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パワーと重さは正義、フェンダーのBluetoothスピーカーが王道だった

2017年10月07日 12時00分更新

文● 四本淑三

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Bluetoothスピーカーとしてはフルスペック

 しかも見た目だけでなく、トーレックスが貼り込まれた外装を指で叩くと、コツコツと硬い音がする。キャビネットの材質はわからないが、安い小型のギターアンプより頑丈にできているように思える。パワーがパワーだけにそれを受け止める設計なのだろうが、ここまでやってなぜギターアンプでないかよくわからない。

 で、ワイヤレススピーカーとしてみるとBluetooth 4.2対応で、オーディオコーデックはAACとaptXに対応。この見た目から言うと笑ってしまうのだが、マイク内蔵でハンズフリー通話にも対応する。外部入力は3.5mmステレオミニのほかにRCAピンもあり、入力系統はBluetoothと合わせて3つ。Bluetoothスピーカーとしては、ほぼフルスペックだ。

 小型のNEWPORTと共通するのは、Bluetoothのペアリングなどで、ビープ音代わりに各種ギターフレーズが鳴ること。スピーカー構成やアンプはこちらの方が本格的なので、その際の音もずっとリアルで、やっぱりギターをつなぎたくなる。

パワーと重さは正義だった

 実際に音を出すと、やっぱりパワーに余裕があるアンプと重たいキャビネットは正義であり、いつの時代もオーディオの王道なのだ、と感心せざるを得なかった。

 密閉型エンクロージャーのエアサスペンション効果をハイパワーでねじ伏せたような鳴りっぷりで、まず低域の瞬発力が素晴らしい。おかげで、小さなスピーカーで低域の再生限界を下げるためのバスレフポートもパッシブラジエーターもないのに、下の帯域から十分に力を感じられる。

 ミッドレンジにも深さがあり、ボリュームノブを上げていっても、うるさく感じないのもいい。小音量でも十分に楽しめるから自宅で使ってもいいし、人の集まる店舗やパーティーだったら、さらにそのパフォーマンスを生かせるはず。

 背面にある「SHAPE」スイッチは、中域を引っ込めてローを伸ばし、ほどほどのドンシャリ感を演出するもの。ギターアンプのEQ設定で言うところのミッド・スクープのような特性で、スピーカーに近い位置や、小さな音量で聴く場合にはいい特性になる。あまり派手に効きすぎないのも良い。

 欠点は、やはりギターのシールドが挿せないこと。アンプモデルは1つ(もちろん'68 Custom)でいいので、もしシミュレーターが入っていたら、この価格でも高いとは思えない。その際には、5Wクラスのチューブアンプと重さが変わらないことを考えると、ぜひ持ち運び用にハンドルもお願いしたい。フェンダー様、何卒よろしく。

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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