるほか、セキュリティーの向上というメリットもあり、これもコスト効果に換算できる。そして老朽化にともなう、5年ごとのハードウェアの更新といったことも不要である。さらにスマートシンクの機能を利用すれば、PCのハードドライブの使用容量を節約することができる。ストレージ容量の小さい最新のPCに買い換えることで、PCのコストを削減できるというメリットも生まれる」とする。
だがこうしたメリットが訴求しきれていないと、五十嵐社長は反省する。「これまでは口べたであり、静かすぎた。Dropboxは単なるクラウドストレージサービスというだけでなく、様々な機能を提供し、それによって価値を創造していることを理解してもらいたい。Dropboxを利用することよりも、なにかをやりたいときのイネーブラーとしてDropboxを提案していきたい。ビジネス用途では、そうした提案が不可欠になる」と語る。
Dropbox Businessによって、Dropboxの新たな提案が始まっている。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ