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第三世代のデータ連動で交通費精算という作業を日本からなくす

Suicaで乗れば交通費精算が完了!コンカーとJR東日本、タクシー3社が実証実験

2017年09月26日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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9月25日、経費精算サービス「Concur Expense」を提供するコンカーはJR東日本、日本交通、国際自動車、大和自動車交通との提携を発表。Suicaを用いた近距離交通費の経費精算を自動化すべく、2年に渡って実証実験を開始するという。

Suicaによる交通費精算がほぼ全自動で実現

 今回の実証実験は鉄道およびタクシーの利用履歴データを「Concur Expense」と直接連携させ、近距離交通費の経費精算を完全自動化するというもの。事前に同意を得たConcur ExpenseユーザーがSuicaを使って鉄道やタクシーを利用すると、JR東日本のSuicaのデータベースサーバーがConcur Expenseに利用履歴を送信し、乗車区間・日付・運賃などが自動的に反映されることになる。

Suicaを利用した近隣交通費の精算をすべて自動化

 こうした近距離交通費の経費精算に関しては、従来は予定と突き合わせ、経路検索サービスで運賃を調べ、手入力しなければならず、サラリーマンの多くの時間が費やされている。コンカー代表取締役社長の三村真宗氏は、「一般的な日本のサラリーマンは生涯で52日間を経費精算に費やし、このうち交通費の精算は26日。全体の約半分以上に達する」という調査を披露した。

コンカー代表取締役社長の三村真宗氏

 コンカーは、日本に上陸した6年前から交通費精算の自動化を提供してきた。まず第一世代のデータ連動として投入したのは、USB型のICカードリーダーを各社員のPCに接続し、SuicaをかざすことでConcur Expenseに利用履歴を蓄積する方法だ。この方法は履歴を簡単に取り込める一方、カードリーダーを社員のPC分管理しなければならない手間があったほか、セキュリティのためUSB自体をオフにしている大手企業で利用できないという弱点があった。また、そもそもSuicaのメモリの制約で、20件までしか履歴が得られないというデメリットもあった。

 続いて登場したのはネットワーク型のICカードリーダーをオフィスに設置する方法だ。これにより、社員のPCの台数分、カードリーダーをUSB接続する必要はなくなったが、Suicaから20件しか履歴が読み取れないという制約はそのまま残っていた。これに対して、今回JR東日本との提携で実現される第三世代のデータ連動では、そもそもSuicaからデータを読み取るのではなく、JR東日本のデータサーバーからコンカーのシステムに直接履歴データを取り込んでしまう。これにより、読み取りの手間や20件問題が解消され、私的利用をチェックする以外、ほぼ全自動で精算処理が行なえるという。

 また、今回はJR東日本のみならず、日本交通、国際自動車、大和自動車交通など大手タクシー会社3社とも協業し、Suicaを使ったタクシーの自動精算も実現していくという。3社は、都内の法人タクシーの台数の約1/3を占めており、日中運転している約3台のうち1台でConcur Expenseの自動精算機能が利用できるようになるという。

「交通費精算」という作業を日本からなくす

 冒頭、挨拶に立った米コンカー プレジデントであるマイケル・エバハード氏は、グローバルの中で、日本市場が最速で成長していることをアピール。特に中堅・中小市場での市場が拡大し、出張管理の需要が高いことから、ビジネス機会が高まっていると説明した。

米コンカー プレジデント マイケル・エバハード氏

 なぜ近距離交通費にフォーカスするのか? エバハード氏は、「特に日本においては近距離の移動が多い。電車、タクシーなどの移動が多く、経費精算の回数も多い」と語る。こうしたニーズから移動した際に、自動的に精算できるという仕組みを提供するという。ヨーロッパではEuro StarやMyTaxi、米国でもUberやLiftなどと提携しており、Concur Expenseのデータ連動ネットワークは次々と拡がっているようだ。

 日本での実証実験では市場規模、利便性、希望価格、利用状態、効果測定、ビジネスの検討など幅広い検証が行なわれ、2017年10月から2020年の商用サービス開始まで続けられる予定。他の事業者との提携を見越しているほか、セキュリティを確保すべく、JR東日本側でのシステム改修を依頼するため、2年という長めの実験期間をとっているという。現状は提携を発表したJR東日本とタクシー3社のデータのみ連動されるが、今後は他のICカードとの提携やJR以外の鉄道路線、タクシー、バスなどデータ連動も進めていきたいという。三村氏は、「将来的には、交通費精算という作業を日本からなくす。コンカーはそのためのスタンダードになっていく」と宣言した。

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