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キャッシュレス+自動化で 経費精算業務はゼロになる?

コンカーの「ビジネスキャッシュレス構想」は経費精算自体をなくす

2020年05月21日 11時00分更新

文● 指田昌夫 編集●大谷イビサ

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 企業向けの経費精算ソフトウェアを手がけるコンカーは、「ビジネスキャッシュレス構想」に関するメディア説明会をオンラインで開催した。キャッシュレスの動向や承認なしでの経費精算の仕組み、PayPay、LINE PayなどのQRコード決済での連携イメージなどが披露された。

コンカー日本法人代表取締役社長 三村真宗氏

ビジネス用途でキャッシュレス化が進む日本

 コンカーは経費処理の世界トップベンダー。世界で4万6000社が同社のクラウドアプリケーションを採用し、年間の経費処理の総額は16兆円に及ぶ。

 コンカー日本法人代表取締役社長の三村真宗氏は冒頭、2020年3月に実施した日本のビジネスキャッシュレスに関するアンケート調査について説明した。

 経済全体ではキャシュレス化が進まないと言われる日本だが、今回の調査でビジネス用途に関して76%が利用していると回答した。三村氏は「2019年9月の調査と比べて、交通系ICカードをはじめ、法人カード、QRコード決済などの決済が大きく増えている。コンカーとデジタル連携する素地は整いつつある」と話す。

キャッシュレスの意向は強い

 法律面でもキャッシュレス、ペーパーレス化への整備が進んでいる。今年10月に施行予定の新税制では、企業が経費精算を行う際に改変不可能な形で支払い明細を取り込んだ場合、領収書のデータが不要となる。

 コンカーではこれに合わせて各種キャッシュレス決済との連携を進めている。その背景には、経費精算のデジタル化が進まない現状がある。

「ペーパーレス化を進める方向で、領収書のデジタルデータ化などが法律で認められてきたが、調査結果によれば依然として44%の企業が紙やエクセルによる経費精算をしている。コロナ禍で在宅勤務が要請される中で、紙の処理作業のためだけに出社する行為が批判されたが、もはや許されないだろう」(三村氏)

 ビジネス用途の決済ではキャッシュレス化が進む一方で、経費精算は依然として半数がアナログ処理をしている現状を打破するべく、コンカーが提案するのがビジネスキャッシュレス構想だ。「キャッシュレス+自動処理によって、経費精算を楽にするのでなく、経費精算という業務を企業からなくすことが目的」と三村社長は語る。

経費の「承認レス払い出し」はどうして可能になるのか

 すでにコンカーと連携するキャッシュレス決済は、法人カードでは全体の85%、交通系ICカードはSuicaなど50%、またQRコード決済ではPayPay、LINE Payの2つを合わせて55%に達している。これらの決済時にデータを自動的にコンカーのクラウドに送ることで、支払った社員は起票することなく、自動的に経費精算が完了して実費を受け取ることができる。

キャッシュレス決済の手段

 キャッシュレス決済で取り込むデータは、「いつ、どこで、誰が、いくら」という情報に限られる。従来の経費精算につきものだった「何のために」という経費の利用目的の申告と承認を行わず、即座にお金を払い出すというから不思議だ。企業はどうやって不正な経費の請求を防ぐのか。

 この「承認レス」精算のカギが、AIによる不正検知だ。三村社長は「不正検知は2段階で行われる。まずシステムに入ってきた支払いのデータは最初のチェックにかけられ、不正があれば瞬時に検知する。このAIに引っかからない悪意のある不正を人間が見つけようとしても、おそらく難しい。そのためマネジャーや経理部門のチェックは行わず、支払いに回す。ただし、コンカーのクラウドには、膨大な経費処理データを集積したインテリジェンスがあり、処理済みのデータを再度じっくり分析にかけることで、最初のチェックを通過した不正を後から見つけ出す。このAIによる二重チェックは、従来のマネジャーや経理部門の承認業務よりもむしろ厳格で、社員への牽制効果が高いと自負している」と説明する。

 もちろん、このシステムの目的は、経費精算を厳しく取り締まることではない。経費を使った社員にスピーディーにお金を返すことと、マネジャーを承認プロセスから開放すること、そして経理担当の事務処理を軽減することである。承認レスの経費精算は、日本でも野村総合研究所などがすでに導入しており、業務効率化に成功している。

アプリで経費精算すれば銀行口座が不要

 続いて、QRコード決済を提供する企業でコンカーと連携するPayPay、LINE Payの2社が、開発中の経費精算システムの概要を説明し、法人向けキャッシュレスの市場への期待を示した。

 社員がPayPay、またはLINE Payで経費を支払い、コンカーへ情報を送ると、企業が使った金額をそれぞれのアプリに直接戻すシステムを作る計画だ。両社は、10月に予定される税制改正に向けて開発を進めている。

 PayPayは領収書データも含めたアプリからの手動申請、LINE Payは自動連携を想定しているが、どちらも開発中のため最終的にどのようなシステムになるかは別途発表する予定だ。

 これらの連携が実現すると、ビジネスの経費精算が銀行口座を介さずに実現することになる。社員にとっては立て替えた経費をATMに並んで引き出さなくても、直接スマートフォンに入金されるため、素早く受け取ることができる点はありがたい。また企業側も、振込の手数料がかからず、コスト削減できる。ビジネスキャッシュレスは業務の効率化だけでなく、新しい価値も生み出しそうだ。

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